このうち石川県羽咋市の施設では、避難している12人が新型コロナウイルスに感染していたことが分かりました。避難生活が長期化する中、感染症への対策も課題になっています。
羽咋市の「国立能登青少年交流の家」は地震の一時的な避難所となっていて、輪島市の障害者施設から家族を含め28人が避難しています。
この障害者施設を運営する「社会福祉法人弘和会」によりますと、20日までに避難してきた12人が新型コロナウイルスに感染したことが確認されたということです。
全員、症状は比較的軽いということです。
感染が確認されたあとは施設内の大部屋のテントに分かれて生活していて、今月30日に2次避難先の愛知県へ移動する予定だということです。
施設の畝和弘理事長はNHKの取材に対し「長引く避難生活による不安から来る睡眠不足や疲労感に加えて、発災からしばらくの間は栄養がある食事をあまり取ることができていなかったため、免疫力が落ちていたことが原因かもしれない。1日も早くなるべくストレスを感じないおだやかな生活環境を整えられるようにしたい」と話しています。
珠洲市の避難所 感染相次ぐも隔離する部屋なく
珠洲市正院町の旧飯塚保育所には、20日の時点でおよそ30人が避難していて60歳以上が9割以上を占めています。
避難所によりますと、これまでに5人の新型コロナウイルスの感染が確認されているということです。
このうち1人は避難所を離れて県外の病院に入院しましたが、それ以外の4人は避難所で療養していたということです。
避難所には隔離する部屋がないため、限られたスペースの中、パーティションで区切って療養し、食事や生活の支援を別の避難者がしていたということです。
避難所の責任者の坂尻孝司さんは「今のままだとさらに感染が広がる可能性がある。避難者で支え合いながら今はなんとか対応しているが、このやり方もいつまでできるかわからない。避難所の感染症対策を真剣に考えてほしい」と話していました。
県は消毒用品の配布や予防対策呼びかけ
19日に石川県内で新たに確認された感染症の患者数の内訳はインフルエンザや新型コロナウイルスなどの「急性呼吸器感染症」が95人、ノロウイルスなど「消化器系感染症」が16人となっています。
県は予防対策として保健師による避難所の巡回や消毒用品の配付を進めているほか、感染が疑われる場合には、ほかの被災者との隔離も実施しています。
石川県は避難所でも感染症が流行しているとして、マスクの着用や手洗いの徹底といった感染予防対策を呼びかけています。