石破総理大臣は、買収計画は投資としての意味合いがあり、一方的な利益にはならないという認識を共有したと明らかにしました。
共同記者会見で、トランプ大統領は日本製鉄が買収することで合意している大手鉄鋼メーカー、「USスチール」について「われわれにとってとても重要な会社だ。私たちは、その会社がなくなってしまうのを見たくなかった。買収は心象的によくない」と述べました。
その上で、トランプ氏は「買収ではなく、多額の投資を行うことで合意した。来週、経営トップと会う予定だが、とてもすばらしい会社だ」と述べました。
一方、石破総理大臣は「トランプ大統領からも言及があったように、買収ではなく投資だ。日本の技術も加えてよい製品を作り出し、それが日本とアメリカ、そして世界に貢献できる製品が生み出されていることに日本も投資を行う。どちらかが利益を得るというような一方的な関係にならないことを大統領との間で強く認識を共有した。大きな成果だと考えている」と述べました。
日本政府 決着に期待
今回の会談にあたって、日本政府は、日本製鉄との間で買収計画に関する方向性のすりあわせなどをした上で、臨んでいました。
トランプ大統領の買収計画に対する発言の変化について、政府関係者は今回の計画の本質がアメリカへの投資だということへの理解が得られた結果だとしています。
その上で、投資額の大幅な上積みも考えられるが、計画そのものの大きな変更を迫られる可能性は低いのではないかとみています。
また、トランプ大統領が来週、日本製鉄の経営トップと会談する予定だと発言したことについては、実現すれば大きな前進になるとして、トランプ大統領がバイデン前大統領による判断を覆し、決着に向かうことへの期待感を示しています。
米労組 委員長が声明「長期的な未来を守り続けることを要望」
日本製鉄による「USスチール」の買収計画をめぐりトランプ大統領が7日、「買収ではなく、多額の投資を行うことで合意した」などと発言したことについて、アメリカのUSW=全米鉄鋼労働組合のマッコール委員長が声明を発表しました。
この中で、マッコール委員長は「日本製鉄がUSスチールに引き続き関心を持っていることに対するわれわれの懸念は変わらない。日本製鉄は、わが国の市場に鉄鋼製品を不当に安く輸出してきた歴史があり、『貿易詐欺の常習犯』だと証明されている」としています。
その上で、「トランプ大統領にはアメリカ企業による代替案を模索することによって、国内の鉄鋼業界の長期的な未来を守り続けることを要望する」とコメントしています。
この労働組合は、日本製鉄による買収計画に一貫して反対の姿勢を示しています。