緒方おがた貞子さだこさん悼いたむ声こえ 世界せかいで広ひろがる

亡なくなった緒方おがた貞子さだこさんは、日本人にっぽんじんとして初はじめてＵＮＨＣＲゆ-えぬえいちし-あ-るの高等こうとう弁務べんむ官かんを務つとめ、その卓越たくえつした手腕しゅわんや人間にんげんを大切たいせつにすることに重点じゅうてんを置おいた決断けつだんの数々かずかずは、国連こくれん関係かんけい者しゃに大おおきな影響えいきょうを与あたえてきました。

このうち、緒方おがたさんと同おなじ難民なんみん高等こうとう弁務べんむ官かんを後ごに務つとめた国連こくれんのグテーレス事務じむ総長そうちょうは29日にち、声明せいめいを発表はっぴょうし、「サダコ・オガタは世界中せかいじゅうの人々ひとびとにとって人道じんどう主義しゅぎの手本てほんだ。高等こうとう弁務べんむ官かん当時とうじ、彼女かのじょが類るいを見みない功績こうせきを残のこしたことを目の当まのあたりにした。彼女かのじょの責任せきにん感かんと熟達じゅくたつした仕事しごとのおかげで何なん百ひゃく万まん人にんもの難民なんみんはよりよい生活せいかつと機会きかいに恵めぐまれている」として、その功績こうせきをたたえました。

スイスのジュネーブにあるＵＮＨＣＲゆ-えぬえいちし-あ-る＝国連こくれん難民なんみん高等こうとう弁務べんむ官かん事務所じむしょの本部ほんぶでは29日にち、緒方おがたさんの死しを悼いたんで半旗はんきが掲かかげられました。

ＵＮＨＣＲゆ-えぬえいちし-あ-るのアンドレイ・マヒチッチ報道ほうどう官かんはＮＨＫえぬえいちけいの取材しゅざいに対にたいし、「人々ひとびとに寄り添よりそい、現場げんばで実際じっさいに起おきている状況じょうきょうに即そくした活動かつどうをする人ひとだった」と振り返ふりかえるとともに、「世界中せかいじゅうで起おきている緊急きんきゅう事態じたいに応おうじるという彼女かのじょのレガシーは今いまも生いき続つづけている」と、功績こうせきをたたえました。

アフガニスタン元もと大統領だいとうりょう「日本人にっぽんじんの良心りょうしんと優やさしさを象徴しょうちょう」

アフガニスタンの復興ふっこうに力ちからを注そそいできた緒方おがたさんの死去しきょについてアフガニスタンのカルザイ元もと大統領だいとうりょうは、声明せいめいを発表はっぴょうし、「とても悲かなしく残念ざんねんです。長年ながねん、アフガニスタンの国民こくみんに寄り添よりそい、支援しえんに全力ぜんりょくで取り組とりくみ、多大ただいなる貢献こうけんをしていただきました。アフガニスタンの復興ふっこうに向むけた努力どりょくと深ふかい愛情あいじょうに心こころからの敬意けいいと感謝かんしゃを表あらわします。日本人にっぽんじんの良心りょうしんと優やさしさを象徴しょうちょうする偉大いだいな人ひとでした」と述のべて、哀悼あいとうの意いを示しめすとともに緒方おがたさんの功績こうせきをたたえました。

国連こくれん事務じむ総長そうちょう「人道じんどう主義しゅぎの手本てほん」

緒方おがたさんと同おなじ、難民なんみん高等こうとう弁務べんむ官かんを後ごに務つとめた国連こくれんのグテーレス事務じむ総長そうちょうは29日にち、声明せいめいを発表はっぴょうし、「深ふかく悲かなしんでいる。サダコ・オガタは世界中せかいじゅうの人々ひとびとにとって人道じんどう主義しゅぎの手本てほんだ」としてその死しを悼いたみました。

さらに、グテーレス事務じむ総長そうちょうは、「サダコ・オガタは原則げんそくと思おもいやりと効率こうりつ性せいという難民なんみん支援しえんの基準きじゅんをうち立たて、みずからの信念しんねんに基もとづく行動こうどうをとることにひるまなかった。初はつの女性じょせいの高等こうとう弁務べんむ官かんとして女性じょせいへの暴力ぼうりょくへの対応たいおうだけでなく、女性じょせいを社会しゃかいに参加さんかさせることに光ひかりを当あてた先駆せんく者しゃだった。彼女かのじょの貢献こうけんは人間にんげんの安全あんぜん保障ほしょうという考え方かんがえかたを具体ぐたい化かする上うえで退任たいにん後ごも長ながく続つづいた」として、今いまに続つづく国連こくれんの難民なんみん行政ぎょうせいの基盤きばんを確立かくりつしたと評価ひょうかしました。

そのうえで、みずからも後ごに同おなじポストを務つとめたことに触ふれ、「私わたしは高等こうとう弁務べんむ官かん当時とうじ、サダコ・オダカが類るいを見みない功績こうせきを残のこしたことを目の当まのあたりにした。何なに百ひゃく万まん人にんもの難民なんみんは彼女かのじょの責任せきにん感かんと熟達じゅくたつした仕事しごとのおかげでよりよい生活せいかつと機会きかいに恵めぐまれている。そして今いま、祖国そこくや自宅じたくから逃のがれた人々ひとびとは、彼女かのじょの功績こうせきがあったからこそよりよい待遇たいぐうを得えている」と功績こうせきをたたえました。

そして、「同僚どうりょうとして、友人ゆうじんとしてサダコ・オダカと知り合しりあえたことに感謝かんしゃしている。ご家族かぞくと日本にっぽんの国民こくみん、政府せいふ、そして彼女かのじょを敬うやまう世界中せかいじゅうの人々ひとびとにお悔おくやみを申し上もうしあげる」と結むすんでいます。

元もと同僚どうりょう「緒方おがたさんはテントの難民なんみん家族かぞくを最さい優先ゆうせん」

緒方おがたさんが国連こくれん難民なんみん高等こうとう弁務べんむ官かんだったころ、現場げんばでともに活動かつどうにあたり、今いまもＵＮＨＣＲゆ-えぬえいちし-あ-るで難民なんみん支援しえんを担当たんとうしているダニエル・エンドレスさんがＮＨＫえぬえいちけいの取材しゅざいに応おうじました。

エンドレスさんは、「緒方おがたさんは、とても率直そっちょくに話はなす人ひとでした。困難こんなんなことや間違まちがっていることがあれば、相手あいてを不快ふかいにさせることなく、シンプルなことばで伝つたえました。また、現場げんばを訪おとずれる際さいは、真っ先まっさきに、難民なんみんと話はなそうとし、テントに行いき、そこで暮くらす家族かぞくの体験たいけんをきちんと理解りかいすることに時間じかんを割さいていました」と、緒方おがたさんの仕事しごとぶりを振り返ふりかえりました。

一方いっぽうで、部下ぶかや同僚どうりょうに対にたいする気遣きづかいを欠かかさず、エンドレスさんが「スルメ」を好すきだと知しると、いつもお土産みやげとして持もってきてくれたということです。

こうしたつきあいは、緒方おがたさんがＵＮＨＣＲゆ-えぬえいちし-あ-るを去さったあとも続つづき、去年きょねん10月つきにも日本にっぽんで緒方おがたさんと会あったということです。

その時ときのことについて、エンドレスさんは、「緒方おがたさんは、『日本にっぽんは、アメリカや中国ちゅうごく、そのほかの国くにと比くらべると小ちいさな国くにだ。成功せいこうするには先見せんけんの明めいを持もち、素早すばやく行動こうどうに移うつすしかない』と話はなしていました。彼女かのじょはこの考かんがえをＵＮＨＣＲゆ-えぬえいちし-あ-るに持ち込もちこみ、私わたしたちは今いまも、この方針ほうしんに沿そっています」と述のべました。

そして、「一緒いっしょに働はたらくチャンスを得えることができたことに、とても感謝かんしゃしています。ただ、ありがとうございました、と伝つたえたいです」と話はなし、緒方おがたさんの死しを悼いたみました。

ＵＮＨＣＲゆ-えぬえいちし-あ-る職員しょくいん「思慮しりょ深ふかい決断けつだん下くだす人ひと」

また、ＵＮＨＣＲゆ-えぬえいちし-あ-るの女性じょせい職員しょくいんは、「いつも優やさしい方ほうとして知しられていましたが、同時どうじに、時宜じぎにかなった思慮しりょ深ふかい決断けつだんを下くだす堅実けんじつな方ほうでもありました。緒方おがたさんを知しる人ひとは、とても悲かなしんでいると思おもいます」と話はなしていました。