その上で国際的に承認されたウクライナの領土のおよそ18%が、いまもロシア側の支配下に置かれていると非難しました。
ロシア側は周辺の道路を封鎖したものの、銃撃戦となり、ロシア側に死者が出たとみられるということです。 またウクライナの通信社によりますと、ウクライナ軍は今月10日から11日にかけてメリトポリやその周辺にあるロシア側の拠点3か所を攻撃したということで、南部の領土のさらなる奪還に向け反転攻勢を強めているとみられます。
東部ドネツク州の親ロシア派の指導者、プシリン氏は13日「エネルギー施設への攻撃はウクライナ軍の敗北が確実に近づく状況を作りだしている」と述べ、ロシア軍のミサイル攻撃は今後も続くとみられます。
フランス政府が呼びかけ、13日パリで開かれた会議には、欧米や日本など40か国以上の代表のほか、ウクライナからシュミハリ首相なども参加しました。 ロシア軍のミサイル攻撃によってウクライナ全土で市民生活がひっ迫していることを受けて、会議では、市民が無事に冬を越せるよう、電力や暖房、それに水道などインフラ分野への追加の支援策について意見が交わされました。
会議には、フランスから700以上の民間企業も参加し、このうちの一部は、ウクライナで鉄道や橋を復旧する工事に参加する意向を示しています。 フランス政府は、国内の企業が今後、ウクライナでの復興事業に参加する際、資金面などで後押しする方針で、フランスのルメール経済相は官民を挙げて復興支援にあたる姿勢を示しました。 フランスの大手建設企業の役員はNHKの取材に対し「ウクライナでの事業に向けて情報収集を始めようと、会議に参加した。フランスは、復興のための重要な役割を担える」と話していました。
さらにウクライナ各地でいまもおよそ1200万人が電気を使えない状況にあると訴えたうえで「ロシアはウクライナ全土で人道的な大惨事を引き起こそうとしている」と述べ、エネルギー施設への攻撃を繰り返すロシアを厳しく非難しました。
これについてロシア大統領府のペスコフ報道官は「こうした接触について準備をしている」と述べ、ロシアとしては友好国 中国との関係を強化することで欧米側に対抗したい思惑とみられます。
そのうえで「国境の検問所から入国を試みたウクライナの民族主義者や戦争犯罪人、400人以上を拘束した」と述べ、ウクライナ側の脅威を強調しています。 プーチン政権はこれまでも、ロシア国内の施設がウクライナ側の破壊工作の標的になっているなどと主張し、ウクライナ各地へのミサイル攻撃を正当化してきました。 ロシア当局としてはこうした破壊工作を欧米が支援していると主張することで、国内の引き締めを図る狙いもあるとみられます。
この中でアメリカのオースティン国防長官はアフリカで中国が不透明な形で経済的な関与を深めたり、ロシアが安価な武器を輸出したりしているとして「地域を不安定化させている」と批判しました。 アメリカ政府が主催するアフリカとの首脳会議は8年ぶりで、バイデン大統領は今後3年間でアフリカ各国に対して550億ドル、日本円にしておよそ7兆5000億円の支援を表明するほかAU=アフリカ連合のG20=主要20か国のメンバー入りを支持する考えを示す見通しです。 巨大な市場としても注目を集めるアフリカで中国やロシアが影響力を強める中で、アメリカとしても存在感を示して対抗したい考えです。
さらにウクライナへの軍事侵攻を受けて欧米との対立が深まる中、国連加盟国の3割近くを占めるアフリカとの関係をこれまで以上に重視していて、国連総会でのロシアを非難する内容の決議案の採決では棄権に回るアフリカの国は少なくなく、ロシアへの配慮だと受け止められています。
背景には植民地支配からの解放闘争を担った勢力が当時のソビエトの軍事支援を受けた歴史的なつながりがあると指摘されています。 先月2日には、ナミビアに駐在するロシアのニキーチン臨時代理大使がガインゴブ大統領を表敬し、来年開かれる予定のロシアとアフリカ諸国の首脳会議への、プーチン大統領からの招待状を手渡しました。 会談の中でニキーチン臨時代理大使は旧ソビエト時代の支援を踏まえて、「ナミビアは古い友人だ」と述べたうえで、国連総会でのナミビアの棄権について「国連総会でナミビアが示した立場に感謝したい」と伝えました。 これに対しガインゴブ大統領は「圧力を受けたがロシアに感謝しているから棄権した」と応じ、決議案に賛成するよう欧米からの働きかけがあったことを示唆したうえで、ロシアとの関係に配慮したと説明しました。 こうしたナミビア政府の対応についてナミビア大学の政治学者、ヌデュンバ・カムワニヤ氏は「植民地支配の歴史などからナミビアには欧米への不信感があり、ウクライナ情勢をめぐるロシア寄りの姿勢につながっている」と指摘しています。
地元紙ではこうした状況を受けてロシアがナミビアに対して燃料の供給を提案したと伝えています。 カムワニヤ氏は「ナミビアの外交姿勢の背景には歴史的なつながりだけではなく、ロシアから石油などの支援を受けようという戦略もある」と分析しています。
メリトポリ市長「市の中心部で大きな爆発」
ロシア軍のミサイル攻撃 今後も続くか
ウクライナ支援の国際会議 越冬支援に10億ユーロ拠出表明
ゼレンスキー大統領 エネルギー分野でのさらなる支援呼びかけ
ロシアと中国 首脳会談 年末で調整
ロシアの治安機関FSB長官 破壊工作を欧米が支援と主張
アメリカ・アフリカ首脳会議始まる 中国 ロシアに対抗の考え
アフリカとの関係を重視するロシア
欧米と一線を画すナミビア ロシア寄りの姿勢も
ロシア ナミビアに燃料供給を提案か
ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる14日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。
(日本とウクライナは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)
英国防省「ロシア軍が掌握の領土の54%解放」