多おおくの人ひとは家族かぞくなどと同居どうきょしていて、研究けんきゅう班はんは「周囲しゅういとつながりがあっても、言いいだせないような悩なやみや生いきづらさを抱かかえているとみられ、周まわりの人ひとは目めを配くばってほしい」と話はなしています。

この調査ちょうさは埼玉さいたま医科いか大学だいがく病院びょういんなどが参加さんかする厚生こうせい労働ろうどう省しょうの研究けんきゅう班はんが実施じっししたもので、去年きょねん12月つきまでの1年ねん8か月かげつ間かんに、解熱げねつ鎮痛ちんつう剤ざいなどの市販しはん薬やくを過剰かじょうに摂取せっしゅして救急きゅうきゅう搬送はんそうされた122人にんについて調しらべました。

その結果けっか、平均へいきん年齢ねんれいは25.8歳さいで最年少さいねんしょうは12歳さいだったほか、男女だんじょ別べつでは女性じょせいが79.5％、男性だんせいが20.5％でした。

職業しょくぎょう別べつでは最もっとも多おおいのが学生がくせいで33.6％、次ついでフルタイムで働はたらく人ひとが26.2％などとなっていて、8割わり以上いじょうの人ひとが家族かぞくやパートナーと同居どうきょしていました。

また、搬送はんそうされた人ひとのほとんどが入院にゅういんしたほか、集中しゅうちゅう治療ちりょうが行おこなわれた人ひとは半数はんすうを超こえ、後遺症こういしょうで通院つういんが必要ひつようになった人ひともいたということです。

研究けんきゅう班はんの埼玉さいたま医科いか大学だいがく臨床りんしょう中毒ちゅうどくセンターの喜屋武きやん玲子れいこ医師いしは「家族かぞくと同居どうきょしたり働はたらいたりしていて周囲しゅういとつながりがあっても、言いいだせないような悩なやみや生いきづらさを抱かかえているとみられ、周まわりの人ひとはそのことを知しって目めを配くばってほしい。身体しんたい的てきな治療ちりょうだけでなく、過剰かじょう摂取せっしゅの背景はいけいに何なにがあるのか、考かんがえる必要ひつようがある」と話はなしていました。

過剰かじょう摂取せっしゅ=OD 「やったことある」

新宿しんじゅく・歌舞伎町かぶきちょうで若者わかものに話はなしを聞きくと、市販しはん薬やくの過剰かじょう摂取せっしゅを「OD（オーディー）」と呼よび、自分じぶんや友人ゆうじんが経験けいけんしたことがあると話はなしました。

神奈川かながわ県けんの15歳さいの女性じょせいは「ODやったことあります。人間にんげん関係かんけいに悩なやんで市販しはんの風邪かぜ薬やくを30錠じょうくらい飲のんでしまいました。薬くすりを飲のむと考かんがえたくないことを考かんがえなくてよくなります。病やんでしまったらすぐにODをしてしまうので、これまで何なん回かいやったか覚おぼえていないです」と話はなしていました。

埼玉さいたま県けんの18歳さいの女性じょせいは「友達ともだち6人にんくらいはODしています。若わかい人ひとが多おおくて中高生ちゅうこうせいもやっています。リストカットと違ちがって痛いたくないので、思い詰おもいつめてしまったときにやってしまうのだと思おもいます」と話はなしていました。

SNSにも投稿とうこう相次あいつぐ

SNSにも「OD＝オーバードーズ」をめぐる投稿とうこうが相次あいついでいます。

「ODするときみんな何なにを使つかっている？」、「ODってどんな感かんじなのだろうか？」などと参考さんこう情報じょうほうを求もとめる投稿とうこうのほか、「負まけました。オーバードーズした」などと使用しよう済ずみの市販しはん薬やくのケースの写真しゃしんとともに投稿とうこうされたものもあります。

そして「オーバードーズして死しぬところだった」とか、「肝臓かんぞうにも負荷ふかがかかるしやめる」など、過剰かじょう摂取せっしゅの危険きけん性せいを感かんじている投稿とうこうもあります。

市販しはん薬やく 過剰かじょう摂取せっしゅの若者わかものが急増きゅうぞう

国立こくりつ精神せいしん・神経しんけい医療いりょう研究けんきゅうセンターは、全国ぜんこくの入院にゅういん施設しせつがある精神せいしん科かの医療いりょう機関きかんと連携れんけいし、薬物やくぶつ依存いぞんの患者かんじゃの実態じったいについて調査ちょうさを行おこなっています。

薬物やくぶつの依存いぞんや乱用らんようで治療ちりょうを受うけている10代だいの患者かんじゃが、主おもにどういった薬物やくぶつを使用しようしていたかを調しらべたところ、せき止せきとめやかぜ薬やくなどの「市販しはん薬やく」が占しめる割合わりあいは、2014年ねんにはゼロでしたが、その後そのご急増きゅうぞうし、2022年ねんは65％と突出とっしゅつして多おおくなっています。

厚あつ労ろう省しょう 「乱用らんようおそれの医薬品いやくひん」指定してい

厚生こうせい労働ろうどう省しょうはエフェドリン、ブロムワリレル尿素にょうそ、プソイドエフェドリン、コデイン、ジヒドロコデイン、メチルエフェドリンの6つの成分せいぶんを含ふくむ製剤せいざいを「乱用らんようなどのおそれがある医薬品いやくひん」に指定していしています。

これらの成分せいぶんが含ふくまれる医薬品いやくひんを、高校生こうこうせい以下いかの若者わかものが購入こうにゅうしたり、譲り受ゆずりうけようとする場合ばあいは、学生がくせい証しょうなどで名前なまえや年齢ねんれい、使用しよう状況じょうきょうの確認かくにんを求もとめているほか、購入こうにゅう者しゃが同おなじ薬くすりをほかの店みせで買かっていないかなどの確認かくにんも求もとめていて、複数ふくすうの購入こうにゅうを希望きぼうしている場合ばあいは、その理由りゆうや使用しよう状況じょうきょうを確認かくにんし、適正てきせいと判断はんだんした場合ばあいに限かぎって販売はんばいするよう求もとめています。