「インボイス」は事業じぎょう者しゃどうしの取り引とりひきで発行はっこうされる新あたらしい形式けいしきの請求せいきゅう書しょやレシートで、10％と8％、それぞれの税率ぜいりつごとの消費しょうひ税額ぜいがくがいくらかなどを記載きさいします。

「インボイス制度せいど」は、食品しょくひんなど一部いちぶの品目ひんもくで、消費しょうひ税ぜいの税率ぜいりつを8％に据え置すえおく軽減けいげん税率ぜいりつが導入どうにゅうされる中なか、納税のうぜい額がくを正確せいかくに把握はあくすることなどを目的もくてきに、10月つき1日にち始はじまりました。

これからは、事業じぎょう者しゃが仕入しいれなどで取り引とりひき先さきに払はらった消費しょうひ税額ぜいがくの控除こうじょや還付かんぷを受うける際さい、インボイスが発行はっこうされていることが条件じょうけんとなり、インボイスを発行はっこうする事業じぎょう者しゃは国くにへの登録とうろくが必要ひつようです。

一方いっぽう、年間ねんかんの売り上うりあげ1000万まん円えん以下いかの小しょう規模きぼ事業じぎょう者しゃが登録とうろくをする場合ばあい、これまでは免除めんじょされていた国くにへの消費しょうひ税ぜい納付のうふの義務ぎむを新あらたに負おうことになります。

国くには登録とうろくした小しょう規模きぼ事業じぎょう者しゃの当面とうめんの負担ふたんを抑おさえるため、国くにへの消費しょうひ税ぜいの納付のうふ額がくを3年間ねんかん軽減けいげんする経過けいか的てきな措置そちを設もうけています。

また制度せいどに登録とうろくしていない事業じぎょう者しゃと取り引とりひきする事業じぎょう者しゃについても、あわせて6年間ねんかん、消費しょうひ税ぜいの納付のうふ額がくから一定いってい割合わりあいの控除こうじょが認みとめられる経過けいか措置そちがとられます。

1日にち以降いこうも、事業じぎょう者しゃがインボイスを発行はっこうするための登録とうろくは可能かのうになっていて、国くには今後こんごも説明せつめい会かいを開ひらくなどして制度せいどへの理解りかいを求もとめることにしています。

東京とうきょう都と個人こじんタクシー協同きょうどう組合くみあい 「あんどん」の色いろを使い分つかいわけ

インボイス制度せいどの開始かいしに合あわせ、都内とないを走はしる個人こじんタクシーのおよそ6割わりが加盟かめいする「東京とうきょう都と個人こじんタクシー協同きょうどう組合くみあい」では、10月つき1日にちから制度せいどに登録とうろくしているタクシーは「黄色きいろ」、登録とうろくしていないタクシーは「白しろ」と、車両しゃりょうの上うえに設置せっちする「あんどん」の色いろを使い分つかいわけることなどを加盟かめい事業じぎょう者しゃに依頼いらいしています。

タクシーを業務ぎょうむで利用りようして経費けいひ処理しょりしようとする場合ばあいに、支払しはらった消費しょうひ税ぜい分ぶんの控除こうじょを受うけられるかどうか、利用りようしようとする人ひとが見分みわけられるようにするためです。

この組合くみあいの場合ばあい、99％以上いじょうの個人こじんタクシーがインボイス制度せいどへの登録とうろくを行おこなっているということです。

一方いっぽう、制度せいどに登録とうろくしない判断はんだんをした個人こじんタクシーの事業じぎょうを、不当ふとうに制限せいげんすることは認みとめられません。

組合くみあいは公正こうせい取引とりひき委員いいん会かいなどとも協議きょうぎを重かさねた上うえで対応たいおうを決きめたということです。

東京とうきょう都と個人こじんタクシー協同きょうどう組合くみあいの櫻井さくらい敬たかし寛ひろし理事りじ長ちょうは、「加盟かめいする事業じぎょう者しゃの多おおくが法人ほうじんを顧客こきゃくとしているため、何なんらかの対応たいおうが必要ひつようだと判断はんだんしました。慣なれない制度せいどなのでさまざまな問い合といあわせも来くると思おもいますが、できるだけ丁寧ていねいに対応たいおうしていきたい」と話はなしていました。

絵本えほんの出版しゅっぱん社しゃ「会社かいしゃが負担ふたんを受け入うけいれる」

東京とうきょう・文京ぶんきょう区くにある絵本えほんや紙芝居かみしばいの出版しゅっぱん社しゃ、「童心どうしん社しゃ」は「いないいないばあ」や「おしいれのぼうけん」など、世代せだいを超こえて愛あいされる多おおくの作品さくひんを世よに出だしてきました。

作家さっかやデザイナー、イラストレーターなど、取り引とりひき先さきの8割わりが、年間ねんかんの売り上うりあげ1000万まん円えん以下いかの事業じぎょう者しゃで、インボイス制度せいどに登録とうろくした場合ばあい、これまで免除めんじょされていた消費しょうひ税ぜい納付のうふの義務ぎむを負おうことになります。

この会社かいしゃでは、ことしの初はじめ、「制度せいどが始はじまってからもインボイス発行はっこうは求もとめず、取り引とりひき条件じょうけんは変更へんこうしない」と取り引とりひき先さきに書面しょめんなどで伝つたえたということです。

取り引とりひき先さきの負担ふたんを考かんがえ、対応たいおうを決きめたということですが、会社かいしゃが国くにに納おさめる消費しょうひ税ぜいの額がくは、経過けいか措置そちが実施じっしされることを考慮こうりょして最初さいしょの3年間ねんかんで年としに400万まん円えんほど、最終さいしゅう的てきには年としに2000万まん円えんほど今いままでより増ふえる試算しさんです。

少子しょうし化かで絵本えほんなどの売り上うりあげが減へる中なか、先行さきゆきに不安ふあんがあるため会社かいしゃは経費けいひ削減さくげんなどを進すすめたいとしています。

童心どうしん社しゃの後藤ごとう修平しゅうへい社長しゃちょうは「広ひろく知しられている先生せんせいでも収入しゅうにゅう面めんは厳きびしく、今いまより負担ふたんが増ふえれば生活せいかつできなくなる可能かのう性せいもあります。先生せんせいごとに特色とくしょくがあって、ほかに変かえればよいというわけにはいきませんし、会社かいしゃが負担ふたんを受け入うけいれる以外いがいに選択肢せんたくしはありません。劇的げきてきな策さくは無ないですが、負担ふたんに耐たえられる経営けいえい体質たいしつに変かえていきたい」と話はなしていました。

童心どうしん社しゃから紙芝居かみしばいの作品さくひんを出版しゅっぱんしている作家さっかの松井まついエイコさんは「安心あんしんして作品さくひんをつくることに集中しゅうちゅうしてくださいと言いわれたようで、私わたしたちを守まもろうとしてくれていると感かんじ、深ふかい敬意けいいを持もちました」と話はなしていました。

専門せんもん家か「多おおくの国民こくみんが共有きょうゆうすべき新あたらしい社会しゃかい変革へんかく」

国税庁こくぜいちょうの元もと職員しょくいんで税ぜい制度せいどや税務ぜいむ行政ぎょうせいに詳くわしい中央ちゅうおう大学だいがく法科ほうか大学院だいがくいんの酒井さかい克彦かつひこ教授きょうじゅは、「インボイス制度せいどが物価ぶっかにもたらす影響えいきょうもあると思おもわれることから、消費しょうひ者しゃも決けっして“単たんなる観客かんきゃく”ではいられない。制度せいどに登録とうろくするかしないかや、それにともなってどれだけ消費しょうひ税ぜい分ぶんを上乗うわのせするかしないかなどを、すべての事業じぎょう者しゃが悩なやんで検討けんとうした結果けっかが今後こんごの価格かかくなどに反映はんえいされるわけで、こうした事情じじょうを理解りかいした上うえで、多おおくの国民こくみんが共有きょうゆうすべき新あたらしい社会しゃかい変革へんかくだと認識にんしきする必要ひつようがある」と指摘してきしました。

その上うえで、「現場げんばでは多おおくの課題かだいが出でてくると思おもわれるが、それらを一ひとつずつ解決かいけつしながら前まえに進すすむことが求もとめられ、国くには今後こんご、より柔軟じゅうなんな行政ぎょうせいや税ぜいの執行しっこうのあり方ありかたを考かんがえていくことが必要ひつようだ」と話はなしていました。