トランプ大統領は7日、ホワイトハウスで石破総理大臣との首脳会談のあとの記者会見でUSスチールについて「買収ではなく、多額の投資を行うことで合意した。彼らは取り引きを成立させるためには大規模な投資をする必要がある」と述べ、今週、日本製鉄の幹部と会談し、協議する考えを示しました。
会談が実現すれば、会社側は買収計画が製造業を重視するトランプ大統領の考えとも合致し雇用の維持や投資にもつながると説明する見通しで、日本政府としても計画の実現に向けて引き続き支援を行っていく構えです。
トランプ大統領は首脳会談の前日にUSスチールのトップとも面会していて、日本製鉄とUSスチール側の考え方にどこまで理解を示すのかが焦点となります。
USスチール“大統領が関心をもってくれていることに感謝”投稿
アメリカの大手鉄鋼メーカー「USスチール」は、8日、SNSにブリットCEOとトランプ大統領が一緒に写った画像とともに「大統領がUSスチールの輝かしい未来に関心をもってくれていることに感謝します」と投稿しました。
アメリカのメディアは、ブリットCEOが日米首脳会談の前日にホワイトハウスでトランプ大統領と面会したと報じていました。
首脳会談のあとの記者会見でトランプ大統領が「買収ではなく、多額の投資を行うことで合意した」などと発言したことについて、USスチールが前向きにとらえていることがうかがえます。
【解説】日米首脳会談を受けて今後は
(経済部 河崎眞子 記者)
日本製鉄によるUSスチールの買収計画をめぐって、日本政府は、これまでも会社の要請に応じてアメリカ政府に繰り返し働きかけを行うなど、計画の実現に向けた支援を行ってきました。
今回の首脳会談でも、会社側との間で方向性のすり合わせを行うなどした上で臨んでいて、政府内では、会談を通じて、計画の本質がアメリカへの投資だということについて、トランプ大統領の一定の理解が得られたのではないかという受け止めが広がっています。
また、政府関係者に取材すると、このタイミングでトランプ大統領が、日本製鉄の幹部と直接、会う意向を示したことは、予想外ではあるものの大きな前進だといった声が聞かれました。
ただ、日本製鉄の幹部との会談が実現した場合、実際にトランプ大統領がどういった考えを示すのか、見通すことは難しく、日本政府としては、会社側と密接に連携し、トランプ大統領の出方に対応していく構えです。