岸田きしだ総理そうり大臣だいじんは、日本にっぽん時間じかんの12日にち朝あさ早はやく、ワシントンのホワイトハウスで、アメリカのバイデン大統領だいとうりょうと、フィリピンのマルコス大統領だいとうりょうとの3か国かこくによる初はじめての首脳しゅのう会談かいだんに臨のぞみました。

冒頭ぼうとう、岸田きしだ総理そうり大臣だいじんは「世界せかいが複合ふくごう的てきな危機ききに直面ちょくめんする中なか、国際こくさい秩序ちつじょの維持いじ・強化きょうかに向むけて同盟どうめい国こく、同志どうし国こくとの重層じゅうそう的てきな協力きょうりょくが重要じゅうようで、きょうの会合かいごうは取り組とりくみを大おおきく前進ぜんしんさせる歴史れきし的てきな会合かいごうになる。3か国かこくの協力きょうりょくのさらなる強化きょうかを確認かくにんし、具体ぐたい的てきな方向ほうこう性せいを示しめしたい」と述のべました。

会談かいだんでは、中国ちゅうごくによる南シナ海みなみしなかいでの攻撃こうげき的てきな行動こうどうや、東シナ海ひがししなかいでの一方いっぽう的てきな現状げんじょう変更へんこうの試こころみへの深刻しんこくな懸念けねんを共有きょうゆうした上うえで、3か国かこくの海上かいじょう保安ほあん機関きかんによる合同ごうどう訓練くんれんに加くわえ、海域かいいきのパトロールを行おこなうなど、海洋かいよう安全あんぜん保障ほしょう協力きょうりょくを強化きょうかしていくことで一致いっちしました。

自衛隊じえいたいと各国かっこく海軍かいぐんの合同ごうどう演習えんしゅうや、日にち米べい両国りょうこくによるフィリピン軍ぐんの近代きんだい化か支援しえんといった防衛ぼうえい協力きょうりょくを推進すいしんしていくことも確認かくにんしました。

またバッテリーの材料ざいりょうに欠かかせないニッケルなどの重要じゅうよう鉱物こうぶつや半導体はんどうたいの供給きょうきゅう網もうの構築こうちくなど、経済けいざい安全あんぜん保障ほしょう分野ぶんやでの協力きょうりょくを強化きょうかすることも申し合もうしあわせました。

さらに、フィリピンのルソン島るそんとう周辺しゅうへんの航路こうろなど、インフラの連結れんけつ性せいを高たかめる回廊かいろうプロジェクトを立たち上あげ、港湾こうわん施設しせつといったインフラ整備せいびを推進すいしんしていくことでも合意ごういしました。

バイデン大統領だいとうりょう 連携れんけい強化きょうかの意義いぎを強調きょうちょう

会談かいだんの冒頭ぼうとう、アメリカのバイデン大統領だいとうりょうは「われわれが1つになれば皆みなのためによりよい未来みらいをつくることができる。インド太平洋たいへいよう地域ちいき、そして世界せかいの人ひとたちのためのよりよい未来みらいだ」と述のべて3か国かこくが連携れんけいを強化きょうかすることの意義いぎを強調きょうちょうしました。

また「アメリカによる日本にっぽんやフィリピンの防衛ぼうえいへの関与かんよは強固きょうこだ。南シナ海みなみしなかいにおけるフィリピンの航空こうくう機きや船ふね、それに軍ぐんに対にたいするいかなる攻撃こうげきにも相互そうご防衛ぼうえい条約じょうやくが適用てきようされる」と述のべて南シナ海みなみしなかいで威圧いあつ的てきな行動こうどうを続つづける中国ちゅうごくをけん制けんせいしました。

マルコス大統領だいとうりょう「共通きょうつうのビジョン」

フィリピンのマルコス大統領だいとうりょうは「われわれはきょう共通きょうつうのビジョンや、インド太平洋たいへいよう地域ちいきの平和へいわと安定あんてい、そして繁栄はんえいへの追求ついきゅうで結むすばれた友人ゆうじんやパートナーとして集あつまっている。このパートナーシップは利便りべん性せいから誕生たんじょうしたものではなく、民主みんしゅ主義しゅぎやよい統治とうち、法ほうの支配しはいを深ふかく尊重そんちょうする3か国かこくが関係かんけいや断固だんことした協力きょうりょくを深ふかめる中なかで、自然しぜんに誕生たんじょうしたものだ」と述のべ3か国かこくの今後こんごの連携れんけい強化きょうかに期待きたいを示しめしました。

【記者きしゃ解説かいせつ】3か国かこくの連携れんけい 課題かだいは

（ワシントン支局しきょく 渡辺わたなべ公こう介かい記者きしゃ）

Q. アメリカにとって、3か国かこくの首脳しゅのう会談かいだんの成果せいかは？

最大さいだいのライバル、中国ちゅうごくへの対抗たいこうを念頭ねんとうに、民主みんしゅ主義しゅぎの価値かち観かんを共有きょうゆうする3か国かこくで首脳しゅのうレベルの枠組わくぐみを設もうけ、結束けっそくを示しめしたことです。3か国かこくの会談かいだんの冒頭ぼうとう、バイデン大統領だいとうりょうは「われわれが1つになればよりよい未来みらいをつくることができる」と述のべ、連携れんけいを強化きょうかする意義いぎを強調きょうちょうしました。

中国ちゅうごくが台頭たいとうし、相対そうたい的てきにアメリカの力ちからが低下ていかする中なか、バイデン政権せいけんは、2国こく間かんの同盟どうめいだけでなく、同盟どうめい国こくどうしの横よこのつながりも強つよめようとしてきました。その一環いっかんが、日にち米べい韓かんの枠組わくぐみや、イギリス、オーストラリアとの安全あんぜん保障ほしょうの枠組わくぐみ「AUKUS」です。今回こんかいの日本にっぽん、フィリピンとの3か国かこくの枠組わくぐみについてバイデン政権せいけんは、いわば“総そう仕上しあげ”と位置いちづけています。

Q. 日本にっぽん、アメリカ、フィリピンの連携れんけいが強つよまった一方いっぽうで、課題かだいもあるのでしょうか？

南シナ海みなみしなかいで中国ちゅうごくが威圧いあつ的てきな行動こうどうを強つよめる中なか、この枠組わくぐみをいかに迅速じんそくかつ効果こうか的てきに機能きのうさせていくかだと思おもいます。南シナ海みなみしなかいのセカンド・トーマス礁の海域かいいきでは中国ちゅうごく海うみ警局きょくの船ふねがフィリピンの運搬船うんぱんせんに放水ほうすい銃じゅうを発射はっしゃし、けが人けがにんが出でる事態じたいとなっており、バイデン政権せいけんは、これ以上いじょうの緊張きんちょうの高たかまりは避さけたいと考かんがえています。

南シナ海みなみしなかいで仮かりに力ちからによる現状げんじょう変更へんこうを許ゆるせば、台湾たいわんをはじめ他たの地域ちいきにも波及はきゅうする可能かのう性せいがあります。ただ、アメリカはウクライナや衝突しょうとつの拡大かくだいが懸念けねんされる中東ちゅうとうへの対応たいおうも迫せまられる中なか、南シナ海みなみしなかいだけに集中しゅうちゅうできないのが実情じつじょうです。バイデン政権せいけんは、日本にっぽんに対にたいしフィリピンへの安全あんぜん保障ほしょう協力きょうりょくや経済けいざい協力きょうりょくをはじめこの地域ちいきで果はたす役割やくわりの拡大かくだいをさらに求もとめていくものとみられます。