その結果、高齢者の重症化を防ぐとともに若い世代も含め社会全体の免疫をあげるため、接種の対象を2回目までの接種を終えたすべての人として10月中旬以降に開始する方針を決めました。
新しいワクチンは、従来株に由来する成分とオミクロン株の一つ、「BA.1」の2種類を組み合わせた「2価ワクチン」と呼ばれるものです。
現在、国内で流行している「BA.5」に対しても、ウイルスの働きを抑える中和抗体の値が上昇すると見込まれています。
使用を想定しているのはファイザーとモデルナが開発中のワクチンで、薬事承認されれば来月にも輸入し、自治体への配送を開始する見通しです。
ただ、前回の接種とどの程度の間隔をあけるのかは明らかになっていないため、分科会では専門家から「オミクロン株に対応するワクチンを打つために10月まで接種を控える動きが広がる懸念がある」や「重症化を防ぐため、対象者で接種がまだの人は速やかに4回目の接種を受けてほしい」などの意見が出されていました。
また、分科会では60歳以上の人などを対象に進められている4回目接種について対象を拡大するかについても議論が行われましたが、現段階では拡大せずに検討を続けることになりました。
一方で今、従来の新型コロナワクチンの接種を受けるべきかについて、中山特任教授は「現状でこれだけ感染が広がり重症者も増えている状況なので、まだ3回目の接種を済ませていない人はオミクロン株対応のワクチンを待つのではなく、今使用できるワクチンを接種することを考えてほしい」と強調しました。 今回、厚生労働省が接種を開始する方針を決めたワクチンは、ことしの初めごろに広がったオミクロン株の「BA.1」と従来の新型コロナウイルスに対応した「2価ワクチン」です。 これについて中山特任教授は「今、広がっている変異ウイルスに近いワクチンのほうが、今の変異ウイルスに対する高い免疫の反応を誘導できる一方、私たちには従来株のワクチンで得た免疫の記憶が残っている。その記憶を生かすためには、従来株とオミクロン株を一緒にしたワクチンを接種するほうが理にかなっている。また、今、世界で広がっている『BA.5』に対応したワクチンの開発も進められているが、完成までに数か月はかかるだろう。それを待つよりもこれから出てくるワクチンを接種したほうがいい」と話しています。
専門家「オミクロン株対応のワクチンは必要」