しかし、専門家から「外来医療の状況などを重視したレベル設定にすべきだ」といった意見が出されたため、レベルの位置づけなどを見直したうえで、了承しました。
新たな対応方針では、現在、5段階あるレベルのうち、感染者がいない「レベル0」がなくなりました。
また、外来診療に患者が殺到し、重症化リスクの高い人がすぐに受診できない場合をレベル3の「医療負荷増大期」と位置づけました。
さらに、最も深刻なレベル4は、医療全体が機能不全の状態になる「医療機能不全期」とし、出勤の大幅抑制や帰省・旅行の自粛、それに、イベントの延期などより強力な要請を可能にしています。 政府は、こうした方針を都道府県に示すとともに、今後の感染状況を見極めながら、運用を始める時期などを検討することにしています。
この中で尾身会長は第8波の見通しについて「オミクロン株にふさわしい医療体制の整備やワクチン接種の推進、抗原検査キットの準備、そして、個人の基本的対策の徹底をこれからも行っていけば医療がひっ迫する事態を回避することが可能だと考えている」と述べました。 そして尾身会長は分科会で示されたレベルごとの対策について、 レベル3は「医療負荷増大期」 レベル4は「医療機能不全期」 と位置づけられると説明したうえで、「レベル3や4で行われる強い対応は、これまでやってきた対策をしっかり実行してもさらに感染が拡大し、医療の機能不全が起きてしまいそうなときに、それを回避するためにやるべきことという位置づけで、危機管理として最悪のことに備えた対応策だ。私たちはこれまでの対応で多くの対策の在り方について学んで、ワクチン接種も広がってきた。レベル4の状況になっても緊急事態宣言やまん延防止等重点措置を出さない形で対応すべきだというのが分科会での議論だった」と述べました。
どのレベルにあるかの判断の際には感染状況は参考にするものの、医療の負荷や社会経済活動の状況を踏まえて都道府県が総合的に判断するとしています。
国が取るべき対応としては、インフルエンザとの同時流行に備えて、 ▽ワクチン接種や、 ▽発熱時に自分で対応できるよう検査キットや解熱鎮痛剤の購入、 ▽基本的な感染対策の徹底などを呼びかけ、都道府県などに発熱外来やオンライン診療体制の整備を求めるとしています。
救急外来の患者が増えて、病床使用率はおおむね30%から50%ほどで、感染者が急速に増え始めることで職場でも欠勤者が増加し始め、業務を続けるのに支障が生じる事業者も出始めるとしています。 国が取るべき対応としては、 ▽重症化リスクのある人が受診できるよう協力を呼びかけるとともに、 ▽オミクロン株対応のワクチン接種をさらに推進すること、 ▽医療機関や高齢者施設、学校などで有効な感染対策を行うことなどを求めるほか、患者の受け入れについて医療機関に協力要請を行うとしています。
病床使用率や重症病床の使用率はおおむね50%を超えるのが目安としています。 また、職場で欠勤者が多数出て業務継続が困難になる事業者も多く出て、重点医療機関での医療従事者の欠勤が急増するとしています。 レベル3の段階で、大きな感染拡大が起きている都道府県は「対策強化宣言」を行って、行動制限はしないものの感染拡大を防ぐための対策を講じます。 住民に対してより慎重な行動を要請でき、 具体的には、 ▽ふだんと異なる症状がある場合は外出や出勤、登校などを控える行動を徹底することや、 ▽混雑した場所や感染リスクの高い場所に行くことなど感染拡大につながる行動を控えること、 それに ▽特に、大人数での会食や大規模イベントの参加は見合わせることも含めて慎重に判断することなどを挙げています。 さらに、医療体制を維持するために濃厚接触者となった医療従事者が、待機期間中でも出勤できるような運用を可能なかぎり行うよう医療機関に要請するほか、クラスターが発生しやすい高齢者施設などで集中的な検査を行うことも求めます。
欠勤者が膨大な数になり、社会インフラの維持にも支障が生じる可能性があり、多くの医療従事者の欠勤と相まって入院医療もひっ迫するとしていて病床使用率や重症病床の使用率はおおむね80%を超えるのが目安としています。 レベル4になった場合や感染拡大のスピードが急激で対策が追いつかず、レベル4に移行しつつあると判断される場合は都道府県は「医療非常事態宣言」を出して、住民や事業者に対して人との接触機会を減らすことについてより強力な要請を行うことができるとしています。 医療非常事態宣言のもとでは、 ▽出勤の大幅な抑制や帰省や旅行の自粛など、外出や移動は必要不可欠なものに限るよう要請し、 ▽飲食店や施設の時短営業は要請しないもののイベントは延期し、 ▽学校の授業は原則として継続するものの部活動の大会や学校行事は開催方法を変更するなど、慎重な対応を要請します。 また、国は災害医療的な対応として国やほかの地域からの医療人材の派遣などを行うとしています。
感染が全国で拡大傾向にある中、発熱外来を設置する東京都内のクリニックでは、今月に入って受診に訪れる人が増えていて、医師は重症化リスクの低い人に対し、抗原検査キットで検査を行い自宅療養をするという国の対策を理解したうえで、検査キットや解熱剤などの準備をしておいてほしいと呼びかけています。
感染が確認された人の多くは「第7波」で感染しておらず、オミクロン株の「BA.5」に感染した人がほとんどと見られる一方、オミクロン株の変異ウイルス、「XBB」に感染した疑いがある人もいたということでした。 インフルエンザの同時流行も懸念される中、クリニックは、重症化のリスクがある子どもや高齢者などが受診できるよう、重症化リスクの低い人に対し、抗原検査キットで検査を行い自宅療養をするという国の対策を理解したうえで、検査キットや解熱剤などの準備をしておいてほしいと呼びかけています。
尾身会長「レベル4でも宣言など出さない形で対応すべき」
レベルを4段階に 新たな対応方針とは
【レベル1】感染小康期
【レベル2】感染拡大初期
【レベル3】医療負荷増大期
【レベル4】医療機能不全期
発熱外来 受診に訪れる人が増加