「燃料ねんりょうデブリ」は、事故じこで溶とけ落おちた核かく燃料ねんりょうが周囲しゅういの構造こうぞう物ぶつと混まざり冷ひえて固かたまったものです。1号機ごうきから3号機ごうきまでの原子げんし炉ろや外側そとがわの格納かくのう容器ようきの下部かぶには、あわせて880トンの燃料ねんりょうデブリがたまっていると推定すいていされています。燃料ねんりょうデブリの取り出とりだしは、廃はい炉ろ作業さぎょうにおける最大さいだいの難関なんかんとされていますが、強つよい放射線ほうしゃせんで人間にんげんは近ちかづけず、内部ないぶ調査ちょうさに使つかわれるロボットも、事故じこで壊こわれた構造こうぞう物ぶつに行いく手てを阻はばまれるなどして、調査ちょうさの段階だんかいから作業さぎょうは難航なんこうしています。

格納かくのう容器ようき内部ないぶはいまだに全容ぜんようがつかめない状況じょうきょうですが、10年ねん以上いじょうかけてロボットによる調査ちょうさを重かさねた結果けっか、少すこしずつ1号機ごうきから3号機ごうきまでの状況じょうきょうが明あきらかになってきました。

その結果けっか、これまでに1号機ごうきから3号機ごうきの格納かくのう容器ようきの底そこの付近ふきんでは、燃料ねんりょうデブリの可能かのう性せいがある堆積たいせき物ぶつが見みつかっています。こうした成果せいかを踏ふまえ、国くにや東京とうきょう電力でんりょくは最もっとも内部ないぶ調査ちょうさが進すすんでいる2号機ごうきで、2022年ねん内ないにイギリスで開発かいはつされたロボットアームを使つかい試験しけん的てきな取り出とりだしに着手ちゃくしゅする計画けいかくでしたが、改良かいりょうや設計せっけいの見直みなおしなどが必要ひつようになり、1年ねんから1年ねん半はん程度ていど、延期えんきすることにしました。

ことし1月つきからは堆積たいせき物ぶつのサンプリング調査ちょうさが行おこなわれ、国くにや東京とうきょう電力でんりょくは、1年ねんほどかけて元素げんその種類しゅるいなどを分析ぶんせきするほか、堆積たいせき物ぶつの広ひろがりを3Dで再現さいげんするなどして、内部ないぶの状況じょうきょうを詳くわしく把握はあくすることを目指めざすとしています。

このうち2018年ねんに行おこなわれた調査ちょうさでは、格納かくのう容器ようきの底そこの付近ふきんで燃料ねんりょうデブリと見みられる厚あつさ40センチから70センチほどの小石こいし状じょうの堆積たいせき物ぶつがあることが確認かくにんされ、堆積たいせき物ぶつの硬かたさなどの調査ちょうさも行おこなわれました。現在げんざい、試験しけん的てきな取り出とりだし開始かいしに向むけた準備じゅんびが進すすめられています。

3号機ごうきは、2017年ねんの格納かくのう容器ようきの内部ないぶ調査ちょうさで、厚あつさ3メートルほどの燃料ねんりょうデブリとみられる堆積たいせき物ぶつが確認かくにんされました。その多おおくが水中すいちゅうにあると見みられていて、燃料ねんりょうデブリの取り出とりだし方法ほうほうについては、原子げんし炉ろ建屋たきのやを巨大きょだいな構造こうぞう物ぶつで覆おおい内部ないぶを水みずで満みたして取り出とりだすなど、複数ふくすうの案あんが検討けんとうされている段階だんかいで今後こんご、10年ねん程度ていどかけて取り出とりだし開始かいしを目指めざすとしています。

事故じこ当時とうじ、定期ていき検査けんさ中ちゅうだった4号機ごうきは原子げんし炉ろに核かく燃料ねんりょうはなかったものの使用しよう済ずみ燃料ねんりょうプールに1535体たいの核かく燃料ねんりょうが入はいっていました。事故じこのあと電源でんげんが失うしなわれ燃料ねんりょうプールの冷却れいきゃくができなくなった上うえ、原子げんし炉ろ建屋たきのやが3号機ごうきから流れ込ながれこんだ水素すいその影響えいきょうで水素すいそ爆発ばくはつを起おこして壊こわれました。燃料ねんりょうプールの水みずがなくなり、使用しよう済ずみ燃料ねんりょうなどの冷却れいきゃくができなくなると燃料ねんりょうが溶とけ出だすおそれがあるため東京とうきょう電力でんりょくや国くには燃料ねんりょうプールへの注水ちゅうすいへの対応たいおうに追おわれました。

その後そのご、東京とうきょう電力でんりょくなどは代替だいたいの冷却れいきゃく装置そうちなどでプールへ注水ちゅうすいするとともに、2013年ねん11月つきから使用しよう済ずみ燃料ねんりょうプールからの燃料ねんりょうの取り出とりだしを始はじめ、1年ねん余あまりあとの2014年ねん12月つきに取り出とりだしを終おえました。