パリオリンピックの代表選考を兼ねた体操の全日本選手権は、大会2日目の12日、群馬県高崎市で男子の予選が行われました。
パリ大会の男子の日本代表は5人で、すでに代表に内定している橋本選手を除く4人が、全日本選手権の予選と決勝の合計得点を持ち点に争う来月のNHK杯で選ばれます。
12日は、去年の世界選手権の個人総合と団体、それに種目別の鉄棒で金メダルを獲得し、大会4連覇を目指す橋本選手や、おととし、世界選手権の種目別のゆかで銅メダルを獲得した22歳の土井陵輔選手などが出場しました。
橋本選手は、最初の種目の平行棒で、新たに組み込んだ片手で体を支えながら体をひねる「マクーツ」という技を成功させるなど、14.833の高得点をマークし好スタートを切りました。
続く2種目目、得意の鉄棒はF難度の「リューキン」やG難度の「カッシーナ」などの大技を高い完成度でこなし、15.100でこの種目トップに立ちます。
5種目目は冬場に力を入れてきたつり輪で、技の出来栄えを示す「Eスコア」で高得点をたたき出すなど、6種目すべてで安定した演技を見せて合計88.199をマークし、2位に2点以上の大差をつけて予選トップに立ちました。
2位は、世界ジュニア選手権を制した若手のホープ、20歳の岡慎之助選手で、得意の平行棒でミスがあったものの、ゆかやつり輪で高得点をマークし合計86.166、3位は、東京オリンピックの団体銀メダルに貢献した萱和磨選手で合計85.864でした。
男子の決勝は、14日に行われます。
橋本大輝「ノーミスでやりきれた 高校生の時以来」
橋本大輝選手は「最初の種目の平行棒で緊張して慎重になり、硬くなってしまったが、そのあとは演技に集中して気を抜かずにできたのがよかった」と冷静に振り返りました。
そして、6種目の合計得点について「久々に88点台が出たので自分を褒めてもいいかなと思う。全日本選手権の予選をノーミスでやりきれた。高校生の時以来だ」と話していました。
そのうえで、決勝に向けて「悔いが残るのが、ゆかと平行棒で、決勝までに修正したい。体をうまく合わせて、いい演技がしたい」と話していました。
岡慎之助「油断せず 勝つことにこだわりたい」
岡慎之助選手は「ミスはあったが86点台という得点は結構取れたと思う。油断せず、目の前のことに集中して着地までしっかり決め、0.1を拾っていくことを大切に、勝つことにこだわりたい」と話していました。
また、力を入れて取り組んできたつり輪について「満足のいく内容だった。欲張らないことをテーマに、いつもどおり着地もしっかり決められて、トレーニングの成果が出てきている」と振り返りました。
萱和磨「課題残ったが あまり気にせずにやりたい」
萱和磨選手は「まずまずだ。比較的いつもどおりフラットにできた。磨いてきた技の出来栄えを示す『Eスコア』も評価され、少しずつ手応えを感じている。ゆかで危ない場面があり、決勝への課題は残ったが、あまり気にせずにやりたい」と話していました。
そして、決勝に向け「順位よりも、淡々と残りの試合をやる。代表選考は、ミスしないことがとても大切だと思う」と落ち着いた表情で話していました。