ニューヨークを
訪れている
岸田総理大臣は、
国連総会で
一般討論演説に
臨み、ロシアによるウクライナ
侵攻など、
世界は
複合的な
課題に
直面しているとして、
国際協調の
重要性を
訴えるとともに、
国連改革への
行動を
呼びかけました。
岸田総理大臣は日本時間の20日午前、ニューヨークの国連本部で開かれている国連総会で一般討論演説に臨みました。
この中で岸田総理大臣は、長期化したロシアによるウクライナ侵攻にも触れたうえで「世界は気候変動、感染症、法の支配への挑戦など、複雑で複合的な課題に直面している。国際社会が分断されていては、これらの課題に対応できない」と述べました。
また「人間の尊厳」が守られる平和で安定した世界が求められていると指摘し、実現に向けて、国の体制や価値観の違いを乗り越え、分断や対立ではなく、国際社会が協調して一連の課題に対応していく重要性を訴えました。
そして協調すべき分野として、みずからがライフワークに掲げる核軍縮を挙げ、日本としては
▽NPT=核拡散防止条約体制の維持・強化を図り、現実的な取り組みを進めるとしたほか
▽新たに30億円を拠出し、海外の研究機関に核軍縮を議論する場を設ける意向を明らかにしました。
さらに
▽食料危機や
▽デジタル化
それに
▽気候変動への対応のほか
▽感染症に備えた医薬品の確保といった分野で、途上国などの支援をいっそう強化していく考えを示しました。
そのうえで岸田総理大臣は、法の支配の重要性にも改めて触れ「今も国連の安全保障理事会の常任理事国ロシアが『法の支配』をじゅうりんしている。国連憲章違反、人権侵害の状況を一刻も早く是正し、核の威嚇を止めるべきだ」と訴えました。
またロシアなどが国連安保理で拒否権の行使を繰り返し、事態のこう着を招いていることも念頭に「国連の分断・対立を悪化させる拒否権の行使抑制の取り組みは、安保理強化、信頼回復につながる」と述べました。
そして「世界は大きく変わっている。現在の世界を反映した安保理が必要で、常任・非常任理事国双方の拡大が必要だ。具体的な行動に移る機会が今だ」と述べ、安保理の理事国の拡大を含めた国連改革への行動を呼びかけました。
一方、岸田総理大臣は、北朝鮮による拉致問題の解決に向けて、キム・ジョンウン(金正恩)総書記との首脳会談を実現するため、引き続き、自身直轄のハイレベル協議を働きかけていく考えを重ねて示しました。