特定とくてい危険きけん指定してい暴力団ぼうりょくだん「工藤くどう会かい」は、平成へいせい10年ねんから26年ねんにかけて北九州きたきゅうしゅう市しや周辺しゅうへんの地域ちいきで漁協ぎょきょうの元もと組合くみあい長ちょうを射殺しゃさつしたほか、元もと警察官けいさつかんや看護かんご師しなど3人にんを拳銃けんじゅうや刃物はもので襲おそう事件じけんを相次あいついで起おこし、組織そしきのトップ、総裁そうさいの野村のむら悟さとる 被告ひこく（76）と、ナンバー2の会長かいちょうの田上たうえ不ふ美夫よしお 被告ひこく（67）が殺人さつじんなどの罪つみに問とわれました。

2人にんの関与かんよを示しめす直接ちょくせつ的てきな証拠しょうこがない中なか、1審しんの福岡ふくおか地方ちほう裁判所さいばんしょはおととし8月つき、工藤くどう会かいを厳格げんかくに統制とうせいされた組織そしきだとしたうえで、

▽野村のむら被告ひこくが4つの事件じけんに首謀しゅぼう者しゃとして関与かんよしたと認定にんていし、死刑しけい判決はんけつを言い渡いいわたしたほか

▽田上たうえ被告ひこくに無期むき懲役ちょうえきの判決はんけつを言い渡いいわたし、被告ひこく側がわが控訴こうそしていました。

13日にちに福岡ふくおか高等こうとう裁判所さいばんしょで始はじまる2審しんの裁判さいばんでも、引き続ひきつづき、実行じっこう役やくなどの暴力団ぼうりょくだん員いんにトップの指示しじがあったかどうかの「共謀きょうぼうの認定にんてい」が争点そうてんとなる見通みとおしで、間接かんせつ的てきな証拠しょうこの積み重つみかさねによってトップの関与かんよを推認した1審しん判決はんけつについて高等こうとう裁判所さいばんしょがどのように判断はんだんするかが焦点しょうてんとなります。

専門せんもん家か「大胆だいたんな認定にんてい 2審しんでも争点そうてんになる」

工藤くどう会かいトップの2審しんの争点そうてんについて、刑事けいじ訴訟そしょう法ほうが専門せんもんの九州きゅうしゅう大学だいがくの田淵たぶち浩二こうじ教授きょうじゅは「1審しんは、工藤くどう会かいの意思いし決定けっていが上意じょうい下達かたつの方式ほうしきであり、『鉄てつの結束けっそく』で犯罪はんざいの意思いし決定けっていも同おなじようにやっていて、具体ぐたい的てきな関与かんよの証拠しょうこがなくてもトップが当然とうぜん、指示しじしているはずだという認定にんていをした。このような大胆だいたんな認定にんていをした事件じけんはなく、その点てんが控訴こうそ審しんでも争点そうてんになる」と指摘してきしています。

そのうえで、指定してい暴力団ぼうりょくだんのトップに死刑しけい判決はんけつが言い渡いいわたされている今回こんかいの裁判さいばんが持もつ意味いみについて「これまで刑事けいじ裁判さいばんでは具体ぐたい的てきな犯罪はんざいへの関与かんよを示しめす証拠しょうこがなければ、トップの責任せきにんは問とわれなかった。トップの責任せきにんが問とわれ、死刑しけいになるとすれば当然とうぜん、他たの暴力団ぼうりょくだんに対にたいしても抑止よくし効果こうかは出でてくる。象徴しょうちょう的てきな裁判さいばんの一ひとつになる」と話はなしていました。