そのうえで覇権主義的な動きを強める中国の動向も踏まえ、日米の安全保障戦略が軌を一にしているという認識を共有し、日米同盟の抑止力と対処力のさらなる強化を図っていく方針で一致しました。
また岸田総理大臣は、防衛力の強化のため、日本がアメリカの巡航ミサイル「トマホーク」の取得を計画していることを説明し、バイデン大統領は強い支持を表明しました。
さらにバイデン大統領からは、アメリカの防衛義務を定めた日米安全保障条約第5条のもと、核兵器も含めたあらゆる能力を用いて揺るぎなく、日本を防衛していく方針が伝えられました。
核・ミサイル活動を活発化させる北朝鮮に対しては、引き続き完全な非核化を求めていくことで一致し、日米韓3か国の協力を一層強化していくほか、拉致問題の解決に向けての連携も確認しました。 さらにロシアのウクライナ侵攻や核兵器使用の威嚇を重ねて非難し、ロシア制裁とウクライナ支援を継続していくことを確認しました。 そしてウクライナ情勢や食料・エネルギー問題などに世界が直面する中、5月に日本が議長国として開く「広島サミット」の成功に向けてG7の結束を確認しました。 さらに半導体や量子、バイオといった最先端技術の開発を含めた経済安全保障分野などでも、日米2国間の協力の強化を申し合わせました。 このほかアメリカ政府が行っている中国向けの半導体関連製品の輸出規制をめぐっても意見が交わされました。
日本の「反撃能力」保有も含めた防衛力強化策を踏まえ、日米同盟がインド太平洋地域の平和と安全の礎だと再確認し、経済安全保障でも優位性を確保するとしています。 共同声明では、インド太平洋地域での中国や北朝鮮の動向に加え、ロシアのウクライナ侵攻をあげ、世界のいかなる場所でも力や威圧による一方的な現状変更の試みに反対する立場を示すとともに、日米両国は単独および共同での能力を強化することが求められていると指摘しています。 バイデン大統領は日本の防衛力強化を称賛するとした上で、両首脳は、かつてなく強固となった日米同盟がインド太平洋地域の平和と安全、繁栄の礎であり続けることを改めて確認したとしています。 また、バイデン大統領は、核兵器を含むあらゆる能力を用いて、日米安全保障条約第5条のもとで日本の防衛に対し、アメリカが揺るぎない関与を行うと改めて表明し、両首脳は、沖縄県の尖閣諸島にも条約が適用されることを確認したとしています。 そして両首脳は、日本が保有を決めた「反撃能力」の効果的な運用に向けて協力を強化するよう関係閣僚に指示したとしています。
このほか、台湾海峡をめぐって、両国は平和と安定の維持の重要性を強調するとともに、両岸問題の平和的な解決を促しています。 また、ウクライナ情勢をめぐっては、ロシアの不当で残虐な侵略戦争に断固反対し、ロシアに対する制裁やウクライナへの支援を行っていくとしているほか、核兵器の使用に反対する立場を強調しています。 また声明で両首脳は、ことし5月の「G7広島サミット」について、法の支配に基づく国際秩序の堅持へのG7としての関与を示すため、緊密に連携していくとしています。 一方、経済分野をめぐっては、外務・経済閣僚による協議の枠組み、いわゆる経済版の「2プラス2」などを通じ、経済安全保障、宇宙、エネルギー安全保障について、日米の優位性を一層確保するとしています。 また、経済的威圧や非市場的な政策や慣行、それに自然災害などの脅威に対し、同志国の間でサプライチェーンの強じん性を構築するほか、気候危機に対処する地球規模の取り組みなどを加速させるとしていて、IPEF=インド太平洋経済枠組みは、これらの目標の軸になると指摘しています。 このほか、ロシアによる世界的なエネルギー・食料安全保障の毀損を含め、みずからの経済力を用いて他者を利用するすべての主体を非難するとともに、中国に対し、新型コロナの感染拡大について、十分かつ透明性の高い疫学的データやウイルスのゲノム配列データを報告するよう求めています。 さらに、インド太平洋の利益のため日米豪印4か国が国際保健、サイバーセキュリティー、海洋状況の把握などについて具体的な取り組みを推進するほか安全保障面で日米韓の3国間協力を強化するなどとしています。 そして声明は最後に、両首脳は最も緊密な同盟国として、言葉だけでなく行動を通じて平和と繁栄を実現する決意を新たにしたなどとして締めくくっています。
そのうえで「アメリカは日米同盟、とりわけ日本の防衛に対して、完全かつ、最大限の責務を果たすことをはっきりさせておきたい」と述べました。 また、「IPEF=インド太平洋経済枠組みを含めた経済やテクノロジーの分野での緊密な連携や、プーチン大統領に対するウクライナでの戦争についての責任追及などで日本が強いリーダーシップを発揮していることに感謝する」と述べました。 さらに「日本で開かれるG7=主要7か国の首脳会合などでアメリカと日本が共有する目標や価値観に向けてさらに前進することを楽しみにしている」と述べて日米関係のさらなる発展に期待を示しました。 またバイデン大統領は日米首脳会談を受けてツイッターに、両首脳がホワイトハウスで並んで笑顔で歩く写真を投稿し「両国やインド太平洋地域、そして世界の平和と安全保障、繁栄を進めるためにいかに協力していくかを岸田総理大臣と議論できたことをうれしく思っている」と書き込みました。
共同声明「同盟は礎 経済安保でも優位性確保」
岸田首相「同盟 一層強い連携確認し手応え」
バイデン大統領「防衛費増額など日米同盟を現代化」