かつて洞窟で暮らしていた人類は、ポップカルチャーでは毛皮をまとった姿で描かれることが多いです。だが石器時代の先祖たちが実際にどんな衣服をどのように作っていたのかに関する考古学的な証拠は乏しいです。
毛皮や皮革などの有機物は一般的に、特に10万年を超えた場合、残ることはありません。だがモロッコの洞窟で発見された、動物の皮を加工し、なめすために用いられた骨角器62点は、考古学上、衣服の存在を示す最初期の代理的な証拠となる可能性があります。16日付の科学誌「アイサイエンス」に掲載された論文によれば、この道具類は9万~12万年前のものだということです。
独マックス・プランク人類史科学研究所のパン・アフリカン進化研究グループに所属し、今回の発見物に関する論文の著者であるエミリー・ハレット博士は「こうした物を発見するとは予期していなかった」と回想しました。「私は当初、古代人の食事を再現するために動物の骨に注目すべく、この集合物を研究していた」ということです。
博士はまた、洞窟内の他の骨に切り傷のパターンがあるのを発見しました。これは洞窟で暮らしていた人々が毛皮を求めて、スナギツネやキンイロジャッカル、ヤマネコといった肉食動物の皮を剝ぎ取っていたことを示唆するということです。