首脳会談では、岸田総理大臣がゼレンスキー大統領のリーダーシップのもとで祖国を守るために立ち上がっているウクライナ国民の勇気と忍耐に敬意を表し、日本と、日本が議長を務めるG7=主要7か国として、ウクライナへの連帯と揺るぎない支援を直接伝える予定だとしています。
また、ロシアによるウクライナ侵攻と力による一方的な現状変更を断固として拒否し、法の支配に基づく国際秩序を守り抜く決意を改めて確認するとしています。
そして、22日、ポーランドを訪問して首脳会談を行い、ウクライナ情勢をめぐる対応を含めた2国間や国際社会での協力強化を確認し、あさって朝に帰国するとしています。
その上で「G7広島サミットが行われ、日本が議長国であるという意味でも、直接会って意見交換することは非常に有益で、日本に帰国したら、訪問の意義を国会で話してもらいたい。戦争状態にあるウクライナに行くので、無事を祈りたい」と述べました。
車列は、プシェミシル駅のウクライナ方面に向かう国際列車が利用するプラットホームの手前に直接、乗り入れました。そして、車列の1台目の車から、岸田総理大臣が降り、停車中の列車に乗り込みました。 このあと、岸田総理大臣に続き、外務省の山田外務審議官などの外務省関係者や、秋葉国家安全保障局長などの政府関係者が乗り込む姿が確認できました。段ボール箱に入った荷物を積み込む様子も確認できました。その後、列車は、各車両の扉を手動で閉めたあと出発しました。
当初の日程では日本時間の21日午後、インドから帰国の途につく予定でしたが、岸田総理大臣は21日未明にチャーター機でインドを離れ、けさ、ウクライナの隣国、ポーランドのジェシュフに到着しました。 その後、国境に近い街、プシェミシルまで車で移動して、列車に乗り込みウクライナの首都、キーウに向かっています。そして日本時間の今夜、ゼレンスキー大統領と首脳会談を行うことにしています。 太平洋戦争後、日本の総理大臣が戦闘が続く国や地域を訪れたことはなく、日本の首脳によるウクライナ訪問は、去年2月にロシアが軍事侵攻を開始して以降、初めてとなります。 ゼレンスキー大統領との首脳会談で、岸田総理大臣は、G7議長国として、ロシアに対する厳しい制裁などで国際社会の結束を促すとともに、日本としても復興や人道面を中心に最大限のウクライナ支援を継続していく考えを伝えるものとみられます。 ウクライナには2月、アメリカのバイデン大統領が訪問するなど、G7各国の首脳が訪れています。岸田総理大臣も1月にゼレンスキー大統領と電話で会談した際に、訪問の要請を受け、5月のG7広島サミット前には実現したいとして検討を続けていました。 岸田総理大臣はゼレンスキー大統領との会談を終えたあと、再びポーランドに移動し、首脳会談を行うことにしていて、23日の朝に帰国することにしています。
去年6月には、ドイツでのG7サミット出席にあわせて訪問することが検討されましたが、実現には至りませんでした。 最大の課題は安全の確保です。各国の首脳は、軍隊や特殊機関なども動いて訪問したとされていますが、日本の自衛隊には、海外での要人警護などに対応できる明示的な規定がなく、難航しました。 去年12月にも訪問の検討が行われ、関係国の協力を得て警護態勢の構築を試みましたが、ウクライナでの戦闘が激しさを増したことなどもあり、見送られました。 そして、ことしG7の議長となった岸田総理大臣。1月6日にはゼレンスキー大統領と電話で会談し、現地への訪問を要請され「検討する」と応じました。 先月には、アメリカのバイデン大統領、イタリアのメローニ首相が相次いで訪問し、G7の首脳で訪れていないのは岸田総理大臣だけとなっていました。 政府内では「G7広島サミットまでに何としても実現すべきだ」という意見が強まり、十分な安全確保に向けて、関係国との調整を加速させていました。
去年3月、ポーランドなど東欧3か国の首脳が訪れ、ゼレンスキー大統領と結束を確認しました。 去年4月には、G7=主要7か国のメンバー、イギリスの当時のジョンソン首相、5月にカナダのトルドー首相、6月には、フランス、ドイツ、イタリアの3か国の首脳が夜行列車で一緒に現地入りしました。 一方、アメリカは、ブリンケン国務長官ら高官が訪れたものの、バイデン大統領の訪問は実現しておらず、動向が焦点となっていました。 そうした中で、侵攻開始から1年になるのを前に、2月、バイデン大統領が電撃訪問し、国際社会を驚かせました。アメリカ政府高官の話として、訪問計画は、ハリス副大統領の周辺にも知らせず、極秘裏に実行されたことが伝えられています。 去年就任したイギリスのスナク首相や、イタリアのメローニ首相も、すでにウクライナを訪れています。
自民 茂木幹事長「現地情勢を直接確認することは大きな意義」
立民 岡田幹事長「何が求められているかしっかり話し合って」
日本時間の午前 ポーランドの駅からウクライナに出発
岸田首相インドからウクライナへ
ウクライナ訪問めぐる経緯
各国首脳の訪問状況