彼の生涯は謎に包まれており、真の名前すら定かではありません。だが、航空界への貢献は明らかです。ロベルト・オロス・ディ・バルティーニ(墓石にはこの名が刻まれている)は時代に先んじた天才であり、死後50年近く経過した今なお、彼の手になる航空機や飛行艇は異彩を放っています。
バルティーニは7カ国語を話した現代の碩学(せきがく)で、天文学者にして哲学者、物理学者、画家、音楽家でもありました。
若い頃はオーストリア・ハンガリー帝国とイタリアで過ごしましたが、航空機設計者として足跡を残したのは旧ソ連でのことです。アンドレイ・ツポレフ、パベル・スホーイ、オレグ・アントノフといった航空史上の伝説的な面々と活躍の舞台を共にしました。