しかし、同時流行が懸念される中、医療機関のひっ迫を防ぐため、自宅で検査できる体制を整備すべきだという意見があがっていました。
こうした中、厚生労働省は28日、専門家部会を開いて、出された議論を踏まえて一般向けにも販売することを解禁することを決めました。
東京 杉並区の「たむら医院」の発熱外来では11月に入って新型コロナに加えインフルエンザの患者も出始めていますが、症状だけではどちらか判断することが難しいことから、同時検査キットの利用が進んでいます。
今月24日も患者がひっきりなしに訪れ、午前中だけで15人が新型コロナに、1人がインフルエンザに感染していると診断されました。 このうち9歳の女の子は38度を超える熱があり、同時検査キットで調べたところインフルエンザのA型に感染しているとわかりました。 また30歳の男性は、発熱の症状があるものの家族などに感染している人がいないということで、同時検査キットを使ったところ新型コロナと診断されました。
特にインフルエンザは発熱から陽性になるまでの時間がかかるので、自宅で同時検査キットを使う場合は、発熱後おおむね12時間以上たってから検査してほしいということです。 (※医療機関では早期に検査できる場合もあるので相談を) 時田医師は「のどが痛い、熱も出てきたといって、すぐ検査をしたくなる気持ちはわかります。しかし、特にワクチンを接種していると、最初からすぐにウイルス量が多くなく、陽性になりにくいケースもあります。検査の結果が陰性でも、仕事に行ったりせずにしっかり自宅で休んで様子を見て、時間を置いてもう一度検査をしてほしい」と話していました。
冷蔵庫の中に保管していたり、冬場で暖房が入っていない部屋で使うと反応が進まず、偽陰性になるケースがあります。 時田医師は「細かいことですが、温度も影響してきます。逆に、真夏に入手して放置していた検査キットを使うと偽陽性となることもあるので、適正に使用してほしい」と話していました。
鼻先で検査する場合も、「添付文書」と呼ばれる説明書に書かれている範囲内でなるべく奥の方まで綿棒を入れて、定められた回数、しっかりと綿棒を回転させて、入念に採取してほしいということです。
綿棒を溶液の中で回したり、容器の上から複数回もみ込んだりして、よく溶かすことが大切です。
検査キットごとに、定められた陽性の色と違う色が出現した場合は、陽性ではないのに反応した「偽陽性」の可能性があるということです。 時田医師は「鼻水の中の成分が入り込むことなどで、偽陽性になる場合があって、その時は例えばピンクのラインが出るはずなのにグレーのラインが出る、といったことがあります。本来の色ではなかったり、ラインが薄くて判断できない場合は、医療機関に相談してください」と話していました。
時田医師が強調するのは、同じ同時検査キットでも、医療機関で検査する場合と、自宅で行う場合で、精度に違いがあるということです。 このため、あくまでも発熱外来がひっ迫している時の補助的な手段として使うこと、検査の結果がすべてと思わず、特に症状があるのに陰性となったときは、結果に安心して外出したりしないことが大切としています。 そのうえで、自宅で使う場合もできるだけ正しい結果に近づけられるよう、添付文書をよく読んで、しっかりと使い方のポイントを抑えることが大切だといいます。 また、特に幼い子どもは、症状が似たさまざまな感染症にかかりやすく、中には重篤な結果となるものもあります。 このためコロナやインフルエンザが陰性でも安心せず、不安な症状があったらかかりつけ医を直接受診することが大切だということです。
このうち一般への販売が認められたのは、鼻の穴の内部の鼻くうから検体を採取することができるなどの条件を満たした、4社の5製品となります。 この4社のうち1社は一般への販売を行うとしたうえで、販売開始ができる時期や価格などは感染状況を考慮して検討するとしています。 残りの3社は、医療機関へ供給する在庫を確保するため、現時点では一般への販売は難しいとしています。 同時検査キットについて厚生労働省は医療機関向けには各メーカーで3900万回分の在庫が確保されているとしていますが、一般向けについては当面は供給が少なくなる見通しを示しています。
1医療機関当たりの1週間の患者数が全国で1人を超えると「全国的な流行期」入りとされていますが、今の時点では0.11人と大きく下回っています。 新型コロナウイルスの感染拡大以降、2020年と2021年はインフルエンザの感染は広がりませんでしたが、今月20日の時点で全国では31の都道府県で患者が報告されていて、1医療機関当たりの患者数は京都府が0.55人、大阪府が0.51人、東京都が0.30人と徐々に増えてきています。 前の週から微増していて、専門家は今後、患者が増えるおそれがあるとして注意を呼びかけています。
一方で、舘田教授は「注意すべきはコロナとインフルエンザで陽性になるタイミングが少し異なることだ。抗原検査では陰性だった場合でも、100%感染を否定できるものではないと理解する必要がある。陰性でも翌日にもう1回検査したり、調子が悪いときは外に出ずに感染を広げないような注意も必要になる」と指摘しています。
Q.同時検査キットはすでに使われていなかった?
Q.自宅ではどう使う 注意点は?
【ポイント1】発熱して12時間以上たってから
【ポイント2】 検査キットは冷やしすぎない
【ポイント3】 綿棒を回転させて入念に採取
【ポイント4】 検体をしっかり溶かす
【ポイント5】 結果の判定ラインは色に注目
【ポイント6】 精度の違いを理解して使う
Q.在庫は確保できるの?
Q.インフルエンザの感染者数は増えている?
Q.専門家はどうみている?