消費しょうひ者しゃ団体だんたいの「消費しょうひ者しゃ支援しえん機構きこう関西かんさい」は、東京とうきょうに本社ほんしゃがある家賃やちん保証ほしょう会社かいしゃが連帯れんたい保証ほしょう人じんとなる際さいに賃貸ちんたい住宅じゅうたくを借かりる人ひとと結むすんでいる契約けいやくの条項じょうこうについて、使用しようの禁止きんしなどを求もとめました。

条項じょうこうでは家賃やちんを2か月かげつ以上いじょう滞納たいのうし、連絡れんらくがつかなくなるなど一定いっていの条件じょうけんを満みたした場合ばあいは、物件ぶっけんを明け渡あけわたしたとみなすとしていて、団体だんたいは「一方いっぽう的てきに借り主かりぬしに退去たいきょを迫せまるいわゆる『追い出おいだし条項じょうこう』で、居住きょじゅう権けんを侵害しんがいし違法いほうだ」と主張しゅちょうしていました。

1審しんの大阪おおさか地方ちほう裁判所さいばんしょは条項じょうこうは違法いほうだと判断はんだんした一方いっぽう、2審しんの大阪おおさか高等こうとう裁判所さいばんしょは訴うったえを退しりぞけたため、消費しょうひ者しゃ団体だんたいが上告じょうこくしていました。

12日にちの判決はんけつで最高さいこう裁判所さいばんしょ第だい1小しょう法廷ほうていの堺さかい 徹とおる 裁判さいばん長ちょうは「借り主かりぬしは賃貸ちんたい契約けいやくの当事者とうじしゃではない保証ほしょう会社かいしゃの一存いちぞんで一方いっぽう的てきに部屋へやの使用しようを制限せいげんされることになる」と指摘してきしました。

そのうえで「明け渡あけわたす義務ぎむもなく、法的ほうてきな手続てつづきもとられていないのに明け渡あけわたしと同おなじ状態じょうたいになることは著いちじるしく不当ふとうだ。借り主かりぬしと保証ほしょう会社かいしゃの間まに見過みすごせない不ふ均衡きんこうをもたらし、消費しょうひ者しゃの利益りえきを一方いっぽう的てきに害がいする」と述のべて、条項じょうこうの使用しよう禁止きんしと契約けいやく書しょの廃棄はいきを命めいじました。

最高裁さいこうさいが家賃やちん保証ほしょう会社かいしゃの契約けいやくについて判断はんだんを示しめしたのは初はじめてで、借り主かりぬしを事実じじつ上じょう追い出おいだすような契約けいやくに歯止はどめをかける判決はんけつとなりました。

原告げんこくの消費しょうひ者しゃ団体だんたい「大おおきな成果せいか」

判決はんけつのあと消費しょうひ者しゃ団体だんたいの「消費しょうひ者しゃ支援しえん機構きこう関西かんさい」は記者きしゃ会見かいけんし、藤井ふじい克裕かつひろ 理事りじ長ちょうは「条項じょうこうによる被害ひがいが防止ぼうしされ、大おおきな成果せいかにつながった。今回こんかいの業者ぎょうしゃだけでなくほかの保証ほしょう会社かいしゃでも同様どうようの規定きていを設もうけているところがあるので、判決はんけつに沿そった対応たいおうをしてもらいたい」と話はなしていました。

一方いっぽう、家賃やちん保証ほしょう会社かいしゃの「フォーシーズ」は「判決はんけつ文ぶんが届とどいていないので現時点げんじてんでコメントすることはできない」としています。

専門せんもん家か「極きわめて妥当だとうな判断はんだん」

民法みんぽうが専門せんもんで賃借ちんしゃく契約けいやくなどに詳くわしい京都きょうと女子じょし大学だいがくの岡田おかだ愛あい 教授きょうじゅは判決はんけつについて「“追い出おいだし条項じょうこう”そのものが違法いほうと判断はんだんされたことで、ほかの業者ぎょうしゃも同おなじような内容ないようの条項じょうこうは使つかえなくなる。借り主かりぬしが法的ほうてきな手続てつづき無なく家いえから追い出おいだされることがなくなり、極きわめて妥当だとうな判断はんだんだ」と評価ひょうかしました。

一方いっぽうで「家賃やちん保証ほしょう会社かいしゃが滞納たいのうリスクの高たかい人ひとと契約けいやくを結むすばなくなったり、高額こうがくな契約けいやく料りょうを求もとめたりするケースも出でかねない。不当ふとうな理由りゆうで家いえを借かりられなくなる人ひとが出でないよう、司法しほうと行政ぎょうせいの両輪りょうりんで引き続ひきつづき注視ちゅうししていく必要ひつようがある」と話はなしています。