2012年12月2日、山梨県大月市の中央自動車道の笹子トンネルで天井板が崩落して3台の車が下敷きになり、9人が死亡、3人がけがをしました。
事故から12年の2日、遺族やトンネルを管理する中日本高速道路の役員などがトンネルの出入り口付近に建てられた慰霊碑を訪れ、事故が起きた午前8時3分に黙とうをささげました。
その後、場所を移して行われた追悼慰霊式にはおよそ60人が参列しました。
式の中で、中日本高速道路の縄田正 社長は「皆様の尊い命、かけがえのない人生を奪うというあってはならない事故を引き起こしてしまいました。心から深くおわび申し上げます。社員教育を継続し、事故の記憶と教訓を風化させることなく、安全を最優先として、自律的に行動できる人材を引き続き育成してまいります」と述べました。
亡くなった人の友人「事故が風化せず 後世に続くよう願う」
事故で亡くなった小林洋平さん(当時27)の友人は「洋平がいなくなって12年がたちました。いつでも洋平のことを思っています。事故が風化せず後世に続いていくよう願っています」と追悼のことばを述べました。
亡くなった人の父親「説明責任を果たしてほしい」
式のあと、事故で亡くなった石川友梨さん(当時28)の父親の石川信一さんは式のあと「何年たとうと親として苦しさや悔しさがよみがえってきて、この思いは年々強くなる気がします。責める気持ちはないので事故当初から私たちがお願いしている、説明責任を果たしてほしい」と話していました。
事故をめぐっては、業務上過失致死傷の疑いで書類送検や刑事告発された中日本高速道路と子会社の当時の幹部など10人全員が不起訴になり、4年前の2020年に一連の捜査は終結しました。
中日本高速道路では事故後に入社した社員が全体の4割を超えたということで、事故の風化防止と再発を防ぐ取り組みを組織に根づかせ将来に受け継いでいくことが求められます。