捜索を受けたのは、「ビッグモーター」の「環八世田谷店」や「多摩店」など都内にある9つの店舗で、午前10時ごろ捜査員が一斉に入りました。
「ビッグモーター」の店舗前の街路樹が各地で枯れている問題をめぐっては、東京都の調査で都道沿いにある14店舗のうち9つの店舗で土から除草剤の成分が検出されたほか、このうち「多摩店」では木を伐採した跡も確認され、9月5日、警視庁に被害届を提出していました。
会社側は都の調査に対し、少なくとも5つの店舗については「除草剤をまいたことが確認された」と説明しているということで、警視庁は街路樹を損傷させた器物損壊の疑いで捜索を行っています。
警視庁は資料を押収するとともに、店長や従業員から話を聞いて本社の関与がなかったかどうかなど、詳しい経緯を調べることにしています。
世田谷区の店舗には7人の捜査員
東京 世田谷区にある「ビッグモーター世田谷代田店」では、午前10時すぎに捜査員7人ほどが捜索に入りました。
店内では捜査員が従業員に聞き取りをしている様子が確認できます。
街路樹問題とは
ビッグモーターが自動車保険の保険金を不正に請求していた問題が明らかになったあと、店舗前の街路樹や植え込みが枯れているという報告が各地で相次ぎました。
これについて7月の会見で問われた和泉伸二社長は「店の出入り口や歩道の雑草やゴミなどがあれば毎朝、取り除いている。雑草に対して、本来は手で抜けばよいがちょっと甘い認識で除草剤をまいてしまって、影響を与えてしまったことはあると思う」などと述べ、その後、ホームページで調査の結果、除草剤などの影響で枯れた可能性が高いと説明して謝罪していました。
除草剤を使った背景にあると指摘されているのが、月に1度、会社幹部が店舗を訪れて実施していた「環境整備点検」と呼ばれる点検です。
点検項目のリストのひとつには「敷地回り、歩道はゴミや草、砂が無くお客様目線で整備できているか」などと書かれていて、外部の弁護士でつくる特別調査委員会がまとめた調査報告書では、環境整備点検の成績や対応がよくなければ降格処分につながっていたと指摘しています。
関東地方の店舗に勤務していた元社員の男性はNHKの取材に対して「店や、店舗前の歩道のアスファルトのすきまから1センチの雑草でも生えているのが見つかったらアウトです。点検の前は雑草を抜いたり、ごみを拾ったりしますが、本当にピリピリして、終わるまで戦々恐々としていました」と話していました。
この街路樹の問題をめぐっては、道路を管理する国や全国の自治体が土壌の調査などを行い、東京都のほかにも除草剤の成分が検出された福岡県や名古屋市などが器物損壊の疑いで警察に被害届を提出しています。
ビッグモーター「捜査に全面協力」
警視庁の捜索を受けたことについて、ビッグモーターは「詳細は確認中だが、捜査には全面協力していきたい」とコメントしています。