台風はさらに発達し、24日朝から昼すぎにかけて先島諸島に最も接近する見込みで気象台は、台風対策をとるとともに、暴風や高波などに厳重に警戒するよう呼びかけています。
気象庁の観測によりますと、大型で強い台風3号は、23日午後3時には沖縄県の波照間島の南南東およそ390キロの海上を1時間に15キロの速さで北北西へ進んでいます。中心の気圧は965ヘクトパスカル、中心付近の最大風速は40メートル、最大瞬間風速は55メートルで、中心から半径110キロ以内では風速25メートル以上の暴風が吹いています。
台風は、今後、発達しながら北上し、
▽石垣島地方と宮古島地方には23日朝
▽与那国島地方には23日昼すぎ、非常に強い勢力で最も接近し、一部の家屋が倒壊するおそれもある猛烈な風が吹く見込みです。
台風の接近に伴い、沖縄地方はしだいに風が強まっていて、最大瞬間風速は▽西表島の大原で午後4時12分に25.2メートル
▽久米島空港で午後2時41分に22.1メートルを観測しています。
24日に予想される最大瞬間風速は
▽八重山地方で65メートル
▽宮古島地方で35メートル
▽沖縄本島地方で30メートル
▽大東島地方で25メートルとなっています。
また、沿岸の海域はうねりを伴いしけとなる見込みで、特に先島諸島では26日にかけて猛烈なしけになるおそれがあります。
あす予想される波の高さは、
▽八重山地方で12メートル
▽宮古島地方で11メートル
▽沖縄本島地方で7メートル
▽大東島地方で5メートルとなっています。
先島諸島では24日から25日にかけて、大潮によって潮位が高くなる影響に加え、台風の接近でさらに潮位が高くなります。
気象台は、台風への対策をとるとともに、暴風や高波、それに高潮による浸水や冠水、土砂災害や低い土地の浸水、河川の増水や氾濫に厳重に警戒するよう呼びかけています。
沖縄 空の便中心に交通機関にも影響
このうち、石垣島や与那国島を含む八重山地方では、最大瞬間風速が60メートルを超え、一部の住宅が倒壊するおそれがある猛烈な風が吹くと予想されています。
また、波の高さは10メートルを超えて猛烈なしけとなる見込みです。
このため、空の便を中心に交通機関に影響が出始めています。
沖縄県では去年8月上旬に台風6号の影響で空の便の欠航が相次ぎ、足止めされた観光客が宿泊先を確保できず、避難所などでの滞在を余儀なくされました。
夏休みを利用して旅行を計画している人は航空各社の運航情報を確認し予定の見直しも含めて検討してください。
また、滞在している人は最新の台風情報や地元の自治体の避難の情報などをこまめに確認し、海には近づかず頑丈な建物で過ごすようにしてください。
船の便 午後から欠航 石垣島のターミナルでは
台風3号の接近に伴い、石垣島と周辺の離島を結ぶ船の便は、23日午後から欠航が決まっています。
石垣港の離島ターミナルでは、欠航になる前の便に乗ろうとする人や、石垣島に戻ってくる観光客の姿などが見られました。
埼玉県から親戚7人で旅行に来た40代の女性は「もともと西表島にあすまで滞在する予定でしたが、早めに切り上げて石垣島に戻ってきました。あすとあさってはホテルに『缶詰め』になる覚悟で、安全を考えて過ごしたいです」と話していました。
9歳の男の子は「ゲームをしたり遊んだりして、安全に宿で過ごします」と話していました。
また、神奈川県から息子と2人で訪れている50代の男性は「今月19日に来て27日に帰る日程で波照間島に滞在する予定でしたが、台風なので一日で帰ってきました。きょうの航空機の便がとれたら帰ろうと思います」と話していました。
与那国島 避難所開設「早めの避難を」
台風3号の接近を前に、沖縄県の与那国町は、23日午後、避難所を開設し、早めの避難を呼びかけています。
与那国町は、23日午後3時に、保健センターと久部良多目的集会施設の町内2か所に避難所を開設しました。
町内では防災無線が定期的に流れていて、避難所設置の情報が伝えられたり早めの避難が呼びかけられたりしていました。
与那国町によりますと、今後、暴風警報が出た場合は、警報が解除されるまで避難所を設けて、町の職員2人が常駐するということです。
与那国町総務課の洲鎌浩二さんは「要望もあったので明るい時間に避難所を設置した。今回は風が強いという予測があるので、最新の情報を見ながら早めの避難を心がけてほしい」と話していました。
町内では午後になってから風が強まっていて、住民は、窓ガラスが割れないように外側から工具を使って板を固定したり、ネットで建物全体を覆ったりするなどして台風対策を急いでいました。
与那国島 暴風雨に備え住民が対策急ぐ
台風3号の接近に伴う暴風雨に備えて、沖縄県の与那国島では住民が対策を急いでいます。
このうち、与那国町与那国にある牛舎では、ふだんは外に置いてあるパレットなどの用具が風で吹き飛ばされないよう、フォークリフトを使って移動させていました。
猛烈な風も予想される中、作業にあたっていた小嶺博泉さんは「ここはいつも強い風が吹くから建物ごと持っていかれるかもしれない」と話していて、パレットなどの用具を、建物の中だけでなく近くの林の中などに分散して積み上げていました。
与那国島では、23日の午前中、風が強まったり、時折、雨がたたきつけるように降ったりしていて、街なかでは植木を室内に移動させる人や排水の妨げにならないよう道路沿いの草木を刈り取る人の姿が見られました。
石垣島の海ぶどうの養殖場では早めの対策
石垣島の登野城漁港の近くにある海ぶどうの養殖場では出荷のピークを迎えていて、粒の大きな海ぶどうが育っています。
台風3号の接近に備え、風で飛ばされないよう、22日午後5時ごろには、日よけの網や保温のためのネットを外していました。
養殖業者は、23日、台風の風が強まることを心配して早めに対策をとったということです。
海ぶどうを養殖している比嘉幸秀さんは「このあたりは台風のときに停電しがちで、停電になったら養殖場に海水をくみ上げるポンプが止まってしまうので心配です」と話していました。
旬のオクラ 早め収穫 “被害がかなり心配”
台風3号の接近に備えて、石垣島では、旬を迎えたオクラを早めに収穫するなどの対策がとられています。
沖縄県内有数のオクラの産地である石垣島では収穫のピークを迎えていて、大きいもので10センチほどまで育っています。
台風3号の接近に備え、オクラ農家は、23日、風にあおられて傷がつかないよう収穫にはまだ早い小さいものも収穫するなどの対策をとっていました。
また、風の影響を少なくするために育った茎を短く切っていました。
農家の人たちは、台風の影響で航空便が欠航して収穫しても出荷できない状況になることを懸念しているということです。
オクラ農家の砂川拓也さんは「台風が先島諸島を直撃するということで、被害がかなり心配です。潮風に乗って塩分が葉につくと被害が出ます。できるかぎりのケアをしながら台風を見据えた収穫と手入れをしていきたいです」と話していました。