法案では、現在の法律では十分に対応できない悪質な寄付を規制しています。
具体的には、
▽法人などが霊感などの知見を使って不安をあおり、寄付が必要不可欠だと告げるなど、個人を困惑させる不当な寄付の勧誘行為を禁止しています。
また、
▽個人に借金させたり、自宅などを売らせたりしてまで資金を調達するよう要求することも禁じています。
そのうえで、
▽罰則も設けられ、禁止行為に違反し、行政の勧告や命令にも従わなかった場合には、1年以下の懲役か100万円以下の罰金の刑事罰が科されます。
さらに、
▽野党側が、マインドコントロールによる寄付の禁止を求めてきたことを踏まえ、法人などに、
・個人の自由な意思を抑圧し、適切な判断が困難な状況に陥らせることや
・個人や家族の生活の維持を困難にすることがないようにするなど、十分に配慮する義務を課すとしています。
・義務を怠った場合は、勧告や法人名の公表を行うとしています。
このほか、
▽被害者救済に向けて、
・不当な勧誘行為に基づく寄付に「取消権」を認めるほか、
・寄付した本人が取り消しを求めない場合でも、扶養されている子どもなどに一定の範囲内で「取消権」を認め、本来受け取れるはずだった養育費などを取り戻せるとしています。
また、
▽法案では、施行の2年後に見直しを行う規定も設けられています。
岸田総理大臣は、法案をめぐり「マインドコントロールによる寄付については、多くの場合、不安を抱いていることに乗じて勧誘されたものと言え『取消権』の対象となる。配慮義務は、禁止行為とする場合よりも、より幅広く行為を捉えることができ、民法上の損害賠償請求を容易にする効果が高い」と述べています。
一方、政府は、法案の規制対象について、
▽法人格のない団体も含めると説明しているほか、
▽集められた寄付金の帰属先を、組織の幹部などの個人に変えて規制対象から逃れる行為が起きないよう、対応を検討していくと説明しています。