26日の開会式に先立ってサッカー男子の予選リーグが24日から始まり、8大会連続12回目の出場となる日本は、フランス南西部のボルドーでグループDの初戦で5大会ぶり3回目の出場のパラグアイと対戦しました。
日本は、出場チームで唯一年齢制限のないオーバーエイジ枠を使わず、23歳以下のメンバーのみの構成で、先発メンバーにキャプテンの藤田譲瑠チマ選手やフォワードの細谷真大選手などが名を連ねました。
試合は、前半19分にミッドフィルダーの三戸舜介選手がペナルティーエリア内で左サイドからのボールを受けて右足を振り抜き、先制点をあげました。
24分にはパラグアイの選手が接触プレーでレッドカードを受けて退場し、日本が数的優位な状況となりますが、その後は得点を奪えず1対0で前半を終えました。
後半開始直後は相手にペースを握られましたが、18分に左サイドからのクロスボールに三戸選手が頭で合わせて2点目のゴールを奪うと、24分にはミッドフィルダーの山本理仁選手のゴールで3対0とリードを広げました。
さらに、途中出場の藤尾翔太選手が36分と42分に相次いでゴールを決めて5対0でパラグアイに快勝し、勝ち点3を獲得しました。
日本は27日、日本時間の28日未明に予選リーグの第2戦でマリと対戦します。
キャプテンの藤田「アグレッシブにサッカーができた」
試合後、キャプテンの藤田譲瑠チマ選手は初戦を5対0で快勝したことについて「チームとしていい流れに乗ることができ、内容的にもすごくよかった。先制点を取れたのが大きかった。チームとしてもアグレッシブにサッカーができたので相手を上回れたと思う」と振り返りました。
その上で、次のマリ戦に向けて「しっかりと準備して勝ちきりたい」と力強く話しました。
2得点の三戸「気を引き締めていきたい」
先制ゴールを含む2得点を挙げた三戸舜介選手は「1点目はトラップしたあとフリーだったのでうまく決めることができた。2点目のヘディングシュートは斉藤光毅選手がクロスボールをあげる前に目が合って、ドンピシャのボールが来たのであとは決めるだけだった」と振り返りました。
そして「初戦を勝ちきれてよかったが、できた部分とできなかった部分があり、ボールをロストすることもあったので、気を引き締めていきたい。次もしっかり勝てるように準備していきたい」とマリ戦に向けて意気込みを話しました。
オーバーエイジ枠を使わず強さ見せる
日本は今大会で、3人まで認められている年齢制限のないオーバーエイジ枠を出場チームの中で唯一、使っていません。
東京大会には年齢制限のない日本代表の要でもあった遠藤航選手などが加わり、「史上最強」とも呼ばれたメンバーで臨んだことを考えると対照的な構成となっています。
ただ、多くの選手はパリオリンピックのアジア最終予選を兼ねた23歳以下のアジアカップで優勝したメンバーでキャプテンの藤田譲瑠チマ選手は「僕たちはお互いの特長をよく知っているし、大岩監督の戦術理解度も非常に高い。これまで培ってきた『組織力』を武器に戦いたい」とチーム力の高さを強調してきました。
そして、オリンピック2連覇を果たしているブラジルを抑えて南米予選を1位で通過したパラグアイに対しては大岩監督が「守備が組織的で強度が高いチームだ。フォワードはスピードがあり、カウンターに気を付けなければならない」と最大限の警戒をして臨みました。
そのパラグアイを相手に日本は藤田選手のことば通り組織力の高さをいかんなく示しました。
オーバーエイジの選手が2人加わった強豪を相手に冷静にボールを回してすきをうかがいながら前半19分にはその強固な守備を崩して先制。
その後、1人少なくなったパラグアイに対してはさらに立て続けに得点を奪いました。
オーバーエイジの選手がいなくても強さを見せた日本が重要視していた初戦で貴重な1勝を手にしました。
平河選手の地元で応援 検討たたえる
パリオリンピックのサッカー日本代表の初戦となる、サッカー男子・予選リーグのパラグアイ戦に先発した平河悠選手の地元、佐賀県鹿島市ではパブリック・ビューイングが行われ、地元の人たちが熱い声援を送りました。
パリオリンピックサッカー男子の平河悠選手は佐賀県鹿島市の出身で、初戦の25日は鹿島市がパブリック・ビューイングを開催しました。
会場の鹿島市民文化ホールには、平河選手の小中学校の同級生や地元の人たちなどおよそ50人が駆けつけました。
試合は前半、三戸選手が先制のゴールを決めましたが、直後にパラグアイのファールで平河選手が倒され、VARの結果、危険なプレーとしてパラグアイの選手1人が退場となりました。
このプレーで足を痛めた平河選手は交代となり、パブリック・ビューイングの会場に集まった人からは健闘をたたえる拍手が送られていました。
日本はその後も得点を重ね5対0で快勝すると、会場からは拍手と歓声があがりました。
市の職員で平河選手と小・中学校で一緒にサッカーをしていた谷口大志さんは「けがはある程度覚悟していたと思いますが、まだ活躍を見たいので早く治して次の試合では得意のドリブルを生かして得点に絡んでほしいです」と話していました。
佐賀市から訪れた60代の男性は「平河選手が心配ですがまた次の試合で頑張ってほしいです。初戦の勝利は大きいと思うのでいい流れになってほしい」と話していました。
組織力でつかんだ1勝
南米予選を1位で通過してきた強豪に5対0で快勝した日本。
相手が1人少なくなる前に奪った得点は先制の1点にとどまりましたが、決勝点にもなったそのゴールは日本が誇る「組織力」によって生まれたものでした。
今大会、オーバーエイジ枠を使わなかった日本のキャプテン、藤田譲瑠チマ選手は23歳以下の選手だけによるメンバー構成にも「組織力」を強みに今大会を戦い抜けると自信を示していました。
初戦となったこの試合、序盤からゴールキーパーの小久保玲央ブライアン選手も加わって細かくパスを回しながら攻撃を組み立てるビルドアップを丁寧に重ねていきました。
相手がプレッシャーをかけてきても味方がパスを出しやすいところにほかの選手が動き、すきがあれば縦へのパスも鋭く入れて、緩急をつけながら全員で攻撃のチャンスを探りました。
そして前半19分、センターバックの高井幸大選手からの縦へのパスが斉藤光毅選手に通り、斉藤選手からのパスを受けたサイドバックの大畑歩夢選手が左サイドを突破。ペナルティーエリア内に侵入した三戸舜介選手へとつなぎました。
そして、前線の細谷真大選手が相手のディフェンダーに体をうまく当ててシュートコースを作り、そこを三戸選手が正確に狙って先制点を奪いました。
南米予選を1位で通過した強豪のパラグアイに、今大会、唯一、オーバーエイジ枠なしで臨んだ若き日本代表が持ち味の組織力をいかんなく発揮してこの決勝点にこぎつけました。
ただ、キャプテンの藤田選手は「全体的にはよかったが、まだ修正するところがあるので、ミーティングで振り返って次の試合で改善したい」とさらなる強化の可能性を感じていたようでした。
次の第2戦の相手はことし3月の強化試合で敗れたアフリカ勢のマリとの対戦です。
身体能力の高い選手がそろうマリに対してもパラグアイ戦のように「組織力」を生かしたプレーができるかどうかが勝敗をわけることになりそうです。