任天堂は2月26日、同社のゲーム機であるNintendo Switchのエミュレータ、Yuzuの開発者を告訴し、「大々的に海賊行為を助長している」と主張するとともに、米ロードアイランド州裁判所に対して、エミュレータの公開中止と開発者が所有するすべてのコピーの破棄を要求した。
訴状は、YuzuはWindowsパソコンなどのプラットフォームでSwitchのゲームをプレイすることを可能にすることで、コンピュータ機器を「任天堂などの『著作物』に対する大規模な知的財産権侵害するツール」に変えるものだと主張している。
具体的に任天堂は、YuzuがSwitchの暗号化レイヤーを違法に回避することによってゲームを他のプラットフォーム上でプレイできるようにしていると非難し、そのような復号化がなければ、ユーザーはゲームの不正コピーをパソコンやAndroid端末でプレイすることはできないとしている。
任天堂によると、Yuzuの主要開発者(オンライン上で「Bunnei」として知られている)は、Yuzuのウェブサイト上で、Nintendo Switch本体のハッキング方法やゲームの不正コピー方法をユーザーに提供していることを公に認めている。
任天堂は、デジタルミレニアム著作権法の迂回禁止(anti-circumvention)と不正取引禁止(anti-trafficking)条項の違反1件につき2500ドル(約37万円)および著作権法違反それぞれに対して15万ドル(約2256万円)の支払いを要求している。
さらに任天堂は、エミュレータ「Yuzu」のすべてのコピーおよび任天堂の著作権を侵害しているソフトウェアとハードウェアの公開中止、没収および破棄を法廷に要求した。
Yuzuはフォーブスのコメント要求にただちに返答しなかった。
エミュレータは本来、それ自体は違法ではないが、ユーザーがゲームの不正コピーをそこでプレイすると違法になる可能性がある。任天堂がYuzuを直接的な海賊行為ではなく、海賊行為を助長しているとして訴えた理由がそこになる。Yuzuは、Patreon社から資金援助を受けており、同社はユーザーに早期リリースへのアクセスや技術サポートおよびDiscordチャンネルへのアクセスを提供している。Patreonは7400人近い有償メンバーを有し、月間3万ドル(約450万円)近い収益がある。