エムポックス(サル痘) “重症じゅうしょう化かしやすい”タイプ 日本にっぽんの備そなえは

日本にっぽんの備そなえはどのようになっているのでしょうか。

【NHKプラスで配信はいしん中ちゅう】（2024年ねん8月つき25日にち午後ごご7:30まで）

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WHO「緊急きんきゅう事態じたい」を宣言せんげん

感染かんせん拡大かくだいの中心ちゅうしんとなっているのが、アフリカのコンゴ民主みんしゅ共和きょうわ国こくです。

ことしだけで1万まん4000人にん以上いじょうの感染かんせんが確認かくにんされ、500人にん以上いじょうが死亡しぼうしました。重症じゅうしょう化かしやすいとされる新あらたなタイプのウイルスが広ひろがっているとみられています。

感染かんせんは周辺しゅうへん国こくでも確認かくにんされ、WHOは「国際こくさい的てきに懸念けねんされる公衆こうしゅう衛生えいせい上じょうの緊急きんきゅう事態じたい」を宣言せんげんしました。

WHO テドロス事務じむ局長きょくちょう

「アフリカの中なか、そしてアフリカの外そとでさらに広ひろがるおそれがあり、憂慮ゆうりょすべきだ」

重傷じゅうしょう化かしやすいウイルス スウェーデンでも

今回こんかい、感染かんせんが広ひろがっているのはおととしと比くらべて重症じゅうしょう化かしやすいタイプのウイルスで、スウェーデンの保健ほけん当局とうきょくは15日にち、このタイプのウイルスによる感染かんせんが国内こくないで確認かくにんされ、アフリカ以外いがいでは初はじめての感染かんせん例れいだと発表はっぴょうしました。

患者かんじゃはアフリカで感染かんせんが拡大かくだいしている地域ちいきへの渡航とこう歴れきがあったということで、現在げんざいは隔離かくりされた状態じょうたいで治療ちりょうを受うけているとしています。

スウェーデン保健ほけん分野ぶんやの政府せいふ担当たんとう者しゃ

「重症じゅうしょう化かするタイプの症例しょうれいが確認かくにんされた。深刻しんこくに受け止うけとめている」

おととしにも欧米おうべいを中心ちゅうしんに感染かんせんが広ひろがったエムポックス。発熱はつねつや発疹はっしんなどの症状しょうじょうが現あらわれるウイルス性せいの感染かんせん症しょうで、子こどもや高齢こうれい者しゃなどでは重症じゅうしょう化かして死しに至いたるケースもあります。

感染かんせんした人ひとや動物どうぶつの体液たいえきや血液けつえきに接触せっしょくしたり、近距離きんきょりで飛ひまつを浴あびたりすることで感染かんせんする可能かのう性せいがあります。

今回こんかいの流行りゅうこうの特徴とくちょうについて専門せんもん家かは、次つぎのように指摘してきしています。

岡山おかやま理科りか大学だいがく元もと教授きょうじゅ 森川もりかわ茂しげるさん

「主おもに接触せっしょく感染かんせんで広ひろがるウイルスだが今回こんかいの流行りゅうこうでは家庭かてい内ない感染かんせんなどで子こどもが発症はっしょうするケースが多おおいなど、性的せいてきな接触せっしょくではない通常つうじょうの接触せっしょくでの感染かんせんリスクが高たかまっている。また、今回こんかい流行りゅうこうしているウイルスは以前いぜん流行りゅうこうしたものと比くらべ病原びょうげん性せいが強つよく、特とくに15歳さい未満みまんの子こどもでの感染かんせん者しゃが多おおく、重症じゅうしょう化かして亡なくなる方ほうも多おおいと報告ほうこくされている」

日本にっぽんの対応たいおうは

外務省がいむしょうは15日にち、コンゴ民主みんしゅ共和きょうわ国こく、ブルンジ、ケニア、ルワンダ、ウガンダ、コンゴ共和きょうわ国こく、中央アフリカちゅうおうあふりか共和きょうわ国こくの7か国かこくを対象たいしょうに、4段階だんかいある「感染かんせん症しょう危険きけん情報じょうほう」の「レベル1」を出だしました。

政府せいふは、こうした国くにへ渡航とこうしたり滞在たいざいしたりする場合ばあいは、感染かんせんに十分じゅうぶん注意ちゅういするよう呼よびかけています。

日本にっぽん国内こくないで感染かんせんが疑うたがわれる患者かんじゃが出でた場合ばあいは各かく都道とどう府県ふけんにある地方ちほう衛生えいせい研究所けんきゅうじょで検査けんさを行おこない、重症じゅうしょう者しゃは東京とうきょうや大阪おおさかなど7つの都道とどう府県ふけんにある医療いりょう機関きかんで抗こうウイルス薬やくの投与とうよが受うけられる体制たいせいを整ととのえているということです。

ワクチン不足ふそくが深刻しんこくに

さらなる感染かんせん拡大かくだいを防ふせぐために必要ひつようなのがワクチンです。しかし、アフリカではいま、ワクチン不足ふそくが深刻しんこくです。

IFRC（国際こくさい赤十字せきじゅうじ・赤あか新月しんげつ社しゃ連盟れんめい）の担当たんとう者しゃは16日にち、スイスでの記者きしゃ会見かいけんで感染かんせん状況じょうきょうを報告ほうこくしたうえで、「前回ぜんかい2年ねん前まえの流行りゅうこうをはるかに超こえ、アフリカが近年きんねん直面ちょくめんしている最もっとも重大じゅうだいな健康けんこう上じょうの脅威きょういのひとつだ」と述のべ、感染かんせんの拡大かくだいが深刻しんこくだと指摘してきしました。

そのうえで「検査けんさ体制たいせいは不十分ふじゅうぶんで、ワクチンの不足ふそくもアフリカ全体ぜんたいで深刻しんこくだ。私わたしたちは新型しんがたコロナからの教訓きょうくんを学まなんでいないようだ。備蓄びちくの多おおくは裕福ゆうふくな国くににある」と述のべ、各国かっこくが備蓄びちくするワクチンなどを、すみやかにアフリカに供給きょうきゅうしてほしいと呼よびかけました。

アフリカCDC（疾病しっぺい対策たいさくセンター）は、エムポックスのワクチンは、アフリカ全体ぜんたいで少すくなくとも1000万まん回分かいぶん必要ひつようである一方いっぽう、現在げんざい使用しよう可能かのうな量りょうは、およそ20万まん回分かいぶんにとどまるとしています。

岡山おかやま理科りか大学だいがく元もと教授きょうじゅ 森川もりかわ茂しげるさん

「今後こんご、アフリカでのワクチン接種せっしゅが遅おくれてしまうと世界中せかいじゅうに感染かんせんが拡大かくだいするリスクがある。日本にっぽんでもアフリカの流行りゅうこう地域ちいきにいた人ひとが知しらないうちに感染かんせんして帰国きこくして発症はっしょうするリスクが考かんがえられる。発症はっしょう初期しょきには発熱はつねつなどの症状しょうじょうがあるので、流行りゅうこう地域ちいきに滞在たいざいした人ひとは発熱はつねつがあればエムポックスを疑うたがって医療いりょう機関きかんで検査けんさを受うけてほしい」