関係者によりますと財務省は、この関連文書について、存在を認める方針を固めたことが明らかになりました。
財務省は当時、捜査に支障が出るなどの理由で文書が存在するかどうかを明らかにしていませんでした。今後、開示する場合には、その範囲を検討することにしています。
森友学園めぐる財務省文書開示訴訟 政府は上告しない方針
森友学園に関する財務省の決裁文書の改ざんに関与させられ自殺した近畿財務局の職員、赤木俊夫さん(当時54)の妻の雅子さんが国に関連文書の開示を求めた裁判で、2審の大阪高等裁判所は、先月、1審とは逆に、国が文書の存否も明らかにせず不開示とした決定は違法だとして、取り消す判決を言い渡しました。
これについて、加藤財務大臣は、6日午後、総理大臣官邸で記者団に対し、「先ほど総理より、誠心誠意、職務に精励されていた方が亡くなられたことを考えれば、上告をせず判決を真摯(しんし)に受け入れるべきである。文書の開示、不開示の判断にあたっては、法令にのっとり、国民に対する説明責任の観点から、丁寧に検討するよう、指示があった」と述べ、加藤財務大臣は、石破総理大臣から指示を受け上告しない方針を明らかにしました。
財務省 関連文書の存在を認める方針
関係者によりますと財務省は、この関連文書について、存在を認める方針を固めたことが明らかになりました。
財務省は当時、捜査に支障が出るなどの理由で文書が存在するかどうかを明らかにしていませんでした。今後、開示する場合には、その範囲を検討することにしています。
開示そのものは命じず 判決確定で開示するかどうか判断
今回の判決は文書の存否を明らかにせず不開示とした決定を違法と判断したもので、文書の開示そのものは命じていません。
このため判決が確定した場合、財務省側は改めて文書の存否を明らかにした上で、文書を開示するかどうかを判断することになります。
赤木雅子さんの弁護団によりますと、財務省が文書が存在すると明らかにし、再び不開示の決定を出した場合、改めて開示を求めて訴えを起こす必要があるということです。
赤木雅子さん「黒塗りでない形できちんと開示してほしい」
加藤財務大臣が上告しない方針を明らかにしたことについて、赤木雅子さんは「今回の決定で少しは前に進むので、うれしく思います。事実や真実を明らかにするために、求めている文書は黒塗りでない形できちんと開示してほしいです」と話しています。
林官房長官「速やかに再決定が行えるよう最大限努力」
林官房長官は午後の記者会見で「高い志と倫理観を持ち真面目に職務に精励していた赤木俊夫さんに哀悼の誠をささげ、ご遺族に心よりおわびを申し上げるとともに、謹んでお悔やみを申し上げる」と述べました。
そのうえで「石破総理大臣の指示を踏まえ、文書の開示、不開示は今後、財務省が法令の規定にのっとり国民に対する説明責任の観点から判断することとした。請求対象の文書や開示に必要な作業を改めて精査したうえで、速やかに再決定が行えるよう最大限努力する」と述べました。
自民 森山幹事長「政府の判断を尊重」
自民党の森山幹事長は「政府の判断であり、党としてはこれを尊重したい」というコメントを発表しました。
国民 古川代表代行「当然のことでなるべく開示すべき」
国民民主党の古川代表代行は記者団に対し「当然のことで、関連文書で開示できるものはなるべく開示すべきだ。この問題にかぎらず、行政が国会に出す文書が必要以上に黒塗りされていることが多いと感じる。情報はできるかぎり国会に開示して実のある議論にすべきであり、行政府が立法府に対して負っている義務だ」と述べました。
れいわ 高井幹事長「真相解明を徹底的に」
れいわ新選組の高井幹事長は記者会見で「上告を断念したのは当然だが、これですべて解決するわけではない。公文書管理という民主主義の根幹を担う重要な部分が問題となり、1人の人が亡くなった極めて重い事件で、真相解明を徹底的に行わなければならない」と述べました。