近代世界を一つのシステムとしてとらえる「世界システム論」で知られるアメリカの社会学者・歴史学者のイマニュエル・ウォーラーステインさんが8月31日死去しました。88歳でした。所属した米ニューヨーク州立大学ビンガムトン校の関係者が明らかにしました。
1930年、米ニューヨーク生まれました。国ごとの歴史ではなく、国際的な分業体制という観点から近代資本主義をみる世界システム論を確立しました。大航海時代以来、銀や砂糖、綿花などの交易を仲立ちにして、17世紀のオランダ、19世紀の英国、20世紀の米国といった「覇権(ヘゲモニー)国」を中心にした世界資本主義のシステムを形成したと主張しました。冷戦終結で権威が落ちたマルクス主義に代わる、巨視的な歴史理論として影響力を持ちました。