神戸こうべ市しの理化りか学がく研究所けんきゅうじょなどのグループは、2014年ねんに「加か齢よわい黄き斑むら変性へんせい」という重おもい目めの病気びょうきの患者かんじゃにiPS細胞さいぼうから作つくった網膜もうまくの細胞さいぼう「網膜もうまく色素しきそ上皮じょうひ細胞さいぼう」をシート状じょうにして移植いしょくする世界せかい初はつの臨床りんしょう研究けんきゅうを実施じっししました。

移植いしょく手術しゅじゅつを担当たんとうした神戸こうべアイセンター病院びょういんの栗本くりもと康夫やすお院長いんちょうが6日にち、東京とうきょうで開ひらかれた学会がっかいでこの患者かんじゃの最新さいしんの経過けいかを報告ほうこくしました。

それによりますと、手術しゅじゅつから7年ねん半はんにわたり移植いしょくを受うけた患者かんじゃの目めを調しらべた結果けっか、細胞さいぼうシートは網膜もうまくに定着ていちゃくし、拒絶きょぜつ反応はんのうやがん化かなどは起おきなかったということです。

また、薬くすりによる治療ちりょうを繰り返くりかえしても低下ていかし続つづけていた視力しりょくが、移植いしょく後ごは下さがらずに維持いじされていることなどから、「長期ちょうき間かんの安全あんぜん性せいと一定いっていの効果こうかが確認かくにんされた」としています。

グループでは多おおくの人ひとに治療ちりょうを行おこなうため、京都大きょうとだい学がくの研究所けんきゅうじょが持もつiPS細胞さいぼうのストックから網膜もうまくの組織そしきの細胞さいぼうを作つくり、より手術しゅじゅつが簡単かんたんな「ひも状じょう」にして移植いしょくする臨床りんしょう研究けんきゅうを進すすめています。

栗本くりもと院長いんちょうは「世界せかい初はつの移植いしょくで安全あんぜん性せいを懸念けねんする声こえもあったが、計画けいかくどおりの結果けっかを示しめせてとてもうれしい。この治療ちりょうがどの施設しせつでも誰だれでも行おこなえるよう開発かいはつを続つづけたい」と話はなしています。