高校こうこう野球やきゅうの金属きんぞくバットは、打球だきゅうがピッチャーに当あたって、けがをするのを防ふせぐことなどを目的もくてきに、ことしから反発はんぱつ力りょくを抑おさえた新あらたな基準きじゅんが導入どうにゅうされ

▽バットの直径ちょっけいの上限じょうげんをこれまでより3ミリ小ちいさくし、64ミリとすることや

▽金属きんぞくの厚あつみを4ミリ以上いじょうに厚あつくすると定さだめられました。

こうした中なか、製品せいひん安全あんぜん協会きょうかいがバットを調査ちょうさしたところ、14のメーカーのうち5社しゃが販売はんばいしているバットについて、基準きじゅんを満みたしていないことがわかったとして、19日にちから使用しようを禁止きんしすると発表はっぴょうしました。

使用しようが禁止きんしされるのは

▽XANAX

▽三共スポーツさんきょうすぽ-つ

▽ハイゴールド

▽イソノ

▽ボルテカの5社しゃが販売はんばいしているもので

いずれも金属きんぞくの厚あつみが基準きじゅんの4ミリ以上いじょうを満みたさない3.5ミリ程度ていどだということで、反発はんぱつ力りょくを抑おさえられず打球だきゅうが速はやくなる可能かのう性せいがあるということです。

5社しゃのバットはいずれも中国ちゅうごくの同おなじ工場こうじょうで製造せいぞうされているということで、事前じぜんの検査けんさの際さいには基準きじゅんを満みたしていましたが、大量たいりょう生産せいさんされた製品せいひんには問題もんだいがあったとしています。

すでに出荷しゅっかされている3300本ほん余あまりの5社しゃのバットは自主じしゅ回収かいしゅうされ、高野連こうやれんでは加盟かめい校こうに代かわりのバットを配布はいふするとしています。

新しん基準きじゅんの金属きんぞくバット 性能せいのうと使用しよう状況じょうきょう

ことしから導入どうにゅうされた新あらたな基準きじゅんの金属きんぞくバットは、高野連こうやれんの試験しけんや大会たいかいのデータからも打球だきゅうが飛とばないことが顕著けんちょとなっています。

高野連こうやれんが試作しさく品ひんを使つかって行いった試験しけんでは、従来じゅうらいのバットより

▽打球だきゅうの初速しょそくが3.6％

▽反発はんぱつ性能せいのうは5％から9％落おちました。

飛ひ距離きょりについては、球場きゅうじょうに吹ふく風かぜなどさまざまな影響えいきょうを受うけるため、一概いちがいには言いえないものの、従来じゅうらいのバットと、新しん基準きじゅんと性能せいのうが近ちかいバットを比較ひかくすると、最大さいだい飛ひ距離きょりで5、6メートル落おちるということです。

先月せんげつのセンバツ高校こうこう野球やきゅうでは、ホームランはランニングホームラン1本ほんを含ふくむわずか3本ほんにとどまり、高校こうこう野球やきゅうに金属きんぞくバットが導入どうにゅうされて初はじめての大会たいかいとなった1975年ねん以降いこうでは、最もっとも少すくなくなりました。

3本ほんのホームランはいずれも基準きじゅんを満みたしたメーカーのバットが使つかわれていました。

一方いっぽうで、センバツでは、一部いちぶで基準きじゅんを満みたさないバットが使用しようされたということですが、高野連こうやれんは記録きろくは取り消とりけさないとしています。

日本にっぽん高校こうこう野球やきゅう連盟れんめい「極きわめて重大じゅうだいな違反いはん」

基準きじゅんに満みたない金属きんぞくバットが販売はんばいされていたことについて、日本にっぽん高校こうこう野球やきゅう連盟れんめいの井本いもと亘わたる事務じむ局長きょくちょうは「新しん基準きじゅんをつくるために試行しこう錯誤さくごしてやっとたどり着たどりついたという時ときにこういう事態じたいが起おきてしまった。最もっとも被害ひがいを受うけているのは違反いはんのバットを持もっている全国ぜんこくの部員ぶいんだ。連盟れんめいとしては極きわめて重大じゅうだいな違反いはんだと言いわざるを得えない」としています。

1本ほんあたり3万まん5000円えん程度ていど “1本ほん減へるのは厳きびしい”

センバツでも「飛とばないバット」として注目ちゅうもくを集あつめた金属きんぞくバットをめぐって明あきらかになった今回こんかいの問題もんだい。

予算よさんが限かぎられる高校こうこうにとって、影響えいきょうは少すくなくないとみられます。

ことしから導入どうにゅうされた新あらたな基準きじゅんの金属きんぞくバットは、価格かかくが1本ほんあたり3万まん5000円えん程度ていどで従来じゅうらいより1万まん円えんほど高たかくなっています。

高野連こうやれんは、全国ぜんこくの加盟かめい校こうの経済けいざい的てきな負担ふたんを減へらすため、希望きぼうした3814校こうに新あらたな基準きじゅんのバットを去年きょねん秋あきから3本ほんずつ配布はいふしています。

このうち、1本ほんは各校かくこうが14社しゃから希望きぼうのバットを選えらんだほか、残のこりの2本ほんは、高野連こうやれんが各社かくしゃから均等きんとうになるように購入こうにゅうしたうえで各校かくこうに配布はいふしていて、基準きじゅんを満みたしていない5社しゃのバットは全国ぜんこく47都道とどう府県ふけんの高校こうこうに合あわせておよそ2100本ほんが配くばられているということです。

高野連こうやれんが全国ぜんこくの加盟かめい校こうにすでに配布はいふしたり、今後こんご、配布はいふする予定よていだったバットのおよそ2割わりにあたります。

ことしのセンバツでも5校こうが基準きじゅんを満みたしていないバットを持ち込もちこみ、一部いちぶが使つかわれていたことが確認かくにんされているということです。

今回こんかいの問題もんだいで大おおきな影響えいきょうを受うけるとみられるのが、予算よさんが限かぎられる公立こうりつ高校こうこうです。

このうち、兵庫ひょうごのある県立けんりつ高校こうこうでは、試合しあいと練習れんしゅうで新あらたな基準きじゅんのバット6本ほんを使つかっていますが、このうち、高野連こうやれんから配くばられた1本ほんが基準きじゅんを満みたしていませんでした。

バッティング練習れんしゅうや、公式こうしき戦せんに持ち込もちこんで試合しあい前まえの素振そぶりなどでこのバットを使つかっていましたが、高野連こうやれんの発表はっぴょうを受うけて18日にちの練習れんしゅうから使用しようをやめたということです。

この高校こうこうの監督かんとくは「なぜそんなことが起おきるのか不思議ふしぎに感かんじます。安やすいものではないため、配布はいふしてもらったバットがありがたかったので、練習れんしゅうや試合しあいで使つかえる1本ほんが減へるのは厳きびしいです」と話はなしていました。