新たに総理大臣補佐官に起用された矢田氏は、大阪府出身の57歳。
1984年に当時の松下電器産業、現在のパナソニックに入社し、2016年の参議院選挙に大手電機メーカーなどの労働組合でつくる「電機連合」の組織内候補として、当時の民進党から比例代表で立候補して初当選しました。
その後、国民民主党の副代表を務めましたが、去年の参議院選挙で落選し、今は党の役職も離れています。
岸田総理大臣としては、矢田氏を賃上げや雇用を担当する補佐官に起用することで、政策面で一致点も多い国民民主党との連携を探るねらいもあるとみられます。
松野官房長官は、閣議のあとの記者会見で「矢田氏の経験を生かし、岸田内閣の重要政策である労働市場改革や構造的な賃上げの推進に向けて、職務を果たしてもらうことを期待する」と述べました。
一方、与野党の間で「矢田氏の起用は国民民主党の連立政権入りへの布石ではないか」という見方が出ていることについては、「岸田総理大臣は『自公連立の実(じつ)をあげることに集中することが大事だ』と述べており、それに尽きる」と述べました。
矢田氏「働く人の声を国政につなぎたい」
矢田氏は、岸田総理大臣から総理大臣補佐官の辞令交付を受けたあと、記者団に対し「賃金と雇用の担当ということなので、自分が長く働いてきた経験や、生活者の視点も含めて、しっかりと政策に生かし、働く人の声を国政につなぎたい」と述べました。
一方、与野党の間で「国民民主党の連立政権入りへの布石ではないか」という見方が出ていることについては、「私は関知していない。一民間人としてお引き受けした」と述べました。
国民 榛葉氏“いろいろなパイプで政策実現 矢田氏もそのひとつ”
国民民主党の榛葉幹事長は記者会見で「元の仲間としてエールを送りたい。賃金や雇用の分野は今まで矢田氏が取り組んできたことそのものなので、ぜひ期待したいし、労働界も期待するのではないか。われわれはいろいろなパイプを駆使して政策実現しようとしている。矢田氏の存在もそのひとつになり得ることは当然だ」と述べました。
また、与野党の間で「矢田氏の起用は国民民主党の連立政権入りの布石ではないか」という見方が広がっていることについて、「全く関係ない。一民間人が大抜てきされ、総理大臣補佐官の任にこれからあたるということを政局で捉えられるのは、矢田氏に申し訳ないし、送り出したパナソニックにも失礼だ」と述べました。
維新 藤田幹事長「連立政権に入ること想起させるような人事」
日本維新の会の藤田幹事長は記者会見で「誰が見ても、国民民主党が連立政権に入ることを想起させるような人事だ。どういう展開になるかは見定めたいが、国民民主党とは、是々非々で案件ごとに一緒にやってきたまでで、選挙を一緒にやろうという話はない。これまでどおり冷静に対応していきたい」と述べました。
政府は、女性活躍担当の総理大臣補佐官に、自民党の参議院議員の上野通子 元文部科学副大臣を起用する人事も決めました。