福島 いわき 生活再建へ支援始まる
福島県内では、8日からの記録的な大雨の影響で、いわき市と南相馬市であわせて1000棟を超える住宅が水につかるなどの被害が相次いでいて、各自治体は被害状況の把握を急ぐとともに、り災証明の発行など生活の再建に向けた支援を始めています。
このうち特に広い範囲で浸水が広がった、いわき市の内郷地区にある市立宮小学校と宮幼稚園では、近くを流れる宮川が増水して敷地内に土砂が流れ込みました。
施設には一時、大人の膝上ほどの高さにまで水が迫り、フェンスが倒れるなどの被害があったほか、電気設備が水没して故障し、電気や水道が使えなくなっています。
10日朝は日ざしが照りつける中、近隣から訪れたボランティアが自宅の水道からポリタンクに入れた水を持ち寄って泥をかき出すなど、片付け作業に追われていました。
遠藤謙一校長兼園長は「今後の教育活動の見通しが立たず不安ですが、1日でも早く再開して子どもたちの元気な姿が見たいです」と話していました。
電気設備の復旧には時間がかかる見込みで、小学校は11日から15日まで休校、幼稚園は当面の間、休園する予定だということです。
千葉 茂原 市職員による被害調査始まる
千葉県茂原市では市内を流れる一宮川やその支流の水があふれ、周辺の地域では住宅が浸水するなどの被害が出ています。
市は被害状況を把握する調査を10日から始め、市役所では午前10時すぎ、浸水の深さを測るためのポールなどを手にした職員が出発しました。
調査は職員およそ20人が6つの班に分かれ、一宮川周辺の八千代地区などを回って、被害が確認された場合はその場で「り災証明書」の申請書を手渡すことにしているということです。
申請書は市役所の窓口でも受け取ることができます。
調査は11日以降も行われ、市は県から応援をもらうなどして人数を増やし対応する予定だということです。
学校給食の施設が浸水 あすの提供は見送り
また、茂原市では、市内の小中学校の給食を作っている施設の地下が浸水して排水設備が動かなくなり、おおむね復旧は終わりましたが、11日の提供は見送られることになりました。
市教育委員会によりますと、市内18のすべての小中学校、5500人余りの児童生徒に給食を提供している、下永吉にある学校給食センターは、調理場は被害を逃れたものの、地下が浸水して排水設備が動かなくなりました。
9日は修理業者が作業にあたり、ポンプでたまった水を排出するなどしてこれまでにおおむね復旧は終わりましたが、11日の給食の提供は見送られることになりました。
市教育委員会は、11日に授業を行う学校では弁当の持参を早めに各家庭に伝える必要があるとして、学校に対応するよう連絡したということです。
市教育委員会の矢部博学校教育課長は「火曜日には給食を再開できる見通しです。ご迷惑をおかけしますがご協力をお願いしたい」と話しています。
災害廃棄物の回収始まる
茂原市では、10日朝から水につかった家具などの災害廃棄物の回収も始まっています。
市によりますと、市内を流れる一宮川があふれるなどして、9日午前9時半の時点で住宅の床上浸水は34棟、床下浸水は49棟となっていて、市が被害の全容を調べています。
10日朝から災害廃棄物の回収が始まり、作業員がトラックで被害が大きい地区を回り、水につかって使えなくなった家具や電化製品などを積み込んでいました。
市は廃棄物について、可燃と不燃、それに粗大ごみに分けて交通の支障にならないように自宅の前に置くよう呼びかけていて、当面は毎日、回収したいとしています。
近いうちに災害廃棄物の仮置き場も設置される予定で、被災した人自身が持ち込むこともできようにするとしています。
このほか、災害で発生した食料品などの生ごみは、通常の収集日に指定のごみ袋に入れて集積所に出してほしいと呼びかけています。
市は「廃棄物の処分についてわからないことがあれば、市に問い合わせてほしい」としています。
千葉 鴨川 一部地域で断水続く
鴨川市では一部の地域で今も断水が続いていて、市などが復旧を急いでいます。
市によりますと、断水が続いているのは清澄地区のおよそ80戸で、8日、2か所の水道管が土砂崩れで損傷したということです。
水道管の修理は終わりましたが、現在、配水池に水をためるなどしていて、10日中に各家庭への水の供給を再開できるよう準備を進めているということです。
千葉 鉄道も被害 影響続く
【JR】
JR東日本千葉支社によりますと、JR外房線は10日も千葉市緑区の誉田駅と鴨川市の安房鴨川駅の間で終日、運転を見合わせています。
特に土気駅と大網駅の間は土砂が流出するなど被害が大きく、復旧作業を進めていますが、誉田駅と大網駅の間の運転再開は今月14日以降の見通しです。
JRは11日以降、午前6時から午後9時までバスによる代替輸送を行うことにしていて、総武本線や東金線を利用したう回乗車も呼びかけています。
一方、大網駅と安房鴨川駅の間は、11日始発から運転を再開しますが、本数は30分から1時間に1本程度だということです。
また、千葉駅と誉田駅の間も、通常より少ない30分に1本程度になります。
JR東日本千葉支社は時間に余裕をもって利用するよう呼びかけています。
【いすみ鉄道】
大多喜町といすみ市を結ぶいすみ鉄道によりますと、これまでに大多喜町の4か所で敷石や線路下の土砂が大量に流れ出ていて、特に上総中野駅と西畑駅の間はレールと枕木が浮いている場所もあり、被害が大きいということです。
復旧には時間がかかる見込みで、大多喜駅と大原駅の間は今月13日ごろの運転再開を目指していますが、そのほかの区間については見通しが立っていないということです。
11日からは全線でバスによる代替輸送を行う予定だということです。
【小湊鐡道】
市原市と大多喜町を結ぶ小湊鐵道は、里見駅と上総中野駅の間で線路に土砂が流入し、10日もこの区間で運転できなくなっています。
土砂を撤去し運転を再開するには数日かかる見通しで、バスでの代替輸送を実施しています。
千葉 大網白里 稲わらの片付け作業に追われる
大網白里市では、住宅地に稲刈り直後の稲わらが流れ出て、住民たちが片付け作業に追われています。
大網白里市では記録的な大雨で、市内を流れる小中川や金谷川の水位が上昇し、JR大網駅付近や増穂地区などで浸水被害が相次ぎました。
10日も住民たちは片付け作業に追われ、使えなくなった家電などをまとめるなどしていました。
稲刈りのシーズンの大雨で、住宅地には田んぼにあった稲わらが流されてきていて、住民たちが周辺にたまった稲わらを取り除いていました。
市によりますと、稲わらが排水溝などに大量にたまり排水を妨げる要因の一つになった可能性があるということで、市が状況などを確認することにしています。
浸水被害を受けた飯田芳昭さんは「朝5時から作業していますが、やるしかないです。わらが多く重いので大変です」と話していました。
茨城 日立市役所の窓口業務 本格再開
大雨で地下が浸水して停電した茨城県日立市役所は、復旧作業が進んで10日から本格的な窓口業務を再開し、被害を受けた市民がり災証明書の申請に訪れていました。
日立市役所は近くを流れる川の水があふれて受電設備のある地下が浸水して停電し、窓口での証明書の発行業務などができなくなっていました。
復旧作業が進んで停電が解消したため、10日朝から本格的に業務を再開し、市民課の窓口ではり災証明書の申請の受付も始まりました。
窓口では、浸水の被害を受けた市民が、職員に被災状況を説明したり、必要な書類を記入したりしていたほか、住民票などの発行に訪れる市民もいました。
証明書の発行に訪れた60代の男性は「市役所が被害にあって驚きましたが、早く復旧して安心しました。手続きができて助かります」と話していました。
日立市市民課の高橋京子課長は「大変不便をおかけしました。被害の相談やり災証明なに対応していきたい」と話していました。
日立市のり災証明書の申請は支所でも受け付けています。
茨城 病院や薬局 再開に向けて作業
茨城県日立市小木津町にある永井ひたちの森病院は、近くの川があふれて待合室が浸水したほか、駐車場には大量の土砂が流れ込みました。
病棟には200人以上の入院患者がいて、当時、医師や看護師などが土のうの代わりにおむつを並べるなどして、病棟の浸水を防いだということです。
11日から外来の診察が始まることから、病院内や駐車場の清掃を進めるとともに、CTスキャンやレントゲンなどに不具合が出ていないか、確認することにしています。
永井玲恩 医師は「患者に被害がなくなによりです。いつもどおり患者が診察を受けられるよう準備を進めます」と話していました。
一方、隣接する薬局も15センチほど浸水し、11日の営業再開を目指してスタッフおよそ15人がたまった水や土砂をかき出し、家具を外に運び出す作業に追われていました。
薬の一部のほか、薬をこん包する機械が水につかってしまったことから、代わりの機械を手配したということです。
薬局を運営する会社の柄澤忍 社長は「薬の保管場所など反省点もあります。地域医療を守ることを第一に復旧に力を尽くしたい」と話していました。