大阪おおさかの中心ちゅうしん部ぶから東南東とうなんとうの方角ほうがく、山やまのりょう線りょうせんからだいだい色しょくの月つきが顔かおをのぞかせました。

ことしの中秋ちゅうしゅうの名月めいげつです。

「いいやん、曇くもっていない。月つきってこんなに明あかるいって知しらなかったです」

境内けいだいにある国くにの名勝めいしょうの大沢おおさわ池いけは月見つきみの名所めいしょとして知しられ、平安へいあん時代じだいに嵯峨さが天皇てんのうも舟ふねを浮うかべて月見つきみを楽たのしんだと伝つたえられています。

天文てんもん好すきという父親ちちおやと一緒いっしょに参加さんかしていた男の子おとこのこは、大おおきな望遠鏡ぼうえんきょうをのぞきながら、はるかかなたの月つきに思おもいをはせていました。

（月つきは見みえた？）

「ちょこっとだけ見みえた」

（月つきに行いってみたい？）

「うん。月つきに住すみたいから」

「秘密ひみつ基地きちを作つくりたい」

従業じゅうぎょう員いん数すう名めいの小ちいさな建設けんせつ業ぎょうを営いとなんでいる富とみ坂さか勝まさるさん（57）。コロナ禍かの3年間ねんかん、仕事しごとの増減ぞうげんに波なみがあり、ひどいときには収入しゅうにゅうが8割わり減げんの時期じきもあったと言いいます。

いまもコロナ禍か前まえには戻もどっておらず、仕事しごとの量りょうは60～70％ということです。

「きょうはきれいな月つきだな、と。なんとか日々ひびの生活せいかつを乗り切のりきって頑張がんばれよって、背中せなかをたたいてくれているような感かんじ。そういう風かぜにとりたいですね」

「この3年ねんはほんとにしんどかった。いまはこのコロナ禍かの波なみが過すぎるまで頑張がんばりたいなと自分じぶんでは思おもっているときなんです」

神戸こうべ市しから遊あそびに来きていたという家族かぞくは帰り道かえりみちに足あしを止とめて満月まんげつを眺ながめていました。

「家族かぞくで新型しんがたコロナにもかかりましたし、大変たいへんな3年間ねんかんでした。いや、厳きびしかったですね。でも、ふと月つきを見みたときに、なんかほっとするというか、やっぱ安心あんしんはしますね、ほっとします」

大阪おおさか 淀川よどがわ区くの淀川よどがわ河川敷かせんしき。

川かわの対岸たいがんにそびえ立そびえたつ高層こうそうビル群ぐんを明あかるく照てらし、川面かわもにも映うつる満月まんげつをたくさんの人ひとたちが思い思おもいおもいに楽たのしんでいました。

この日ひ、信一しんいちさんは初はじめて妻つまの由佳ゆかさん（61）を誘さそったといいます。

由佳ゆかさんは中秋ちゅうしゅうの名月めいげつの美うつくしさに感激かんげきしていました。

夫おっと・信一しんいちさん

「最高さいこうの幸しあわせムーン」

妻つま・由佳ゆかさん

「ラブラブムーン」

『脱ぬぎ着ちゃくする 雲くもも風情ふぜいや 今日きょうの月つき』

「雲くもに入はいったり出でたりする月つきの風情ふぜいもよい。2人にんで見みられるのは幸しあわせ。100歳さいまで月つきが見みられるかな」

大阪おおさか 北きた区く梅田うめだの歩道ほどう橋きょうの上うえで、夜空よぞらを見上みあげながら歩あるいている女性じょせいがいました。

聞きくと、友人ゆうじんと歌舞伎かぶき鑑賞かんしょうを終おえたあと、ビルとビルの間まから見え隠みえかくれする月つきを追おって大阪おおさか 難波なんばからおよそ5キロを歩あるいてきたと言いいます。

「やっぱり、これからいいことが起おこるぞっていう、なんか私わたしを助たすけてくれる月つきだと思おもう。よかったよかった。月つきに会あえてよかった。月見つきみができてよかったです」

来年らいねんの中秋ちゅうしゅうの名月めいげつは2023年ねん9月つき29日にちです。