「地方ちほう4市し」では、各地かくちで再さい開発かいはつ事業じぎょうが進すすんでいることなどを背景はいけいに高たかい上昇じょうしょう率りつとなっています。

中なかでも住宅じゅうたく地ちの上昇じょうしょうは1995年ねん以来いらい28年ねんぶりで、都市とし部ぶの地価ちか上昇じょうしょうの流ながれが地方ちほうにも広ひろがっています。

今回こんかいの結果けっかについて、国土こくど交通こうつう省しょうは「新型しんがたコロナの影響えいきょうで弱じゃく含ふくんでいた地価ちかは景気けいきが緩ゆるやかに持ち直もちなおしている中なか、地方ちほうにおいても上昇じょうしょう範囲はんいが広ひろがるなど、コロナ禍か前まえへの回復かいふく傾向けいこうが顕著けんちょとなった」としています。

このうち、東京とうきょう 新宿しんじゅく区くの新宿しんじゅく3丁目ちょうめ周辺しゅうへんでは、去年きょねんの調査ちょうさでマイナス1.7％だった地価ちかが、ことしはプラス3.5％と上昇じょうしょうに転てんじました。

背景はいけいにあるのがコロナ禍かからの経済けいざいの正常せいじょう化かによる人出ひとでの回復かいふくです。

IT関連かんれん企業きぎょう「Agoop」が利用りよう者しゃの許可きょかを得えて個人こじんが特定とくていされない形かたちで集あつめた携帯けいたい電話でんわの位置いち情報じょうほうのデータでは、今月こんげつ18日にちの土曜どよう日びの東京とうきょう 新宿しんじゅく区くの歌舞伎町かぶきちょう付近ふきんの夜間やかんの人出ひとでは、4回かい目めの緊急きんきゅう事態じたい宣言せんげんが出だされたおととし7月つきから9月つきまでの夜よるの平均へいきんと比較ひかくして2倍ばい以上いじょうに増ふえました。

地域ちいきににぎわいが戻もどるのに合あわせて、再ふたたび飲食いんしょく店てんを出店しゅってんするケースも出でています。

都内とないに5つの店舗てんぽがある居酒屋いざかやチェーンは、去年きょねん11月つき、経済けいざいの正常せいじょう化かが進すすみ外食がいしょくの需要じゅようが回復かいふくすると見込みこんで、新宿しんじゅく3丁目ちょうめに新あらたな店みせをオープンさせました。

週末しゅうまつには満席まんせきとなる日ひもあるため、去年きょねん11月つきと比くらべて今月こんげつは5割わりほど利用りよう客きゃくが増ふえているということです。

日ひにち別べつの予約よやく数すうが記録きろくされた端末たんまつを見みせてもらうと、オープン直後ちょくごの去年きょねん11月つきは一いち日にち数すう組くみほどの予約よやくにとどまっていましたが、現在げんざい、週末しゅうまつはほとんどの時間じかん帯たいで予約よやくが入はいっていました。

また、来店らいてんする外国がいこく人じん観光かんこう客きゃくは11月つきごろは週しゅうに1組くみほどペースでしたが、今いまは毎日まいにち1組くみから2組くみほどが来店らいてんしているということです。

飲食いんしょくチェーンを運営うんえいする会社かいしゃ「古谷ふるや商事しょうじ」の吉田よしだ明広あきひろマネージャーは「去年きょねん11月つきに店みせをオープンした時ときにはまだ新型しんがたコロナの影響えいきょうが続つづいていたが『今いましか物件ぶっけんが空あいているチャンスがない』と思おもい、出店しゅってんを決きめた。今いまは、週末しゅうまつは大だい盛況せいきょうな状況じょうきょうで、コロナ禍かによるお店みせの経営けいえいへの心配しんぱいはなくなってきた」と話はなしていました。

Q.2年ねん連続れんぞくの上昇じょうしょう。何なにが影響えいきょうしているのでしょうか。

A.経済けいざい活動かつどうがコロナ禍か前まえに近ちかい状況じょうきょうに戻もどりつつあることが大おおきいと思おもいます。

住宅じゅうたく地ちは需要じゅようが増ふえたことで全国ぜんこく的てきな地価ちかの上昇じょうしょうにつながっています。

商業しょうぎょう地ちは、新あたらしい施設しせつのオープンやリニューアルの影響えいきょうが強つよく出でている地点ちてんが多おおいという印象いんしょうです。

大おおきな施設しせつができて、お客おきゃくさんが利用りようする。さらに周辺しゅうへんに雇用こようも生うまれ、定住ていじゅうするケースも出でてきます。地方ちほうをふくめたさまざまな場所ばしょでこうした現象げんしょうが起おきていると思おもいます。

また、人出ひとでが戻もどってきたこともあり、今後こんご、飲食いんしょく需要じゅようも増ふえると考かんがえます。

Q.地方ちほうの住宅じゅうたく地ちも28年ねんぶりに上昇じょうしょうした。要因よういんはどこにあるのでしょうか。

A.県庁けんちょう所在地しょざいちの地価ちか上昇じょうしょうの動うごきは、やはり強つよくなっていますので、集積しゅうせき性せいが高たかまるという動うごきは続つづいていると思おもいます。

また、住宅じゅうたく価格かかくが全体ぜんたい的てきに上昇じょうしょうしている中なかで、交通こうつう利便りべん性せいに恵めぐまれた県庁けんちょう所在地しょざいち以外いがいの都市としも注目ちゅうもくされ選えらばれているとみられます。

さらに住宅じゅうたくを重要じゅうよう視しする傾向けいこうが強つよまっていると感かんじます。

広ひろさを求もとめると町まちの中心ちゅうしん部ぶの狭せまい住宅じゅうたくよりも、少すこし離はなれた広ひろい住宅じゅうたくへ引っ越ひっこす動うごきも、ある程度あるていどあったのだろうと思おもいます。

加くわえて、さまざまな自治体じちたいが人口じんこう減少げんしょうに対にたいして危機きき感かんを持もち、商業しょうぎょう施設しせつや企業きぎょうを誘致ゆうちしています。

そういった場所ばしょで、地価ちかが上あがる傾向けいこうが顕著けんちょに出でています。

Q.オフィス需要じゅようの減少げんしょうで去年きょねんは下落げらくした東京とうきょうの都心としん部ぶでも商業しょうぎょう地ちの地価ちかが回復かいふくしましたね。

A.オフィスは回復かいふく基調きちょうが見みられ、需要じゅようは底堅そこがたいです。

「オフィスが必要ひつようだ」とか「立地りっちのいいオフィスに移うつりたい」といったニーズが非常ひじょうに高たかまっています。景気けいき全体ぜんたいが回復かいふく基調きちょうにあることで、オフィスを広ひろげたいという需要じゅようも出でています。

Q.東京とうきょう都内とないでは、大型おおがたの再さい開発かいはつビルが相次あいついでオープン予定よていですが、オフィスの需給じゅきゅうへの影響えいきょうは？

A.都内とないではオフィスの供給きょうきゅうが増ふえ、ことしがピークになるという指摘してきが以前いぜんからありました。このため、一定いっていの空そら室しつ率りつの上昇じょうしょうが予想よそうされてきましたが、想定そうていほどには、空そら室しつ率りつは上昇じょうしょうしていないと思おもいます。

ただ、一部いちぶのオフィスはなかなかテナントが決きまらず、空そら室しつが埋うまらないという状況じょうきょうもあるようです。

再さい開発かいはつで、新あたらしいビルがどんどんできるということは、ビルやオフィスの競争きょうそうが激化げきかしているということでもあります。

選えらばれるオフィスと、そうでないところの差さが出でています。

Q.オフィスのニーズを獲得かくとくするためには、どういった対策たいさくが必要ひつようとなりますか。

A.立地りっちが優すぐれているかどうかは大おおきな要素ようそとなります。ただ、それ以上いじょうに、使い勝手つかいがってで選別せんべつされると思おもいます。

大量たいりょうのオフィスが供給きょうきゅうされているということは、テナントからすれば、移転いてんがしやすいということでもあります。テナントの意向いこうに応おうじてオフィスの使い方つかいかたを調整ちょうせいできるかどうかで、差さが生しょうじてきます。こうしたことで大おおきいのは環境かんきょうへの配慮はいりょだと思おもいます。

海外かいがいでは、温室おんしつ効果こうかガスの削減さくげんができていないオフィスは選えらばれないという現象げんしょうが現実げんじつに起おきています。

日本にっぽんでも将来しょうらい的てきにはそうした現象げんしょうが起おきる可能かのう性せいもあると考かんがえます。

今いまから環境かんきょう対策たいさくに着手ちゃくしゅしなければ、手遅ておくれになるという危機きき感かんを持もっているオーナーも多おおいはずです。

こうした対応たいおうをしなければ今後こんご、空そら室しつが多おおくなってしまうビルもあると思おもいます。

Q.今後こんごの地価ちかの見通みとおしは。

A.地価ちかへの影響えいきょうが大おおきいのは金利きんりの動向どうこうです。

日本にっぽんでは低てい金利きんりが続つづいてますが、日銀にちぎん総裁そうさいの交代こうたいを機きに金利きんりの先高さきだか観かんが出で始はじめています。

今回こんかいの地価ちか公示こうじには反映はんえいされていませんが、足元あしもとでは、物件ぶっけん価格かかくがこれまでの急ピッチきゅうぴっちな上昇じょうしょうから一服いっぷく感かんが出でているというケースも出でています。

日本にっぽんの金融きんゆう政策せいさくがどうなるのかによって今後こんごの地価ちかも影響えいきょうを受うけるとみられます。