両国の首脳は、軍事協力の拡大などを巡って協議するとみられ、会談の内容が注目されています。
キム総書記を乗せた専用列車 宇宙基地へ向け走行
北朝鮮のキム・ジョンウン総書記を乗せた専用列車は、12日ロシアに入った後、北上していましたが、ロシアの鉄道関係者はNHKの取材に対し、列車は、極東の都市ハバロフスクを経て日本時間の13日午前10時半の時点でアムール州を走行していると明らかにしたうえで、州内にあるボストーチヌイ宇宙基地に向かっているとしています。
一方、ロシアのプーチン大統領は、この宇宙基地を訪れると12日明らかにしていて、双方がここで合流し、13日午後にも首脳会談が行われるという見方が強まっています。
首脳会談について、ロシアの外交筋は、NHKの取材に対して、プーチン大統領がキム総書記との間で、軍事技術協力の拡大などで合意する見通しだと明らかにしていて、ロシア側はショイグ国防相なども同席する予定です。
一方、北朝鮮は、原子力潜水艦や軍事偵察衛星などを保有するために必要な軍事技術の支援を求めるという見方が出ています。
ともに欧米諸国と対立する両国の首脳は、軍事協力の拡大などを巡って具体的に協議するとみられ、会談の内容が注目されています。
ロシア国営メディア キム総書記到着の様子伝える
ロシア国営メディアは北朝鮮のキム・ジョンウン総書記が12日、北朝鮮との国境沿いのロシア極東のハサン駅に到着した際の映像を公開しました。
映像では、黒のスーツ姿のキム総書記が、チェ・ソニ外相や、核・ミサイル開発で中心的な役割を担ってきたとされる、朝鮮労働党のリ・ビョンチョル書記らとともに列車から降りたあと、ロシア側の高官から歓迎される姿が映っています。
キム総書記の「執事」とも呼ばれ、2018年の史上初の米朝首脳会談などでも準備を担ったキム・チャンソン氏の姿も確認できます。
一方、ロシア国営メディアは、リ・ソルジュ夫人や娘、それに妹のキム・ヨジョン氏は同行していないとしています。
ハサン駅のホームには、赤いじゅうたんが敷かれて歓迎式典が行われるなど友好ムードを演出していて、キム総書記は2019年の前回の訪問を踏まえて「4年ぶりの再会ですね」、「ありがとうございます」などと笑顔で言葉を交わしていました。
また、キム総書記を出迎えたロシアのコズロフ天然資源環境相と、駅の構内でいすに座って懇談する様子もみられます。
キム総書記を乗せた専用列車はその後、ロシアの沿海地方の鉄道路線を北上していて、プーチン大統領との首脳会談の開催地について関心が高まっています。
ボストーチヌイ宇宙基地とは
ロシア語で「東」を意味するボストーチヌイ宇宙基地は、ウラジオストクからおよそ1000キロ、モスクワから5000キロあまり離れた極東のアムール州にあります。
宇宙開発を重要な国家プロジェクトの1つに位置づけるプーチン政権が、隣国カザフスタンにあるバイコヌール宇宙基地にかわる新たな宇宙開発の拠点として、建設を進めてきたもので、2016年、最初のロケットが人工衛星を載せて打ち上げられました。
基地では、ロシア以外の国の衛星の打ち上げも行われ、2017年と18年には日本のベンチャー企業が開発した超小型の人工衛星も打ち上げられました。
先月には旧ソビエト以来およそ半世紀ぶりとなる無人の月面探査機「ルナ25号」が打ち上げられました。
ボストーチヌイ宇宙基地の整備は続いていて、有人宇宙船や大型の軍事衛星が搭載できる新型ロケットの打ち上げを目指して、新たな発射台の建設が進められています。
一方、去年4月にはロシアと同盟関係にあるベラルーシのルカシェンコ大統領が訪れ、プーチン大統領との首脳会談が行われました。