再審制度は70年以上、一度も改正されたことがなく、去年 無罪が確定した袴田巌さんが最初に再審を求めてから開始まで40年余りかかったケースをはじめ、審理の長期化が課題として指摘されています。
鈴木法務大臣は、7日の記者会見で再審制度の見直しに向けて、法改正の検討を法制審議会に諮問することを明らかにしました。
そして「さまざまな論点について、実情を踏まえつつ、幅広い観点から検討していただける形で諮問したい」と述べました。
関係者によりますと、この春にも諮問する方向で、具体的な検討項目とあわせて調整を急ぐことにしています。
再審制度をめぐっては、法務省の有識者会議が
▽現在は具体的な手続きが定められていない証拠開示の規定を設けるべきかや
▽裁判所の再審開始決定に対する検察の不服申し立てを禁止すべきかなどを論点に議論を続け
おとといの会合で「早急に法整備に取り組む必要がある」という意見で一致しました。
法務省ではこれも踏まえ、諮問する検討項目をまとめることにしています。
一方、超党派の議員連盟も再審の迅速化を図るための法改正を目指して本格的な検討を始めています。
有識者会議 これまでの議論
5日の法務省の有識者会議では、袴田巌さんの無罪を受けて最高検察庁が行った検証結果などを踏まえ、「早急に法整備に取り組む必要がある」とか「国民の関心の高さを踏まえると法制審議会で議論を深めるべきだ」という意見が出て、こうした方針について異論はなく、まとまったということです。
これまでの議論のうち、証拠開示の制度化については「これまでの事例を見ても検察官が持つ証拠を必要な範囲で開示するのは有用だ」という意見があった一方、検察の委員からは制度化について慎重な意見が出ていました。
また、再審開始決定に対する検察の不服申し立てについては「えん罪被害者の救済を遅らせるので禁止すべきだ」という意見のほか、「申し立てで裁判所の決定が覆った例もある」という慎重な意見もありました。
法制審議会ではこうした論点が予想され、どのように議論が進むか注目されます。