国くにや訴うったえによりますと、死刑しけい囚しゅうに対にたいする死刑しけい執行しっこうの告知こくちについては法律ほうりつで定さだめられた規定きていはなく、1970年代ねんだいごろまでは前日ぜんじつまでに本人ほんにんに告知こくちされていましたが、現在げんざいは「事前じぜんに告知こくちした場合ばあい、心情しんじょうの安定あんていを著いちじるしく害がいする」などとして執行しっこうの1、2時間じかん前まえに告知こくちしています。

この運用うんようについて、死刑しけい囚しゅう2人にんが、弁護士べんごしへの接見せっけんや執行しっこうの不服ふふくを申し立もうしたてることができず、適正てきせいな手続てつづきを保障ほしょうした憲法けんぽうに違反いはんするなどと主張しゅちょうし、国くにに慰謝いしゃ料りょうや当日とうじつの告知こくちによる執行しっこうを受うける義務ぎむがないことの確認かくにんを求もとめる訴うったえを起おこしました。

これまでの裁判さいばんで原告げんこく側がわは、1955年ねんに執行しっこう2日にち前まえに告知こくちを受うけた死刑しけい囚しゅうが、家族かぞくと面会めんかいし、後悔こうかいのことばを話はなす様子ようすなどを録音ろくおんした音声おんせいを提出ていしゅつして「事前じぜんの告知こくちはより罪つみと向き合むきあえる」などと主張しゅちょうしていました。

15日にちの判決はんけつで大阪おおさか地方ちほう裁判所さいばんしょの横田よこた典子のりこ裁判さいばん長ちょうは「原告げんこくの死刑しけい囚しゅうは、当日とうじつ告知こくちを前提ぜんていとした死刑しけい執行しっこうを受け入うけいれなければならない立場たちばであり、訴うったえは確定かくていした死刑しけい判決はんけつを実質じっしつ的てきに無む意味いみにすることを求もとめるもので認みとめられない」などとして訴うったえを退しりぞけました。

この裁判さいばんは、死刑しけい制度せいどの在り方ありかたの議論ぎろんにつなげようと起おこしたもので、裁判所さいばんしょの判断はんだんが注目ちゅうもくされていました。

弁護べんご団だん「死刑しけい囚しゅうの苦くるしみ考かんがえていない判決はんけつ」

判決はんけつのあと弁護べんご団だんが会見かいけんを開ひらき、「毎日まいにち、死刑しけい執行しっこうの恐怖きょうふを感かんじている死刑しけい囚しゅうの苦くるしみを考かんがえていない判決はんけつだ。事前じぜんの告知こくちがあれば、何なんらかの準備じゅんびができるのに残酷ざんこくだ」などと述のべ、控訴こうそする考かんがえを示しめしました。

法務省ほうむしょう「国くにの主張しゅちょうが受け入うけいれられたと認識にんしき」

判決はんけつを受うけて法務省ほうむしょうは「国くにの主張しゅちょうが受け入うけいれられたものと認識にんしきしています」とコメントしています。