4年間の
努力が
結実した
銅メダルでした。ピョンチャンオリンピックのスキージャンプ
女子ノーマルヒルで
初めてのメダルを
手にした
高梨沙羅選手。メダルの
色は
目標にしていた「
金」に
届きませんでしたが、この
日のために
汗を
流した
仲間もともに
喜ぶ
金と
同じ
価値のあるメダルでした。
前回のソチ
大会で
4位に
終わり、
悔し涙を
流した
日から
4年、「
悔しさを
晴らしたい」と
臨んだ
舞台は、
氷点下11度の
寒さに
強風がめまぐるしく
吹きつける
厳しいコンディション。それでも
午後7時半ごろ
競技会場に
到着した
高梨選手は
落ち着いた
表情。いつものルーティーンで
黙々と
試合に
向け
準備する
姿に、
4年間、やるべきことはすべてやりきったという
覚悟を
感じました。
1回目のジャンプでは、高梨選手の直前で強風が吹きつけ試合が5分以上中断。毛布を巻き、暖房の前で小刻みに体を動かしながら順番を待ちました。厳しいコンディションの中飛んだジャンプは、103メートル50。トップと5.1ポイント差で3位につけました。
金メダルを狙える位置で2回目のジャンプに向かう高梨選手を会場に詰めかけた日本のファンも後押し。
「まだ行ける!」「逆転できるぞ!」「頑張れ!」
その声に高梨選手は頭を下げて応え、最後の戦いに歩みを進めました。
運命の2回目。冷たい雪が降り始め、1回目よりさらに不規則な風も吹きました。大歓声の中、最後から3人目に飛んだ高梨選手。どんな厳しい状況にさらされてもそこには「自分を信じることができなかった」4年前とは違う姿がありました。
「この4年間やってきたことが最後に1番いい形になった」
1本目と同じ103メートル50。会心のジャンプを2本そろえた高梨選手。試合で滅多に見せないガッツポーズが自然と出ました。
飛び終えた高梨選手に真っ先に駆け寄ったのが伊藤有希選手でした。4年前、高梨選手と「またオリンピックの舞台に2人で戻ってこよう」と誓い合い、悔しさや苦しみをともに分かち合った仲間でもありライバル。会心のジャンプを見せた高梨選手を抱きしめると、日本チームの全員も集まり、自分のことのように喜びました。
試合後の取材、高梨選手はすがすがしい表情で「チームのみんなが待っていてくれたことがうれしかった」と話すと、こらえていた涙が止まりませんでした。
高梨選手の銅メダルは“日本チームの勝利”と言える金と同じ価値のあるメダルでした。この4年間を「ソチの悪夢を見ていた」と話していた高梨選手。必要以上にみずからを追い込み、本来の力を出せなかった前回の4位から、大きな成長を遂げた姿を示しました。
そして取材の最後に「ソチの悔しさは返せたのでまた金メダルをとりに戻って来たい」ときっぱり。すっきりとした笑顔に戻って語る姿に、4年後、新たな目標に向かう強い決意が見えました。