気象庁によりますと、北日本にのびる前線に向かって太平洋高気圧の縁をまわる暖かく湿った空気が流れ込んでいる影響で、東北や新潟県などで大気の状態が非常に不安定になっています。
25日午前8時までの1時間には、いずれも国土交通省が設置した雨量計で
▽新潟市で33ミリ、
▽山形県金山町で31ミリの激しい雨を観測しました。
また、秋田県由利本荘市東由利では、午前7時前までの24時間の雨量が197ミリに達し、平年の7月1か月分を上回り、統計を取り始めてから最も多い記録的な大雨となっています。
由利本荘市を流れる子吉川水系の石沢川では、25日未明に堤防が決壊して氾濫が発生したとして国土交通省が氾濫発生情報を出しました。
このほかにも秋田県では氾濫危険水位を超えている川があります。
また、秋田県と山形県では土砂災害の危険性が非常に高まり、土砂災害警戒情報が発表されている地域があります。
雨の降り方や周囲の状況をよく確認し、雨が弱まったとしても引き続き安全な場所で過ごすようにしてください。
今後の見通し
前線はこのあと次第に不明瞭になるものの、25日夜までに日本海に低気圧が発生し、26日にかけて北日本を通過する見込みです。
このため引き続き26日にかけて北日本から西日本にかけての広い範囲で大気の状態が非常に不安定になり、特に東北と東日本では雷を伴った激しい雨や非常に激しい雨が降って大雨となるおそれがあります。
26日朝までの24時間に降る雨の量は、いずれも多いところで
▽東北で150ミリ、
▽新潟県で80ミリ、
▽関東甲信で60ミリと予想されています
気象庁は、川の氾濫や土砂災害、低い土地の浸水に厳重に警戒するとともに落雷や竜巻などの激しい突風、ひょうに十分注意するよう呼びかけています。
秋田県内で堤防決壊や浸水の被害
大雨の影響で、秋田県では堤防が決壊したり床が水につかったりする被害がでています。
【由利本荘市 川の氾濫 床上浸水10棟】
由利本荘市では石沢川の鮎瀬観測所付近で堤防が決壊し、氾濫が発生しました。
由利本荘市によりますと、25日午前6時までに市内で住宅10棟が床上浸水しているという情報があり、確認を進めているということです。
石沢川では、水かさが増し茶色く濁った水が流れていました。周囲に広がる田んぼや畑には堤防が決壊したとみられる場所から茶色く濁った水が大量に流れ込み、電柱も水に浸かっていました。
近くに住む60代の女性は「川の水が広くあふれたのは数年ぶりで、周りには浸水した住宅もあるようです。今後さらに水かさが増えないか心配です」と話していました。
【にかほ市 消防団員けが 床上浸水7棟】
にかほ市によりますと、24日夜に大雨の影響で市内を流れる川の斜面が崩れ、近くにいた消防団員の男性が軽いけがをしたということです。
このほか、にかほ市では住宅7棟が床上浸水しているという情報があり、市が確認を進めています。
【横手市 土砂崩れ 床下浸水18棟】
横手市では25日午前4時前、山内平野沢の道路で土砂崩れがありました。消防が現場を確認したところ、けが人や住宅の被害はなかったということです。
このほか横手市内では18棟の住宅から床下浸水の情報が寄せられているということです。
横手市百万刈地区では、道路が冠水し消防がボートで住民を救助しました。
住民の男性は「朝4時くらいにドアを開けたら水が家のギリギリまで来ていてどうなるか不安でした。救助されて安心したが、車は水につかって使えなくなったと思う」と話していました。
由利本荘市の一部に緊急安全確保
由利本荘市は、市内を流れる石沢川の堤防が決壊したとして午前2時25分に
▽石沢鮎瀬新田地区の39世帯113人、
▽石沢鮎瀬本田地区の47世帯118人に「緊急安全確保」を出しました。
警戒レベルは最も高い「レベル5」で、周囲の状況を確認し、近くの建物や自宅の2階以上や斜面から離れた場所など、少しでも安全な場所で命の助かる可能性の高い行動をとるよう呼びかけています。
消防が住民を避難誘導
秋田県の由利本荘市消防本部によりますと、25日午前1時39分ころ、由利本荘市鮎瀬で地元の消防団から「石沢川の堤防から水があふれ、住宅の方に流れている」という通報があったということです。
通報の時点では水は周辺の住宅には達していないということですが、消防では消防隊と地元の消防団が石沢川の近くの住民を避難させているということです。