ことしの式典しきてんは、新型しんがたコロナウイルスの影響えいきょうで規模きぼを縮小しゅくしょうした去年きょねんの3倍ばい以上いじょうとなるおよそ1600人にんが参列さんれつし、安倍あべ元もと総理そうり大臣だいじんが銃撃じゅうげきされた事件じけんを受うけて、例年れいねんより警備けいび態勢たいせいが強化きょうかされる中なかで行おこなわれました。

式典しきてんではこの1年ねんに亡なくなった被爆ひばく者しゃなど3160人にんの名前なまえが書かき加くわえられた19万まん2310人にんの原爆げんばく死没しぼつ者しゃ名簿めいぼが納おさめられました。

そして、原爆げんばくがさく裂さくれつした午前ごぜん11時じ2分ふんに黙もくとうがささげられました。

そのうえで、田上たうえ市長しちょうは、日本にっぽん政府せいふに対にたいして、核かくへの依存いぞんを強つよめるのではなく、核かくに頼たよらない平和へいわの構築こうちくに向むけて議論ぎろんを先導せんどうするとともに、核兵器かくへいき禁止きんし条約じょうやくに署名しょめい・批准ひじゅんすることを重かさねて求もとめました。

そのうえで、宮田みやたさんは「今いま、私わたしは10年ねん前まえに発症はっしょうしたがんの悪化あっかで苦悩くのうの日々ひびを過すごしています。多おおくの被爆ひばく者しゃは私わたし以上いじょうの苦くるしみに耐たえて生き抜いきぬいています。ウクライナに鳴り響なりひびく空襲くうしゅう警報けいほうのサイレンは、あのピカドンの恐怖きょうふそのものでした。私わたしたちは強つよい意志いしで子こども、孫まごの時代じだいに『核兵器かくへいきのない世界せかい実現じつげんへの願ねがい』を引き継ひきついでいくことを誓ちかいます」と、平和へいわへの誓ちかいを述のべました。

被爆ひばく者しゃの平均へいきん年齢ねんれいはことし、84歳さいを超こえ、長崎ながさきでは、主おもな被爆ひばく者しゃ団体だんたいの1つが高齢こうれい化かを理由りゆうに解散かいさんしました。

被爆ひばく者しゃの間までは、いま、核兵器かくへいきが再ふたたび使つかわれるかもしれないという大おおきな不安ふあんや危機きき感かんが募つのっています。

被爆ひばく地ち 長崎ながさきは、犠牲ぎせい者しゃへの祈いのりに包つつまれるとともに「長崎ながさきを最後さいごの被爆ひばく地ちに」という願ねがいを世界せかいに発信はっしんします。

そのうえで「核兵器かくへいきによる威嚇いかくが行おこなわれ、核兵器かくへいきの使用しようすらも現実げんじつの問題もんだいとして顕在けんざい化かし、『核兵器かくへいきのない世界せかい』への機運きうんが後退こうたいしていると言いわれている今いまこそ、『核兵器かくへいき使用しようの惨禍さんかを繰り返くりかえしてはならない』と訴うったえ続つづけていく。非核ひかく三さん原則げんそくを堅持けんじしつつ、『厳きびしい安全あんぜん保障ほしょう環境かんきょう』という『現実げんじつ』を『核兵器かくへいきのない世界せかい』という『理想りそう』に結むすびつける努力どりょくを行おこなっていく」と決意けついを示しめしました。

そして「核かく不ふ使用しようの歴史れきしを継続けいぞくし、長崎ながさきを最後さいごの被爆ひばく地ちとし続つづけなければならない。透明とうめい性せいの確保かくほ、核兵器かくへいき削減さくげんの継続けいぞく、核かく不ふ拡散かくさんも変かわらず重要じゅうような取り組とりくみだ」と指摘してきしました。

さらに「『核兵器かくへいきのない世界せかい』の実現じつげんに向むけた確固かっこたる歩あゆみを支ささえるのは、世代せだいや国境こっきょうを越こえて核兵器かくへいき使用しようの惨禍さんかを語かたり伝つたえ、記憶きおくを継承けいしょうする取り組とりくみだ。被爆ひばく者しゃなどとともに、被爆ひばくの実相じっそうへの理解りかいを促うながす努力どりょくを重かさねていく」と強調きょうちょうしました。

訪おとずれた人ひとたちは墓はかの掃除そうじをしたあと、花はなを手向たむけ静しずかに祈いのりをささげていました。

母ははと2人にんの兄あにが被爆ひばくしたという長崎ながさき市しの69歳さいの被爆ひばく2世せいの女性じょせいは「記憶きおくにある母はははいつも寝ねたきりで、子こどもながらに死しんでいるんじゃないかと心配しんぱいしたのを覚おぼえています。母ははは当時とうじのことを思い出おもいだしたくないようでしたが、私わたしは母ははから聞きいた体験たいけんを子こや孫まごたちに伝つたえていきたいと思おもっています」と話はなしていました。

午前ごぜん7時じ前まえ、長崎ながさき市しの爆心ばくしん地ちには、核兵器かくへいき廃絶はいぜつを求もとめる署名しょめいを国連こくれんに届とどける活動かつどうを行おこなう「高校生こうこうせい平和へいわ大使たいし」や長崎ながさきや広島ひろしま、岩手いわてなどの16都道とどう府県ふけんの高校生こうこうせいらおよそ150人にんが集あつまりました。

高校生こうこうせいたちは1人にんずつ爆心ばくしん地ちを示しめす碑いしぶみに花はなを手向たむけて原爆げんばくの犠牲ぎせい者しゃに祈いのりをささげたあと、全員ぜんいんで碑いしぶみを囲かこんで「人間にんげんの鎖くさり」をつくりました。

「人間にんげんの鎖くさり」は以前いぜんは参加さんか者しゃが手てをつないでいましたが、新型しんがたコロナウイルスの感染かんせん防止ぼうしのために3年ねん前まえからは手袋てぶくろをしたうえでリボンの端はじと端はじをもって碑いしぶみを囲かこんでいます。

神奈川かながわ県けんから来きた高校生こうこうせい平和へいわ大使たいしの安本やすもと美緒みおさんは「長崎ながさきに来きてさまざまな方ほうの講演こうえんを聴きく中なかで、私わたしたち若わかい世代せだいが活動かつどうしていくことの必要ひつよう性せいを強つよく感かんじました。神奈川かながわに戻もどっても精せいいっぱい活動かつどうしていきたいです」と挨拶あいさつしました。

長崎ながさき市しの高校こうこう3年生ねんせいで被爆ひばく3世せいの渡辺わたなべあいさんは「祖父そふはあまり語かたる人ひとではなかったのですが、私わたしが小しょう学校がっこう高だか学年がくねんのころから夏休なつやすみになると必かならず話はなしを聴きかせてくれました。きょうも晴はれていますが、同おなじ青あおい空そらのもとに生いきている人間にんげんとして、これからも活動かつどうに取り組とりくんでいきたいです」と話はなしていました。

城山しろやま小学校しょうがっこうは長崎ながさき市しの爆心ばくしん地ちからおよそ500メートルの場所ばしょにあり、前身ぜんしんの旧きゅう城山しろやま国民こくみん学校がっこうでは、原爆げんばくで児童じどうや教師きょうし1400人にん以上いじょうが犠牲ぎせいになったとされています。

敷地しきち内ないに残のこる旧きゅう校舎こうしゃは原爆げんばくの被害ひがいを伝つたえる「被爆ひばく遺構いこう」のひとつとして国くにの史跡しせきに指定していされ、小学校しょうがっこうでは毎月まいつき、平和へいわについて考かんがえる集会しゅうかいが開ひらかれています。

6年生ねんせいを中心ちゅうしんにおよそ100人にんが集あつまった9日にちの集会しゅうかいでは、ステージ上じょうに児童じどうたちが折おった折り鶴おりづるが飾かざられ、原爆げんばくの犠牲ぎせい者しゃを悼いたみました。

集会しゅうかいで児童じどうたちは、小学校しょうがっこうで歌うたい継つがれてきた「子こらのみ魂みたまよ」を、平和へいわへの思おもいを込こめて合唱がっしょうしました。

そして、各かくクラスの代表だいひょうが平和へいわへの思おもいを書かいた標語ひょうごをステージの上うえで掲かかげ、児童じどうの代表だいひょうが「平和へいわへの発信はっしんを続つづけていくことを誓ちかいます」と述のべました。

集会しゅうかいのあと、6年生ねんせいの石本いしもとかのんさんは「自分じぶんたちが平和へいわのことを伝つたえていっているのに、核兵器かくへいきがまだあるというのが悲かなしい気持きもちになります。核兵器かくへいきは人ひとを一瞬いっしゅんで壊こわす怖こわいものだと伝つたえたいです」と話はなしていました。

6年生ねんせいの熊くま脇わき葵まもるさんは「平和へいわが世界せかいに発信はっしんされたらいいなと思おもって歌うたいました。戦争せんそうは絶対ぜったいしちゃだめだということと、平和へいわを大切たいせつにしていくことが大事だいじだと思おもいます」と話はなしていました。

原爆げんばくがさく裂さくれつした午前ごぜん11時じ2分ふんになると、児童じどうたちは各かくクラスで平和へいわ公園こうえんに向むかって黙もくとうをささげていました。