NASA 月探査ロケット打ち上げ予定も“燃料漏れ確認で対応中” - Easy News

アポロ計画けいかく以来いらいとなる宇宙うちゅう飛行ひこう士しによる月つき探査たんさに向むけ、無人むじんの宇宙うちゅう船せんを搭載とうさいした大型おおがたロケットがこのあと、日本にっぽん時間じかんの午後ごご3時じ過すぎにアメリカのケネディ宇宙うちゅうセンターから打ち上うちあげられます。現在げんざい、打ち上うちあげに向むけたカウントダウンが続つづいていますが、NASA＝アメリカ航空こうくう宇宙うちゅう局きょくは、ロケットから燃料ねんりょう漏もれが確認かくにんされ対応たいおうしていることを明あきらかにし、無事ぶじに打ち上うちあげられるか注目ちゅうもくが集あつまっています。

NASA＝アメリカ航空こうくう宇宙うちゅう局きょくは、日本にっぽんやヨーロッパも参加さんかする国際こくさい的てきな月つき探査たんさ計画けいかく「アルテミス計画けいかく」で2025年ねんを目標もくひょうに、アポロ計画けいかく以来いらいとなる宇宙うちゅう飛行ひこう士しによる月面げつめん着陸ちゃくりくを目指めざしています。

計画けいかくの第だい1段階だんかいとして、日本にっぽん時間じかんの16日にち午後ごご3時じ4分ふん、アメリカ・フロリダ州しゅうのケネディ宇宙うちゅうセンターから大型おおがたロケット「SLS」＝「スペース・ローンチ・システム」の打ち上うちあげが予定よていされています。

現在げんざい、打ち上うちあげに向むけたカウントダウンが続つづいていますが、NASAは、燃料ねんりょうの水素すいそを注入ちゅうにゅうする際さいに漏もれが発生はっせいし対応たいおうしていることを明あきらかにしました。

SLSは今回こんかいの計画けいかくに合あわせて新あらたに開発かいはつされたロケットで、同おなじく新あらたに開発かいはつされた宇宙うちゅう船せん「オリオン」が無人むじんの状態じょうたいで搭載とうさいされています。

オリオンにはマネキンが3体たい載のせられていて、予定よていどおり打ち上うちあげられれば、月つきを周回しゅうかいして再ふたたび地球ちきゅうに戻もどる、およそ25日間にちかんの試験しけん飛行ひこうを行おこなって衝撃しょうげきや放射線ほうしゃせんの影響えいきょうなど、将来しょうらいの有人ゆうじん飛行ひこうに向むけ必要ひつようなデータを集あつめることになっています。

このロケットの打ち上うちあげは当初とうしょ8月つきに予定よていされていましたが、ロケットの不ふ具合ぐあいや、天候てんこうの影響えいきょうで度々たびたび、延期えんきされていて、今回こんかい、無事ぶじに半はん世紀せいきぶりに月つきを目指めざす第一歩だいいっぽが踏み出ふみだせるか、注目ちゅうもくが集あつまっています。

ケネディ宇宙うちゅうセンター周辺しゅうへんに多おおくの観光かんこう客きゃく

半はん世紀せいきぶりの宇宙うちゅう飛行ひこう士しによる月つき探査たんさの第一歩だいいっぽとなるロケットの打ち上うちあげを一目いちもく見みようと、ケネディ宇宙うちゅうセンターがあるフロリダ州しゅうケープカナベラルや、その周辺しゅうへんには多おおくの人ひとが集あつまっています。

ケネディ宇宙うちゅうセンターが見みえる公園こうえんには、打ち上うちあげ時刻じこくの8時間じかん以上いじょう前まえからキャンピングカーなどで大勢たいせいの人ひとがやってきて、双眼そうがん鏡きょうやカメラで発射はっしゃ台だいの方向ほうこうを見みたり、写真しゃしんを撮とったりして打ち上うちあげを待まっていました。

このうち、イギリスから打ち上うちあげを見みにきたという男性だんせいは「月つき探査たんさへの第一歩だいいっぽが見みられるのは一生いっしょうに一いち度どの機会きかいです。将来しょうらい、超ちょう重量じゅうりょう級きゅうのロケットや宇宙うちゅう船せんが誕生たんじょうする可能かのう性せいがあり、とても興奮こうふんしています」と話はなしていました。

また、中西部ちゅうせいぶオハイオ州しゅうから車くるまで20時間じかんかけてやってきたという夫婦ふうふは「ここに到着とうちゃくしたら、どんどん気分きぶんが盛り上もりあがってきました。たびたびカウントダウンの途中とちゅうで延期えんきされましたが、3度目どめの正直しょうじきで成功せいこうすると思おもいます」と興奮こうふんした様子ようすで話はなしていました。

地元じもとの観光かんこう当局とうきょくによりますと、今回こんかいの打ち上うちあげに合あわせておよそ10万まん人にんの観光かんこう客きゃくがこの地域ちいきを訪おとずれると見込みこんでいるということです。

今回こんかい打ち上うちあげられる「SLS」とは

今回こんかい打ち上うちあげられるNASAのロケット「SLS」は小型こがた衛星えいせいを10機き搭載とうさいする予定よていでそのうち2機きが日本にっぽんの探査たんさ機きです。

2機きのサイズは1辺へんがそれぞれおよそ11センチ、24センチ、37センチといういわゆる“超ちょう小型こがた”で、いずれも地球ちきゅうの近ちかくで分離ぶんりされたあと自力じりきで月つきへ向むかいます。

JAXAによりますと、打ち上うちあげが延期えんきになったあと、先月せんげつ13日にちに2機きともにバッテリーの充電じゅうでんを行おこなうなど、必要ひつような作業さぎょうを終おえているということです。

月面げつめん着陸ちゃくりくを目指めざす探査たんさ機きは「OMOTENASHI（オモテナシ）」

このうち「OMOTENASHI」は今回こんかいの打ち上うちあげで唯一ゆいいつ、月面げつめん着陸ちゃくりくを目指めざす探査たんさ機きです。

日本にっぽんはこれまで、月面げつめんに着陸ちゃくりくした実績じっせきがなく、成功せいこうすれば、旧きゅうソビエト（1966年ねん）、アメリカ（1966年ねん）、中国ちゅうごく（2013年ねん）に続つづく4番目ばんめとなります。

「OMOTENASHI」は、ロケットから分離ぶんりされたあと探査たんさ機きが持もつガスジェットを噴射ふんしゃして、月つきに向むけて軌道きどうを修正しゅうせい。そして、月つきに降り立おりたつ直前ちょくぜんに、着陸ちゃくりく態勢たいせいに入はいるため、向むきを変かえるとともに、探査たんさ機きそのものを回転かいてんさせながら姿勢しせいを安定あんていさせます。

大気たいきのある地球ちきゅうと異ことなり、パラシュートを開ひらいて減速げんそくすることができないので速度そくどを落おとすための固体こたいロケットを進行しんこう方向ほうこうに噴射ふんしゃ。時速じそくをおよそ180キロまで落おとして月つきに衝突しょうとつさせます。

探査たんさ機きにはあらかじめ、衝撃しょうげきを吸収きゅうしゅうする緩衝かんしょう材ざいを入いれるなど、複数ふくすうの対策たいさくが施ほどこされていて、まさに月つきに「体からだ当あたり」で着陸ちゃくりくする計画けいかく。成功せいこうしたかどうかは、地球ちきゅうに送おくられる電波でんぱで確認かくにんすることにしています。

「OMOTENASHI」はミッションとして、月面げつめん着陸ちゃくりくのほか、月つきに向むかう軌道きどうに入はいった後のち、被ひばく線量せんりょうを1分ふんごとに計測けいそくする予定よていで、有人ゆうじんでの月つき探査たんさ活動かつどうに備そなえて、放射線ほうしゃせん環境かんきょうに関にかんするデータを集あつめることにしています。

月面げつめんに降り立おりたつことができれば、世界せかい最小さいしょうの月面げつめん着陸ちゃくりく機きになるということで、注目ちゅうもくされます。

月つきの裏側うらがわに回り込まわりこむ探査たんさ機きは「EQUULEUS（エクレウス）」

もう1つの探査たんさ機き「EQUULEUS」は、JAXAや東京とうきょう大学だいがくなどが共同きょうどうで開発かいはつ。地球ちきゅうからは見みえない月つきの裏側うらがわに回り込まわりこむ計画けいかくです。

そのエリアには、月つきと地球ちきゅうの引力いんりょくに加くわえて、探査たんさ機きの遠心えんしん力りょくが釣り合つりあう「ラグランジュ点てん」と呼よばれる場所ばしょが5か所かしょあり、この周辺しゅうへんにある軌道きどうに入はいると、最小さいしょう限げんの燃料ねんりょうでとどまり続つづけることが可能かのうです。

この特性とくせいを生いかすことで、将来しょうらい、月つきへのアクセスや、火星かせい探査たんさの重要じゅうよう拠点きょてんとなる「宇宙うちゅう港こう」の建設けんせつ場所ばしょになりうることから「ラグランジュ点てん」は宇宙うちゅう開発かいはつ上じょうの重要じゅうような場所ばしょだと位置いちづけられています。

「EQUULEUS」は、この場所ばしょに効率こうりつよく到達とうたつすることが目的もくてきで、ロケットからの分離ぶんり後ごは、推進すいしん剤ざいに水みずを使つかい、1年ねん半はんほどかけて月つきの重力じゅうりょくを使つかうなどして軌道きどうを変かえながら月つきの裏側うらがわにある「ラグランジュ点てん」に向むかう計画けいかくです。

そして、有人ゆうじんでの月つきや周辺しゅうへん探査たんさに重要じゅうような地球ちきゅう周辺しゅうへんの放射線ほうしゃせん環境かんきょうや、月つきにぶつかる隕石せきの撮影さつえいなどに挑戦ちょうせんすることになっています。

超ちょう小型こがたの探査たんさ機きは開発かいはつのコストやハードルが低ひくく、今後こんごも活用かつようの機会きかいが増ふえると期待きたいされることから、JAXAは月面げつめん着陸ちゃくりくや航行こうこうに必要ひつような技術ぎじゅつを実証じっしょうし、将来しょうらいの科学かがく探査たんさの可能かのう性せいを広ひろげるねらいです。