歩行者が信号を無視して道路を横断する「ジェイウォーク」を合法化する法案が、米ニューヨーク市で成立した。
ニューヨーク市議会は9月、歩行者が信号に構わず道路を横断することを認める法案を可決した。エリック・アダムス市長がこの法案に対する署名も拒否権の発動もしないまま30日が経過したことから、このほど同法案が成立した。
ニューヨーク市では1958年以来、ジェイウォークが禁止され、違反者に対しては250ドル(約3万8000円)以下の罰金が定められていた。
市交通局によると、横断歩道がない場所を横断したり信号を無視したりして命を落とした歩行者は過去5年で200人に上り、歩行者の死亡事故の約34%を占めていた。
そうしたジェイウォークを合法化する狙いは、人種に基づく不平等の解消にある。ニューヨーク市警に対しては以前から、非白人を狙ってジェイウォークの違反切符を切っているという批判が出ていた。
法案を提出したメルセデス・ナーシス議員によると、ジェイウォークで違反切符を切られた人の92%以上を黒人とラテン系が占めていた。
ジェイウォーク公認の法律は来年2月に施行される。ただしこれでジェイウォークに伴う危険が解消されるわけではない。市長の広報は、信号無視や横断歩道がない場所での横断の危険性は法律に明記されていると強調している。