会見の出席者や概要は明らかにされていませんが、事務所として、性加害を認めるかや、被害者の救済に向けた具体策、それに、藤島ジュリー社長の進退を含む今後の経営体制などについてどのように説明するか注目されます。
4年前に死去した、ジャニーズ事務所のジャニー喜多川前社長による性被害の訴えが相次いでいる問題をめぐり、外部の専門家による特別チームは先月29日、調査報告書を公表し、前社長が多数のデビュー前の10代を中心とする少年たち、ジャニーズJr.に対し、長期間にわたって広範に性加害を繰り返していた事実が認められたとしたうえで、再発防止策を示しました。
これを受け、ジャニーズ事務所は、この問題で初めてとなる記者会見を7日午後、都内で開くことにしています。
会見では事務所として、性加害を認めるかどうかや、被害者の救済に向けた具体策をどのように説明するか注目されます。
また、調査報告書では問題の背景のひとつに挙げた、同族経営の弊害を防止するため前社長のめいである藤島ジュリー社長が辞任すべきとしています。
会見の出席者や概要は明らかにされていませんが、藤島社長が出席して、自身の進退を含む今後の事務所の経営体制などについて自ら説明するかどうかも焦点となっています。
【会見の注目点】
ジャニーズ事務所の記者会見で特に注目されるのが、事務所として性加害を認めるかや、被害者の救済に向けた具体策。そして藤島ジュリー社長の進退を含む今後の体制です。
1.前社長の性加害認め 謝罪するか
先月29日の外部の専門家による特別チームの報告書では、事務所が再出発を図る最初の1歩としてジャニー前社長の性加害が事実であることを認め、真摯に謝罪することが不可欠だと指摘しました。
事務所がことし5月に公開した動画では、藤島ジュリー社長が一連の性被害の告発について前社長が亡くなっているため個別の告発内容が事実か判断するのは容易ではないという見解を示していて、特別チームの報告書を受け事務所として前社長の性加害を認め、謝罪するかどうかが注目されます。
2.藤島社長の進退 今後の事務所体制は
特別チームの報告書では、問題が起きた背景のひとつに経営者による違法行為などが行われた場合に誰も止めることができないという同族経営の弊害などを指摘し、解体的出直しのため前社長のめいである藤島ジュリー社長は辞任すべきとしています。
7日の会見では藤島社長の進退を含む今後の事務所の体制についても示される見通しで、藤島社長が辞任した場合には誰が後任の社長となるかが注目されます。
さらに、前社長の名前が入った現在の事務所の名称を変更するかどうかや、藤島社長が現在所有している事務所のすべての株を手放すかどうかなども焦点となっていて、今回の問題を受けて事務所が変わっていく姿勢を示せるかが問われています。
3.被害者の救済 具体策は
特別チームの調査報告書では、前社長による性加害を受けた被害者に対して、被害者に真摯に謝罪し、すみやかに被害者と対話を開始してその救済に乗り出すべきであるとしたうえで、被害回復のための適正な補償をする「被害者救済措置制度」を直ちに構築すべきと指摘しました。
7日の会見では、前社長による性加害を受けた被害者を個別に認定していく手続きや、被害者への補償の中身など、救済に向けた具体策がどこまで示されるかもポイントになります。
【当事者たちの思い】
ジャニーズ事務所の会見を前に、前社長から性被害を受けたと訴える元タレントたちからは、事務所として性加害を認めて謝罪し、しっかり向き合って欲しいという声が聞かれました。
そのひとり、大島幸広さんは中学2年生だった1998年にジャニーズ事務所に入り、入所した初日に前社長の自宅で性被害を受け、その後、退所するまでの2年間で200回以上の被害にあったと訴えています。
先月、「ジャニーズ性加害問題当事者の会」に加わり、初めて自身の被害を語った大島さんは会見を前に、「被害があったことを認めて謝ってもらうことで、傷が癒えるわけでも思い出さなくなることもありませんが、少しは楽になるんじゃないかと思います。謝罪の相手は世間やメディアではなく被害者であり、私たちの前でちゃんと謝ってほしい」と訴えました。
また、「当事者の会には35年間被害を訴え続けてきた人もいる。事務所が一方的に決めたものは救済ではなく押しつけになってしまうので、被害者と同じ目線で話し合いながら決めてもらいたいですし、今は被害を告白できない傷を抱えたタレントを含めて救済してほしい」と話していました。
また、1998年から7年間事務所で活動した橋田康さんは、13歳の頃に前社長から被害を受けたとしてことし5月に被害を告白しました。
その後、当事者の会とは別に、被害にあった人たちのための相談窓口を独自に設置するなどしてきた橋田さんは、「声を上げた人もそうでない人も、いろんな人が苦しんだ期間だったと思う。会見ではしっかりと腹を決めてうみをしっかりと出し切ってもらいたい。救えた人がいたにも関わらず何もしないことで助長してきたメディアを含む構図が再びできないよう、厳しく注視していきたい」と話していました。
そして、事務所の今後については、「何か問題があった時に声をあげやすい環境を整え、応援してくれる人たちが『もう大丈夫なんだ、まっすぐ応援していいんだ』と思えるような事務所になってほしい。昔からうわさはあったものの目を向けずにきたのが社会全体の問題だと思うので、それが払拭(ふっしょく)されよい会社になれば、多くの人が告白してよかったと思えるはずなので、早くそういう形に変わってもらいたい」と話していました。
専門家「再発防止体制 いかに作るか」
ジャニーズ事務所にも詳しい、大衆芸能の歴史が専門の江戸川大学の西条昇教授は、「一般企業と比べ、特殊な部分というか、そこがあったからこそ逆に成功した部分、強み、特徴を出せた部分があった。そこを取締役会といった今まで機能していなかった部分を一般企業のようにすることが再発防止につながる」と指摘しました。
そのうえで、「考えなければならないのは性加害問題の被害者への謝罪や賠償、再発防止体制をいかに作るかということだ。認めるところは認め、謝るところは謝り、賠償するシステム作りをして再発防止にきちんと向き合い、企業として問題のあった点を直していく、正していくということを第一優先にしてもらいたい」と話していました。