技能実習生だったベトナム
人がおととし、
熊本県芦北町で
死産した
赤ちゃんを
自宅に
放置したとして
死体遺棄の
罪に
問われた
裁判で、
最高裁判所は
被告側と
検察の
双方から
主張を
聞く弁論を
開くことを
決めました。
弁論は判決を変更する際に必要な手続きで、2審の有罪判決が見直される可能性が出てきました。
ベトナム人のレー・ティ・トゥイ・リン被告(23)は、技能実習生だったおととし11月、死産した双子の赤ちゃんの遺体を段ボール箱に入れて芦北町の自宅に放置したとして死体遺棄の罪に問われています。
裁判では被告の行為が遺棄にあたるかどうかが争われ、被告側は「赤ちゃんをタオルに包んだ上でおわびのことばなどを書いた手紙を添えていて、ベトナムでは一般的な土葬で埋葬しようとしていた」と無罪を主張しました。
1審の熊本地方裁判所は「遺体を弔わずに放置し、一般的な宗教的感情を害することは明らかだ」として懲役8か月、執行猶予3年の有罪判決を言い渡しました。
一方、2審の福岡高等裁判所は「段ボール箱に入れて封をし、隠した行為は遺棄にあたるが、死産をしてから遺体が見つかるまでの期間は1日余りにとどまり、放置したとはいえない」として1審を取り消して、より軽い懲役3か月、執行猶予2年を言い渡しました。
判決を不服として被告側が上告していましたが、最高裁判所第2小法廷の草野耕一裁判長は来年2月に弁論を開くことを決めました。
弁論は判決を変更する際に必要な手続きで、2審の有罪判決が見直される可能性が出てきました。
「ぜひ無罪判決を」被告がコメント
最高裁判所で
弁論が
開かれることを
受けて、レー・ティ・トゥイ・リン
被告は「
知らせを
聞いてとてもうれしいです。
私の
主張に
裁判官が
耳を
傾け、ぜひ
無罪判決を
言い渡して
くれることを
願います」と
コメントしています。
この事件をめぐっては、外国人技能実習生などを支援している団体が、「日本で孤立出産した女性が刑事罰の対象になりかねない」として無罪を求める署名活動などを行っています。
また、1審と2審の判決も有罪と判断した一方、技能実習生が置かれている現状に言及していました。
1審の熊本地裁は「妊娠が解雇理由にならないとはいえ、実情としては仕事ができず収入がなくなるため、帰国に追い込まれてしまう。そのような状況を十分にサポートする制度もなく、周囲に妊娠を告白できずに思い詰めて犯行に至った経緯には、同情の余地が十分ある」と述べました。
また、2審の福岡高裁も「少なくない費用をかけて来日し、家族に仕送りをしていた被告が実習を続けるために妊娠や出産を隠そうと考えたことは、事情として一定程度酌むことができる」と述べていました。