レスリング 藤波ふじなみ朱しゅ理りが金メダルきんめだる 女子じょし53キロ級きゅう パリ五輪ごりん

世界せかいランキング4位いでオリンピック初はつ出場しゅつじょうの藤波ふじなみ選手せんしゅは決勝けっしょうで、世界せかいランキング1位いのエクアドルのルシア ヤミレト・ジェペス グスマン選手せんしゅと対戦たいせんしました。

藤波ふじなみ選手せんしゅは試合しあい開始かいし40秒びょうすぎに、激はげしい組くみ手しゅ争あらそいから相手あいての足あしをとって2ポイントを先制せんせいし、その後そのごも巧たくみに相手あいての手てや足あしをとりながら攻め込せめこんで得点とくてんを重かさね、前半ぜんはんを6対たい0で折り返おりかえしました。

後半こうはんに入はいっても鋭するどいタックルからポイントを奪うばうなど積極せっきょく的てきに攻せめ続つづけ、後半こうはん37秒びょうに10対たい0のテクニカルスペリオリティで勝かち金メダルきんめだるを獲得かくとくしました。

藤波ふじなみ選手せんしゅは中学ちゅうがく2年生ねんせいのころから公式こうしき戦せんでは負まけ知しらずで、今回こんかいの勝利しょうりで連勝れんしょう記録きろくを「137」に伸のばしました。

この階級かいきゅうでの日本にっぽん選手せんしゅの金メダルきんめだるは、前回ぜんかいの東京とうきょう大会たいかいの向田むかいだ真しん優ゆう選手せんしゅに続つづいて2大会たいかい連続れんぞくです。

銀メダルぎんめだるはジェペス グスマン選手せんしゅ、銅メダルどうめだるは北朝鮮きたちょうせんのチェ・ヒョ ギョン選手せんしゅと、中国ちゅうごくの※ホウ・倩玉だま選手せんしゅでした。

※ホウは「まだれ」に「龍りゅう」

藤波ふじなみ「ここまでやってきてよかった」

レスリング女子じょし53キロ級きゅうで金メダルきんめだるを獲得かくとくした藤波ふじなみ朱しゅ理り選手せんしゅは「最高さいこうです。オリンピック最高さいこう、レスリング最高さいこう。ここまでやってきてよかったです」と興奮こうふん気味ぎみに話はなしました。

そして、試合しあい後ごにセコンドについていた父ちちの俊一しゅんいちさんと日の丸ひのまるを掲かかげながらマットのまわりを1周しゅうして喜よろこびをあらわしたことについて「4歳さいから父ちちのもとでレスリングをやってきて、ぶつかり合あうことやけんかすることも多おおかったが、父ちちがいなければここにはいないので、一番いちばん感謝かんしゃしたい存在そんざいです」と笑顔えがおで語かたりました。

藤波ふじなみ「自分じぶん1人にんの力ちからで戦たたかった感覚かんかくは全まったくない」

藤波ふじなみ朱しゅ理り選手せんしゅは表彰ひょうしょう式しきのあと、金メダルきんめだるを手てにして「思おもっていたより重おもい。これがずっと欲ほしくてやってきたので本当ほんとうにうれしい。自分じぶん1人にんの力ちからで戦たたかった感覚かんかくは全まったくなくて、みんなで戦たたかって、みんなで勝ち取かちとった金メダルきんめだるです」と笑顔えがおを見みせました。

その上うえで、「今いまは順風じゅんぷう満まん帆ほに見みえるが、3月つきに手術しゅじゅつをして『もうだめかもしれない』と思おもうこともあった。金メダルきんめだるを獲得かくとくして言いえることはすべての起おこることは必然ひつぜんで、けがもこの瞬間しゅんかんを輝かがやかせてくれるための経験けいけんだったんだなと今いまは思おもう」と胸むねの内うちを明あかしました。

父ちちとつかんだ金メダルきんめだる

中学ちゅうがく2年生ねんせいからおよそ7年間ねんかん、一いち度ども負まけないまま、オリンピックの頂点ちょうてんに立たった藤波ふじなみ選手せんしゅ。父ちちの俊一しゅんいちさんと二に人にん三脚さんきゃくで鍛え上きたえあげたレスリングで頂点ちょうてんに立たちました。

藤波ふじなみ選手せんしゅがレスリングを始はじめたのは4歳さいの時とき。もともとレスリング選手せんしゅだった俊一しゅんいちさんが立たち上あげたレスリングクラブに通かようようになりました。

「運動うんどう神経しんけいがいいほうではなかったけど、タックルの反応はんのうはよかった」と俊一しゅんいちさん。負けず嫌まけずぎらいな性格せいかくも相あいまって藤波ふじなみ選手せんしゅは小学生しょうがくせいで全国ぜんこく大会たいかいを制せいすなどめきめきと実力じつりょくを伸のばしていきました。

しかし、中学生ちゅうがくせいになると思おもうように勝かてなくなり2年生ねんせいの夏なつに1学年がくねん上じょうの選手せんしゅに敗やぶれて悔し涙くやしなみだを流ながしてから父ちちに「強つよくしてください」と訴うったえました。

そこから父ちちの指導しどうを受うけて、特とくに「組くみ手しゅ」の技術ぎじゅつを徹底てってい的てきに磨みがくようになるとその後そのごは年上としうえの選手せんしゅにも負まけなくなり、父ちちが監督かんとくを務つとめる高校こうこうに進学しんがくした後のちは1年生ねんせいながらインターハイを制せいしました。

そして、日本にっぽん体育たいいく大学だいがくに進学しんがくすると俊一しゅんいちさんも教員きょういんを辞やめて大学だいがくのコーチに就任しゅうにんし大学だいがく近ちかくに家いえを借かりて2人にんで生活せいかつを始はじめました。

日々ひび、顔かおを合あわせることからぶつかり合あうこともありましたが「オリンピックで活躍かつやくする先輩せんぱいを見みて来きて、自分じぶんもああなりたいと思おもった。そのために頑張がんばりたい」とパリオリンピックで金メダルきんめだるを獲得かくとくするために大学だいがくでも父ちちに指導しどうを受うけて強つよさを追い求おいもとめてきました。

そして、初はじめてのオリンピックとなった今こん大会たいかいでも、セコンドについた俊一しゅんいちさんのサポートを受うけながら強つよさを見みせて初はじめてのオリンピックで頂点ちょうてんに立たちました。

俊一しゅんいちさん「コーチとして親おやとして2倍ばいうれしい」

表彰ひょうしょう式しきの後のち、取材しゅざいに応おうじた俊一しゅんいちさんは「おかげさまで実現じつげんできた。コーチとして、親おやとして、2倍ばいうれしい」と喜よろこびを語かたりました。

そして「技わざがどうなのかとか細こまかいことは言いわず、徹底てってい的てきに攻せめる。そうすれば自然しぜんと結果けっかは出でてくるんじゃないかなという気きはしていた。100点てんですね。完璧かんぺきな試合しあいだった」と今こん大会たいかいの戦たたかいぶりを評価ひょうかしていました。

その後そのご、金メダルきんめだるを首くびにかけて現あらわれた藤波ふじなみ選手せんしゅとも一緒いっしょに取材しゅざいにも応おうじ、俊一しゅんいちさんは娘むすめのメダルを手てに取とって「重おもたいな」と言いいながら笑顔えがおを見みせていました。

そして、藤波ふじなみ選手せんしゅが「『ありがとう』という気持きもちです」と俊一しゅんいちさんへの感謝かんしゃを口くちにすると俊一しゅんいちさんは「オリンピックまで連つれて行いってくれて、金メダルきんめだるまで取とってくれて感謝かんしゃです」と少すこし照てれくさそうに答こたえていました。