G20=主要20か国の首脳会議は、インドの首都ニューデリーで9日から2日間の日程で開かれます。
開幕を前に、日本の岸田総理大臣やアメリカのバイデン大統領、それにイギリスのスナク首相ら各国の首脳が到着していて、現地は厳重な警備態勢が敷かれています。
ロシアのプーチン大統領と中国の習近平国家主席は会議を欠席し、かわりにラブロフ外相と李強首相がそれぞれ出席する予定です。
これまでのG20の閣僚会合ではウクライナ侵攻をめぐってアメリカとロシアなど各国の立場の隔たりが深まる中、共同声明を取りまとめられない事態が続いています。
こうした中、首脳会議では、G7をはじめとする先進国や、新興国、途上国の主要な国々の首脳らが対面で一堂に会し、食料危機や気候変動、途上国の債務問題など、地球規模のさまざまな課題をめぐって話し合うことになっています。
グローバル・サウスの代表格で欧米ともロシアとも全方位で外交を進めてきたインドが、議長国として首脳宣言を取りまとめ、一致した対応を打ち出せるかが焦点です。
米 バイデン大統領 インドに到着
アメリカのバイデン大統領は日本時間の8日夜、G20サミットが開かれるインドの首都ニューデリーに大統領専用機で到着しました。
これに先立ち、イエレン財務長官は8日、ニューデリーで記者会見し中国の習近平国家主席とロシアのプーチン大統領が欠席する中、アメリカとして、G20を重視する姿勢を強調しました。
そして、バイデン大統領が世界銀行とIMF=国際通貨基金の財務基盤を強化し、これらの国際金融機関と連携して途上国などへの支援を行いたい考えだとしたうえで「ほかの国々にも、この動きに可能な範囲で参加するよう呼びかけている」と述べ、バイデン大統領がG20のほかの国々にも参加を呼びかけるとの見通しを示しました。
中国が途上国などへの融資を通じて影響力を拡大させてきた状況に対抗するため、バイデン大統領としては途上国が中国への返済に苦しんでいると強調し国際金融機関と連携した支援をめぐる議論をリードしたい考えです。
中国 習近主席 欠席の背景
今回のG20首脳会議には、中国から李強首相が出席し、習近平国家主席は初めて欠席することになります。
中国はこれまでG20を重視し、国家元首である国家主席が2008年の第1回からすべての会合に出席してきただけに習主席の欠席は異例です。
中国政府は欠席の理由を明らかにしていませんが、国営テレビは習主席が8日まで豪雨の被害を受けた黒竜江省を訪問したと伝えました。
景気回復の勢いが鈍化する中、内政を重視する姿勢を示したものとみられます。
欠席の理由としてこのほかに関連が指摘されるのは、中国と議長国インドの関係です。
中国はインドと係争地を抱え、2020年6月に双方に死傷者が出て以来、習主席とモディ首相の間で個別の正式な会談は行われていないことから、両国関係の冷え込みが影響した可能性もあります。
また11月にアメリカで開かれるAPEC=アジア太平洋経済協力会議の首脳会議にあわせてバイデン大統領との首脳会談を目指しているためという指摘も出ています。
アメリカとの外交をめぐっては、ブリンケン国務長官やレモンド商務長官など、閣僚の訪中が相次いでいますが、今回のG20首脳会議では関係改善に向けた具体的な成果が期待できず出席を見送ったとする見方です。
さらに、習主席は8月、ロシアなどとの枠組み、BRICSの首脳会議には出席していて、欧米や日本が加わるG20よりも中国の影響力が大きく、加盟国も11か国に拡大したBRICSを重視するようになった可能性もあります。
このほか、北京では10月、中国の巨大経済圏構想「一帯一路」の国際フォーラムが開かれる予定で、習主席の招待を受けてプーチン大統領が参加するとみられることから、プーチン大統領にあわせる形でG20サミットを欠席したのではないかという見方も出ています。