神出鬼没のストリートアーティスト、バンクシーが英イングランド南西部ブリストルに残した壁画が来年、壁画の描かれたビルごと競売にかけられる。
「ウェル・ハング・ラバー」は2006年、ブリストルのフロッグモア通りに面したビルの壁面に描かれた作品。その後の住民投票で壁画の保存が決まった。
壁画では全裸の男性が窓枠にしがみついてぶら下がり、窓から身を乗り出したスーツ姿の男性は愛人を探している様子。隣には女性が立っている。
壁画には青ペンキで汚された跡が残る。
競売は来年2月に予定され、壁画の入ったジョージ王時代の建築物の250年のリース権が売りに出される。参考価格は70万ポンド(約1億3300万円)。
この物件は第2級建造物に指定されており、特別な建造物、または歴史的建造物として保存する必要がある。
不動産会社によると、5階建てのビルの地下にはナイトクラブがあり、上の階は空いていて、賃貸住宅に改装できる可能性がある。
外壁に描かれたバンクシーの壁画はそのまま残さなければならない。
「購入者は、壁画が建物から撤去できないことを確認する賃貸契約上の制限条項を受け入れる必要がある」と物件情報には記されている。
将来の持ち主には「ウェル・ハング・ラバー」の保存が求められるものの、メンテナンスの義務はない。
物件情報によると、ストリートアートに関してブリストル市に公式な政策はなく、ただ「ストリートアートは恒久的な芸術作品としてではなく、必ずとはいわないまでも通常は建物の持ち主の許可なく違法に制作される」と認識されている。
「従って、芸術作品としての画像の寿命は、その作品がどう風化するか、あるいは塗りつぶされたり取り除かれたりするかによって、時間とともに進化し、変化する」
バンクシーの正体は依然として謎に包まれているが、広く伝えられた情報によれば、1970年代にブリストルで生まれたらしい。
イングランド南部ドーバーに描かれた時価およそ100万ポンドのバンクシーの壁画は昨年、ビルが取り壊されて永遠に失われた。青い欧州連合(EU)旗に描かれた12の星のひとつを作業員が消しているこの壁画は、英国の国民投票でEU離脱が決まった後に制作された。