ベラルーシの国営テレビは4日、日本人男性が拘束されたと報じ、日本政府関係者などによりますと、この男性は、ことし7月に拘束された元日本語講師の中西雅敏さんだということです。
中西さんについてベラルーシの国営テレビは5日夜、ベラルーシで初めて日本の情報機関の活動が摘発されたとして「東京から来たサムライの失敗」と題した15分の特別番組を放送しました。
この中で、ベラルーシの治安当局が「ベラルーシ軍の施設や配置などについて情報を収集し、日本の情報機関に送った」として、中西さんを捜査していると伝えました。
番組では、中西さんが写真を撮影しているような様子をとらえた映像や、中西さんが手錠をかけられて歩いている様子などを放送しています。
また、中西さんがロシア語で「ウクライナとの国境近くに行き、多くの線路や橋の写真を撮影した」と話す様子も伝えています。
ただ、中西さんがみずからの意思で話しているのかや、番組が伝える内容がどこまで正しいのかはわかっていません。
林官房長官 現地当局に抗議
ロシアの同盟国ベラルーシで拘束された日本人男性に関し、現地の国営テレビが報じた特集番組について林官房長官は、人権保障の観点から問題がある内容が含まれていたとして、現地当局に抗議したことを明らかにしました。
ロシアの同盟国ベラルーシの国営テレビは、ベラルーシでことし7月に拘束された日本人男性についての特別番組を放送し、この男性が軍事施設などの情報を収集し、日本の情報機関に送ったとして治安当局が捜査をしていると伝えました。
これについて、林官房長官は「前日の番組予告において、当該男性の人権の保障の観点から問題がある内容が含まれていたことを受け、放映に先立ち、在ベラルーシ日本大使館からベラルーシ外務省に放映中止を強く申し入れた」と述べました。
そのうえで「結果として放映されたことは極めて遺憾だ。放映後直ちにベラルーシ外務省に対して抗議した」と明らかにしました。
そして「いずれにしても政府としては、邦人保護の観点からできるかぎりの支援を行っていく」と述べました。