防衛ぼうえい省しょうによりますと30日にち夜よる11時じ38分ふんごろと11時じ46分ふんごろ、北朝鮮きたちょうせん西岸せいがん付近ふきんから弾道だんどうミサイル合あわせて2発はつが北東ほくとうの方向ほうこうに発射はっしゃされました。

最高さいこう高度こうどはいずれもおよそ50キロ、飛行ひこう距離きょりは1発はつ目めがおよそ350キロ、2発はつ目めがおよそ400キロで、いずれも朝鮮ちょうせん半島はんとう東岸とうがん付近ふきんの日本にっぽんのEEZ＝排他はいた的てき経済けいざい水域すいいきの外側そとがわに落下らっかしたと推定すいていされています。

船舶せんぱくや航空こうくう機きなどへの被害ひがいの情報じょうほうは入はいっていないということです。

北朝鮮きたちょうせんは今月こんげつ24日にちに軍事ぐんじ偵察ていさつ衛星えいせいの打ち上うちあげを行おこないましたが、地球ちきゅう周回しゅうかい軌道きどうへの投入とうにゅうは確認かくにんされておらず、ことし5月つきに続つづいて打ち上うちあげに失敗しっぱいしていました。

北朝鮮きたちょうせんが弾道だんどうミサイルの可能かのう性せいがあるものや、弾道だんどうミサイル技術ぎじゅつを用もちいたものを発射はっしゃしたのはことし16回かい目めとなります。

北朝鮮きたちょうせんは31日にちまで韓国かんこくで行おこなわれているアメリカ軍ぐんと韓国かんこく軍ぐんの合同ごうどう軍事ぐんじ演習えんしゅうに反発はんぱつしていて、防衛ぼうえい省しょうが情報じょうほうの分析ぶんせきを進すすめるとともに警戒けいかいを続つづけています。

「北朝鮮きたちょうせんが短距離たんきょり弾道だんどうミサイル2発はつ発射はっしゃ」韓国かんこく軍ぐんも発表はっぴょう

韓国かんこく軍ぐんの合同ごうどう参謀さんぼう本部ほんぶは、北朝鮮きたちょうせんが30日にち夜よる11時じ40分ふんごろから50分ふんごろにかけて、ピョンヤン近郊きんこうの国際こくさい空港くうこうがあるスナン付近ふきんから日本海にほんかいに向むけて短距離たんきょり弾道だんどうミサイル2発はつを発射はっしゃしたと発表はっぴょうしました。

飛行ひこう距離きょりはいずれもおよそ360キロだったとしていて、韓国かんこく軍ぐんは、朝鮮ちょうせん半島はんとうのみならず国際こくさい社会しゃかいの平和へいわと安定あんていを損そこねる重大じゅうだいな挑発ちょうはつだとして、北朝鮮きたちょうせんを非難ひなんしました。今回こんかいの発射はっしゃについて韓国かんこくの通信つうしん社しゃ、連合れんごうニュースは、発射はっしゃ地点ちてんからおよそ350キロ離はなれた韓国かんこく中部ちゅうぶケリョンデにある陸海空りくかいくう軍ぐんの本部ほんぶが射程しゃていに含ふくまれると伝つたえています。

韓国かんこくでは、朝鮮ちょうせん半島はんとう有事ゆうじを想定そうていした定例ていれいの米べい韓かん合同ごうどう軍事ぐんじ演習えんしゅうが8月つき21日にちから31日にちまで行おこなわれていて、30日にちは北朝鮮きたちょうせんが警戒けいかいするアメリカのB1爆撃ばくげき機きが参加さんかして空軍くうぐんの共同きょうどう訓練くんれんも実施じっしされました。

これに対にたいし「実戦じっせん的てきな侵略しんりゃく演習えんしゅうだ」と強つよく反発はんぱつする北朝鮮きたちょうせんがおよそ1か月かげつぶりとなる短距離たんきょり弾道だんどうミサイルの発射はっしゃで対抗たいこうした形かたちで、米べい韓かん両りょう軍ぐんはさらなるミサイル発射はっしゃなどへの警戒けいかいを続つづけています。

岸田きしだ首相しゅしょう 万全ばんぜんの態勢たいせいをとることを指示しじ

北朝鮮きたちょうせんから弾道だんどうミサイルの可能かのう性せいがあるものが発射はっしゃされたことを受うけて、岸田きしだ総理そうり大臣だいじんは昨夜さくや11時じ45分ふん、情報じょうほうの収集しゅうしゅうと分析ぶんせきに全力ぜんりょくを挙あげ、国民こくみんに対にたいし、迅速じんそく・的確てきかくな情報じょうほう提供ていきょうを行おこなうこと、航空こうくう機きや船舶せんぱくなどの安全あんぜん確認かくにんを徹底てっていすること、それに不測ふそくの事態じたいに備そなえ、万全ばんぜんの態勢たいせいをとることを指示しじしました。

これまでのところ被害ひがいの情報じょうほうなし

北朝鮮きたちょうせんから弾道だんどうミサイルの可能かのう性せいがあるものが発射はっしゃされたことを受うけ、海上かいじょう保安庁ほあんちょうが日本にっぽん周辺しゅうへんの海域かいいきで確認かくにんを進すすめていますが、これまでのところ日本にっぽんに関係かんけいする船舶せんぱくへの被害ひがいの情報じょうほうは入はいっていないということです。

政府せいふ「厳重げんじゅうに抗議こうぎして強つよく非難ひなんした」

政府せいふは「これまでの弾道だんどうミサイルなどのたび重かさなる発射はっしゃも含ふくめ、一連いちれんの北朝鮮きたちょうせんの行動こうどうは、我が国わがくに、地域ちいき及および国際こくさい社会しゃかいの平和へいわと安全あんぜんを脅おびやかすものであり、安保理あんぽり決議けつぎに違反いはんし、国民こくみんの安全あんぜんに関かかわる重大じゅうだいな問題もんだいだ。北朝鮮きたちょうせんに対にたいし厳重げんじゅうに抗議こうぎして強つよく非難ひなんした」としています。

米べい報道ほうどう官かん「日本にっぽんと韓国かんこくの防衛ぼうえいへの関与かんよは揺ゆるぎない」

アメリカ・ホワイトハウスのジャンピエール報道ほうどう官かんは30日にち、記者きしゃ会見かいけんで「北朝鮮きたちょうせんによる弾道だんどうミサイルの発射はっしゃは国連こくれん安全あんぜん保障ほしょう理事りじ会かいの複数ふくすうの決議けつぎに違反いはんしており、近隣きんりん諸国しょこくや国際こくさい社会しゃかいに脅威きょういをもたらす」と非難ひなんするとともに北朝鮮きたちょうせんに対にたいして対話たいわに応おうじるよう呼よびかけました。

またインド太平洋たいへいよう軍ぐんは、声明せいめいを発表はっぴょうし、「今回こんかいの発射はっしゃはアメリカ国民こくみんや領土りょうど、それに同盟どうめい国こくに差し迫さしせまった脅威きょういを与あたえるものではないと判断はんだんしているが、北朝鮮きたちょうせんによる違法いほうな兵器へいき開発かいはつが地域ちいきの不安定ふあんてい化かをもたらすことを示しめすものだ」と北朝鮮きたちょうせんを非難ひなんしました。

その上うえで「アメリカによる日本にっぽんと韓国かんこくの防衛ぼうえいへの関与かんよは揺ゆるぎない」と強調きょうちょうしました。

発射はっしゃは今月こんげつ24日にち以来いらい ことし16回かい目め

北朝鮮きたちょうせんが弾道だんどうミサイルの可能かのう性せいがあるものや、弾道だんどうミサイル技術ぎじゅつを用もちいたものを発射はっしゃしたのは今月こんげつ24日にち以来いらいで、ことし16回かい目めとなります。

北朝鮮きたちょうせんは、核かく弾頭だんとうを搭載とうさいできるさまざまな種類しゅるいのミサイル開発かいはつを進すすめようと、発射はっしゃを繰り返くりかえしてきました。

1月つきから3月つきにかけては、いずれもICBM＝大陸たいりく間かん弾道だんどうミサイル級きゅうの「火星かせい15型がた」や「火星かせい17型がた」、それに短距離たんきょり弾道だんどうミサイルなどを繰り返くりかえし発射はっしゃしました。

4月つきには、従来じゅうらいの液体えきたい燃料ねんりょう式しきよりも迅速じんそくに発射はっしゃできる、固体こたい燃料ねんりょう式しきの新型しんがたICBM「火星かせい18型がた」の初はじめての発射はっしゃ実験じっけんを行おこなったと発表はっぴょうし、6月つきは短距離たんきょり弾道だんどうミサイルを発射はっしゃしました。

また、7月つきは「火星かせい18型がた」の2回かい目めとなる発射はっしゃ実験じっけんを行おこない、その後そのごも短距離たんきょり弾道だんどうミサイルや巡航じゅんこうミサイルの発射はっしゃを繰り返くりかえしました。

そして今月こんげつは海軍かいぐんによる戦略せんりゃく巡航じゅんこうミサイルの発射はっしゃ訓練くんれんを行おこなったと、21日にちに発表はっぴょうしていました。

このほか今月こんげつ24日にちに北西ほくせい部ぶから軍事ぐんじ偵察ていさつ衛星えいせいの2回かい目めの打ち上うちあげを試こころみ、失敗しっぱいしていました。

北朝鮮きたちょうせんをめぐる動うごき

北朝鮮きたちょうせんは、抑止よくし力りょくの強化きょうかを図はかる米べい韓かん両国りょうこくに対にたいして、対抗たいこう姿勢しせいを強つよめてきました。

先月せんげつ27日にち、朝鮮ちょうせん戦争せんそうの休戦きゅうせん協定きょうてい締結ていけつから70年ねんになったのに合あわせて、ピョンヤンでは、後うしろ盾たてである中国ちゅうごくとロシアの代表だいひょう団だんを招まねいて軍事ぐんじパレードが行おこなわれました。

このなかで北朝鮮きたちょうせんは、ICBM＝大陸たいりく間かん弾道だんどうミサイル級きゅうのミサイルや大型おおがたの無人むじん機きなどの最新さいしん兵器へいきを誇示こじし、「国防こくぼう5か年かねん計画けいかく」の3年ねん目めにあたることし、兵器へいき開発かいはつをさらに進すすめる姿勢しせいを示しめしました。

また、キム・ジョンウン（金きむ正ただし恩おん）総そう書記しょきは今月こんげつ9日にち、軍ぐんの戦争せんそう準備じゅんびをさらに攻勢こうせい的てきに進すすめるとして「重大じゅうだいな軍事ぐんじ的てき対策たいさく」を命令めいれいし、実戦じっせん訓練くんれんを積極せっきょく的てきに展開てんかいすべきだと強調きょうちょうしました。

さらにキム総そう書記しょきは今月こんげつ27日にちに演説えんぜつし、先さきの日にち米べい韓かん首脳しゅのう会談かいだんで3か国かこくによる共同きょうどう訓練くんれんの定例ていれい化かが合意ごういされたことを非難ひなんした上うえで、海軍かいぐんへの戦術せんじゅつ核兵器かくへいきの配備はいびを進すすめていく方針ほうしんを示しめしていました。